めっちゃ好きやねん〜sumikaツアーファイナルに行けたって話〜【sumika】【ライブレポ】


新しい四季に覚悟の紅で一本線。
今作まで一年がかりで編んできた物語は全て異なる始まりのはなし。

¨Chime¨
「おかえり」だけではない。
新しい春、今度は我々があなたの家のチャイムを鳴らす番です。
2019.3.13
襟を正して
「おじゃまします」

「好きな人の顔は覚えられない」という話を聞いたことがある。
生活に支障が出ないように脳が記憶を抹消しているからとか、緊張から瞳孔が開いて光が入りすぎるからとか、
いろいろな説があるが、確かに好きな人の顔はぼんやりとしか思い出せないような気もする。

今回のライブもそんな感じだった。
正直言ってほとんど覚えていない。
だが、何か書かずにはいられない。

というわけで、誰もが羨むsumika「Chime」リリースツアーに立ち会った感想を、徒然なるままに書いてみようと思う。

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sumika 『Chime』Release Tour Final
幸せな感情ばかりが純度高く混ざり合う、高揚と一体感に包まれた空間だった。

様々な「始まり」をテーマにした今回のライブ。
一曲目はもちろん、「始まり」の代名詞のような、

はじまりはじまり いざスタートライン

10時の方角。
どこかセンチな春が嫌いな僕だが、今年の春はこの曲が前を向かせてくれた。
一曲目の時点ですでに僕の目には涙。

2曲目も始まりの曲が続く。

「さあ 今日も始めましょうか」

フィクション。どのタイミングで披露しても、一発で会場をきらびやかな雰囲気にもっていく。

そこから、1.2.3..4.5.6、グライダースライダー、ふっかつのじゅもん、MAGICと、ものすごいハイペースで進んでいく。
頭の中は「おいおいどうしたどうした」といった感じだ。
繰り返しになるが、あんまりしっかりは覚えていない。

ここで少し雰囲気が変わって、Monday。
METROCK大阪でも披露されたが、さすがにツアーファイナルは一体感が比べ物にならない。

片岡健太セクシーモードのまま、Strawberry Fieldsが続く。
情熱的にギターをかき鳴らす黒田隼之助
叙情的なピアノの小川貴之
サポートながらメンバーと変わらぬ喝采を浴びるベース井島啓介
伸びやかな声で「この間はすれ違ったんだ だけど声はかけられなかった♪」小川智之
……ん?
少し力の抜けた笑い声に包まれる客席。本日全員が「まじか」と思った場面一つ目。
Mステでaikoがmilkをやったのは、今日のための伏線だったのか…Mステまで伏線にしてしまうsumika、おそるべし…!
もちろんバロンのかっこいいドラムソロもあったことは、彼の名誉のために付け足しておく。

恒例のメンバー紹介を挟んで、ホワイトマーチが始まる。
とにかく演出が幻想的。もう夏が始まろうかという時期に、白い照明の雪が降る。

冬の曲の後は夏が似合う曲、ファンファーレ。
片岡健太の太く響く声が映える、力強い曲だ。
ファンファーレリリースツアーの一曲目で感じたおぼつかなさのようなものはすっかりなくなり、ファンの心を掴むナンバーとして板についている。

ここで一旦クールダウン。椅子に座ってリラックスして聴く
アコギを持つ片岡健太。始まったのは、なんとリグレットのアコースティックアレンジ。
本日の「まじか」その2。ただし、バロンの「この〜あ〜いだは〜」とは明らかに性質が違う。
さらに、ゴーストライター、秘密と、Chimeからバラードが続く。
今まで高ぶっていた心がすっと落ち着いていき、深くジーンとくるような感動をもたらす。

リラックスタイムは3曲で終わり、ご機嫌なHummingbird’s Port(Instrunmental)が流れてきた。客席が立ち上がり、後半戦が始まる。
後半戦の一曲目はLovers。抜群の安定感。この曲をつらつらと説明するのは野暮というものだ。

片岡健太がハンドマイクを持った。次に何が来るか分かった人も多いだろう。
「あなたと一緒に咲かせたい Flower!」
今日一番カラフルな照明に彩られて、「フラワー!」の大合唱。
これまたメトロックとは一体感が大違い。「ですな!」を言わせてくれたのも嬉しかった。
個人的に一番励まされた曲なので、一瞬引っ込んだ涙がおかえりなさい。

