自動筆記(もどき)

・5分間で書けるだけ書く

・何かしら人を出す     という縛りでした

月が僕の指先を呪って輝いている。煌々と降り注ぐその光はイヨマンテの小熊の眼光より青く強かに紙面を斑に穢していく。潰れた喉で喘ぎながら、血に塗れた両足をぶらつかせ椅子を蹴り倒す。響き渡る音に思わず金切り声をあげる蛮族の姫。彼女の貞節の為に僕は指を組んで祈る。未曾有の旱魃に滅ぼされた故郷の事を僅かに思い出しながら。ルネサンスめいた豪奢なドレスに埋もれる程華奢な彼女は、その身体に埋め込まれた鍵を探し出そうと穴という穴をまさぐっている。もう遅い。血の匂いがする。もう誰のものかわからない悲鳴が鼓膜を引き裂く。狐の皮に顔を埋めてすすり泣く。手遅れだ。間に合わなかった。僕の唇にぬるい水が滴った。破れた誓約書を踏みつけて君と踊ろう。

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