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Rock×Essay / StudioSuzumeran

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  • Lyrical Essay

    リリックのエッセイ、リリカルなエッセイ。

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勇気を持って 美しく、強く生きること

青い。どこまでも真っ青だ。 歌い出しのアコギ、サビのあらゆる楽器、そして太くてたくましい歌声が、何かが始まる衝動を表現しているようだ。 夜を越えて 闇を抜けて 迎えにゆこう 光る朝も 雨も虹も 今から全て迎えにゆくよ 『ファンファーレ』は、劇場アニメ「君の膵臓を食べたい」の主題歌だ。 病気で余命が残されていない少女を主人公とするストーリーは、ところどころに、死と隣り合わせな感覚をはらんでいる。 そんな劇中で流されるこの曲は、それでも生きたい思い、ただ生き延びるだけではな

    • 今一番思い出すべきことは、今一番忘れていることだと思う。【セントライト/BIGMAMA】

      最高の未来で会いましょう また会いましょう こんなことを歌われると、本日をもってバンドを脱退するドラム・リアド偉武へのはなむけと深読みしてしまう。 それとも、今の日本には、こういう希望をもたらす曲が必要だと思ったのだろうか。 いや、もしかしたら、金井政人はそこまで考えてないのかもしれない。というより、今までのインタビューなど見ていても、このタイミングでの発表は割と偶然な気がしている。 そんなことは置いといて、これは僕が勝手に深読みして思ったことを書き散らす文章。 別に誰に

      • しゃんと立って、遠くを見て

        3月31日。 明日から、日本中でいわゆる新生活が始まる。 4月から新しい環境に臨む人は、これからの生き方から淡い恋への期待、はたまた最初の自己紹介まで、あらゆることに浮つき思い悩んでいることであろう。 さらには、春からも同じ学校・会社に通う人でさえ、なんとなく襟を正さざるを得ない。 そんな、日本中がそわそわする一日のはずなのだが、今年は少し事情が違いそうだ。 かろうじて、僕の身の回りでは、新生活への期待を感じられている気がする。 それでも、それにしても不安が大きい春である

        • 清と濁【サイダーガール】【レディクレ】

          12/25 FM802 RADIO CRAZY 初日 Official髭男dismとKing Gnuという紅白出場アーティストの裏に放り込まれたにも関わらず、入場規制をかけたバンドがいる。 ネクストブレイクが集まるSpotify Early Noise LIVE HOUSE Antennaで初日のトリを飾ったサイダーガールだ。 自らを「炭酸系ロックバンド」と称する彼らは、その名に恥じない爽快なサウンドを持っている。 透明感のある歌声、疾走感あるメロディ、青春の全てを表現し

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          11本

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          グッドモーニングアメリカが変えた世界【グッドモーニングアメリカ】

          2019年10月15日、一組のバンドが活動休止を発表した。 グッドモーニングアメリカというバンドを知っているだろうか。 ストレートなサウンドと歌詞で社会への反発を歌うスタイルが特徴的な彼らだが、彼らの叫びは、どれほど世界を変えることができたのだろうか。 僕がグドモと出会ったのは、中学3年生のとき。 受験勉強をしながら深夜ラジオを聞いていた僕の耳に、こんな歌が聞こえてきた。 「確かに築いた限界 突破していこう 突破していこう」 こんなシンプルな歌詞が、そのときの僕にどれだ

          グッドモーニングアメリカが変えた世界【グッドモーニングアメリカ】

          思い出との付き合い方

          思い出との付き合い方って、難しい。 それが悲しい思い出だとしたら、なおさら。 僕みたいな若造には、それを忘れることもできなければ、上手く乗り越えることもできない。 ただ、悲しい思い出の中にも、温かさを見つけることはできる。 そして、温かさをたくさん見つけられる思い出は、自然と自分を前に進ませてくれる。 そんなことが分かった気がした、淡くて淡くてしかたない、夏のはじめのお話です。 ============================== 彼女とはじめて会ったのは、2

          思い出との付き合い方

          めっちゃ好きやねん〜sumikaツアーファイナルに行けたって話〜【sumika】【ライブレポ】

          新しい四季に覚悟の紅で一本線。 今作まで一年がかりで編んできた物語は全て異なる始まりのはなし。 ¨Chime¨ 「おかえり」だけではない。 新しい春、今度は我々があなたの家のチャイムを鳴らす番です。 2019.3.13 襟を正して 「おじゃまします」 「好きな人の顔は覚えられない」という話を聞いたことがある。 生活に支障が出ないように脳が記憶を抹消しているからとか、緊張から瞳孔が開いて光が入りすぎるからとか、 いろいろな説があるが、確かに好きな人の顔はぼんやりとしか思い出

          めっちゃ好きやねん〜sumikaツアーファイナルに行けたって話〜【sumika】【ライブレポ】

          描いた理想と現実を、イコールで繋げるように。【イコール/sumika】

          「理想と現実を繋ぐ記号に焦がれる 無限を泳ぐ歌。」 爽やかで厚みのあるイントロは、心の奥の方から巻き起こる衝動を想起させ、何かが始まりそうな予感がする。 南風で髪がなびく あの子の横顔に 苦笑いやめ誓ってやる 今年の夏の日は 真っ青な空、真っ白な雲、茶色いグラウンドを真っ黒に日焼けした少年少女が走り回る。 そんな景色が、眩しいほど鮮やかな色彩で描き出される。 少年少女の掛け声、セミの鳴き声、風が木を揺らす音、そして大歓声まで聞こえてきそうな気分になる。 優しく耳に届く