ペルソナ・プロムナードで叫びまくった後は、まさかの「伝言歌」
最後の曲という印象が強かったこの曲が中盤で披露されるのを見て、sumikaが次のステージに行った感覚を覚えた。
いつも優しく歌い上げる片岡健太の声が少しかすれている。それだけ力がこもっている音には感動した。

MCの雰囲気から、次の曲が最後だと分かる。何度も言うが、細かい内容は覚えていない。
ただ、「『sumikaとかいうダサいバンド好きなんだ』とは言われないように約束する」という、いつもの言葉に胸を打たれたのは覚えている。

「ライブでやることしか考えてなかった。」そう言って始まった曲は、Familia。
鐘の音が鳴り響く。

Yes, yes, yes, yes 頷いて
僕の心に今近付いて
願うはyes 望まぬno
心読んで構わない。

結婚式のシーンしか思い浮かばないこの曲。ツアーファイナルで披露されたFamiliaは、sumikaのどんな曲よりも色濃く愛を感じた。
あと、Yesで手で丸を作り、Noで手をバツにする片岡健太は愛くるしい。

最後の曲が終わってしまった。
「出会ってくれてありがとう。sumikaでした。」
メンバーが裏に帰っていく。

一瞬の静寂があったのち、アンコールが始まる。スマホライトはない。拍手はずっと揃っている。
しばらくして、ステージに灯りがともり、sumikaが再び出てきた。

「新曲やります!」
そう言って始まったイコール。
青春を思い出して熱い想いがこみ上げ、掲げた右手にも熱がこもる。

MCでは、ご当地コーナーが行われた。セットの中から一番大阪らしいものを選ぶというもの。
選ばれたのは、一枚のTシャツに書いてあった文字「めっちゃ好きやねん」
そりゃsumikaが目の前にいるのよ。これが選ばれるに決まってるでしょ。

「夏は来たれり!マイリッチサマーブルース!」
1万人以上がカラフルなタオルを回す姿は、あまりにも壮観だった。
「綺麗だねえ」と言いたくなる気持ちも分かる。

アンコールのラストは、ある意味いつも通りだった。
「sumikaを結成してはじめて作った曲をやります」
「周りからバカにされても、この曲のおかげでやってこれた」
「必要なのは、雨が降っても槍が降っても立ち止まらない覚悟だけ」
もちろん雨天決行。
Chimeには収録されていないが、Chimeの曲と肩を並べる応援歌。
いや、彼らの曲の中で一番衝動的で力強い曲かもしれない。
ライブでこの曲を聴くたびに、小さな夢を愚直に追っていこうと決意させてくれる。

こうして、ただただ幸せな空気のままツアーは終わりを迎えたのであった。

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2019.7.1

明日から何が始まるのだろう。

はじまりはじまり いざスタートライン
ここからは補助輪なし

ああ 夜を越えて闇を抜けて迎えにゆこう
光る朝も 雨も虹も 今から全て迎えにゆくよ

さあ 今日も始めましょうか
昨日挟んだ栞の続きから

ひらりひらりめくる
ストーリーストーリー 喜怒哀楽忙しい

いつかそいつが芽を出して 大輪に咲き誇るんだって
殺していた気持ちが未来のフラワー

本当にいろいろな形で「始まり」の背中を押してくれる。

私事だが、2日前に就職が決まった。
今日のファイナルまでには終わらせたかったので、最高のご褒美になった。

これからは、今までとは違った生活が始まる。
どうやってこれからの人生を輝かせようか。
何が起こるか分からない状況に、不安もある。

だけど、sumikaの朗らかな曲を聴いていたら、そんな不安でさえ自然と大丈夫な気がしてくる。

力強く、それでもそっと背中を押してくれる、「始まり」の応援歌が、きっとこれからの僕を支えてくれるだろう。

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ここまで読んでくださってありがとうございました。
こんなにまとめってない文章を出したのははじめてです。
普段はもうちょっとしっかり言葉にできるのですが、今回は本当に「感じる」部分が多く、言葉になるものはあまり残っていませんでした。

次のツアーでは、もっとましな文章が書けるように精進します。

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