          描いた理想と現実を、イコールで繋げるように。【イコール/sumika】

          +11℃の熱狂【BIGMAMA】【ライブレポ】

          ライブに行って感想を書くのは、これで3回目になる。 (ちなみに、1回目はsumika、2回目はBaseBallBearを書いた) BIGMAMAのライブは、もしかしたら一番感想が書きにくいかもしれない。それだけライブに熱中してしまう。何も考える余裕がない。何も覚えてないぐらい頭に血が上る。いや、更新サボってたから書けないのかもしれないけど。それにしても、何か実りある文章をオシャレに書こうと思ったのに、ずっともみくちゃにされながら叫んでた覚えしかないもんだから、全部「熱い」「

          +11℃の熱狂【BIGMAMA】【ライブレポ】

          Massage from Lyrics - もっと歌詞を聴いてくれ -【エッセイ】

          僕は言葉が好きだ。そして音楽が好きだ。ということは、歌詞は大好きなのだ。 そんな僕が、最近立て続けに2つのハッシュタグに出会った。 ひとつが、#YourSong カツセマサヒコさんというフリーライターの連載だ。 Mr.Children『重力と呼吸』のリード曲“Your Song”に寄せてーー あなたの人生を支え、彩ってくれた音楽(=Your Song)は、何ですか? こんなコンセプトで、著名人に思い入れのある曲についてインタビューしていくという企画だ。 もうひとつが、

          Massage from Lyrics - もっと歌詞を聴いてくれ -【エッセイ】

          僕を形作ってくれた歌【I'll be/YUI】

          いつか誰かをそっと愛してゆくとき 守れる勇気を君の中に育ててゆくんだ こんにちは、橘と申します。 好きな歌をテーマにしたエッセイを、noteで書いています。 #自己紹介 のタグに乗じて、僕がどんな人間か書こうと思ったのですが、 少しでも読み物として面白くしたいので、代わりに今の僕を形作った歌のことを書きました。 『I’ll be』というタイトル。 この後に何か続きそうなものだけど、一体何と言いたいのだろうか。 僕はこうだと思う。 I’ll be on your side

          僕を形作ってくれた歌【I'll be/YUI】

          いつまでも僕の青春【BaseBallBear】

          BaseBallBearほど、”青春”という言葉が似合うバンドはないだろう。 風になびく白いシャツが綺麗 青い空がどことなく哀しい 昼休みに教室の窓から見えた青空、帰り道に見上げた青空、様々な青空を鮮明に思い出す。 青と白の眩しいコントラスト。 眩しいはずなのに、なぜだか「哀しい」気持ちにさせられるあの日々が頭を巡る。 いつの時代も、若者は迷いや悩みにさいなまれ、そこから抜け出すことを願う。そういうものだろう。 二度と無い季節が 通り過ぎていくよ 何も無い感覚 昇って

          いつまでも僕の青春【BaseBallBear】

          秋晴れの空が似合う歌【バイリンガール/go!go!vanillas】

          急に涼しくなってきた。肌寒くさえ感じる日もある。 つい最近まで青と夏 / Mrs. GREEN APPLEや約束 / サイダーガールや夏の終わり / アイビーカラーが似合う季節だったのに、そんな気配はどこかにいってしまった。 僕自身夏が好きでこんな記事ばかり書いていたものだから、トーンを一新するのに少し苦しんでいる。 「#秋にやりたいこと」のタグに寄せて、秋に聴きたい曲のことを書こうと思ったが、秋に聴きたい曲というのは、正直あまり浮かばない。 確かに、秋の名曲というのは、春

          秋晴れの空が似合う歌【バイリンガール/go!go!vanillas】

          夜風とぬるいアイスティー【Summer Vacation/sumika】

          じめっとした日か、雨が降った日か、それとも、一人の夜か。 とにかく、どこかけだるいぐらいのときに聴くのがちょうどいい。 心地良い 熱さ残るアスファルト 灯る街灯は 夜を始めた 短く区切って改行する歌詞。フランス文学を想起させるような洒落た世界観だ。 歌詞を見てみると、どうやら夜を歌った曲らしい。夏の終わりの心地よい夜風を連想させる曲に仕上がっている。 会いたい気持ちは 昼の陽溜まりに 落として忘れて ほら、また寂しい 会いたい気持ちは 昼の陽溜まりに 置き忘れたふりして

          夜風とぬるいアイスティー【Summer Vacation/sumika】

          ”叶わぬ恋の歌”を科学する【気づいたら片想い/乃木坂46】

          気づいたら片想い 「片思い」では安っぽい。「気付いたら」では硬すぎる。 気づいたら片想い 漢字の選び方ひとつとっても、この曲の切ない世界観を描き出している。 (このPVを見て「なぁちゃんが死んじゃう…」って言っていたのはいい思い出だ。) 気づいたら片想い いつのまにか好きだった あなたを思うその度 何だか切なくて… 気づいたら片想い 認めたくはないけど 強情になっている分 心は脆いかも… あの人を好きになって苦しむのが怖いから、無理やり目を背けようとする。 なのに、そ

          ”叶わぬ恋の歌”を科学する【気づいたら片想い/乃木坂46】

          音と言葉と笑顔の魔法【sumika】

          sumikaは「今最もライブのチケットが取れないバンド」と言われている。 実際僕もチケットが取れていない。悲しいが、ものすごくたくさんの人がsumikaを応援しているのが嬉しくもある。複雑。 どうしてsumikaのライブはこれほどまでに愛されるのか。 sumikaのライブもまた、曲と同じように「魔法」のような時間なのだ。 僕がはじめてsumikaの「魔法」にかかったのは、5月の野外フェスだった。 当時の僕は、sumikaにぞっこんというわけでもなく、有名でポップな曲を4〜

          音と言葉と笑顔の魔法【sumika】