ジャグラー、振付家。短歌~HIPHOPまで、言語芸術に最近傾倒している。好きな言葉、好…

ジャグラー、振付家。短歌~HIPHOPまで、言語芸術に最近傾倒している。好きな言葉、好きなものについて書き留めていく予定

最近の記事

CwCの第7回公演について

※この記事は、ジャグリング【その2】 Advent Calendar 2019 によせて書かれたものです。 2月に公演をやります、Circus without Circleという団体を率いています。 ジャグリングカンパニーです。ジャグリングを舞台でやります。 今日はその話をします。 ジャグリングを舞台でやるっていっても・・・「舞台でジャグリングをやる」って、結局どういうことなのよ? 例えば演劇は、その概念の射程に最初から上演が入ってるので、「演劇を舞台でやる」というのは

    • 会社をやめ、TBHを聴いている話

      会社をやめた特に言うことはない。楽しんで働けた。辞めたかったので辞めた。 THA BLUE HERB北海道出身のヒップホップグループ。 Wikipediaによれば、1997年に結成とあるのでかなりのキャリアである。 ブルーハーブといえばセルフボーストとストイックな姿勢だが、それにも時代が下るとともに微妙に変化がある。 個人的に、最近のブルーハーブのメッセージに非常に響くものがあったので、その話をしようと思う 矛盾する二つの姿勢昔には戻れん 戻ったところで別に何もねえ

      • 喪失とエウレカ

        エウレカとは今更だが、「交響詩篇エウレカセブン」という、ロボットアニメにはまっている。 内容としては、要はセカイ系ロボットアニメとでもいえばいいのか、ボーイミーツガールとでもいえばいいのか、 まだ全編を視聴したわけではない(全50話のうち、25話までしか見ていない)のでなんとも言えないが、 要は、男子中学生(レントンという名前の、主人公である)が、ある日ロボット(ニルバーシュという名前の、非常に強力な人型ロボット)に乗った、嘘みたいに可愛い謎めいた女子(エウレカという名

        • 「圧倒的成長」的演出論

          はじめにこの文章は、主に、何らかの舞台作品の演出をやってみたい/やっている人で、なんとなく躓くことが多いとか、あまりしっくりこないまま本番を迎えてしまうような人に向けて書いています。 僕自身はジャグリングの出身なので、ひょっとしたらそれ以外の世界できちんと下積みをしてきたような人には全く役には立たないかもしれませんが、それなりに一般化できる領域について書いたつもりです。 言語化からはじめるまず、だいいちになんらかのシーンを作ろうとしたとします。その場合、まずある程度の構想

        CwCの第7回公演について

          定年までコールドスリープするのと何が違うのか

          例えば土曜日,13時に起きる. このとき僕は,「ああ,13時に起きてしまったな」と思うわけだが,それ以上のことは感じない.別にこれが14時になろうと困らない.極論すると,24時でも別によい.損した気分にはなるが,困りはしない. 同じことは日曜にもいえる.かなり嫌な気分にはなるが,かといって何ということはない. 自分は社会不適合者なので,平日する仕事は,あくまで日銭を稼ぐものだと思っている.日銭を稼ぐとは,生活をメインテインするということだ.したがって,あくまで生活があっ

          定年までコールドスリープするのと何が違うのか

          ナイーブでいる権利

          就職してそろそろ一年になる.所感をつづろうと思う. 僕はタフガイ気取りが嫌いだ.イマドキ「自分が社会でどれだけ通用するか見てみたい」みたいなことを真顔で言う若者を,僕は信用しない. 僕らの世代は簡単に「さとり世代」と呼ばれる.要は,昭和的なマッチョイズムへのカウンターで,クルマ・高級時計・高級スーツみたいなものを好まず,"等身大で","必要な分だけ"求め,おとなしくしている世代というわけだ.これまたものすごく乱暴に要約すると,高度経済成長期が終わり,頑張れば頑張っただけシ

          ナイーブでいる権利

          「綺麗」の権力

          上のツイートに関していろいろと考えさせられることがあったので,書き散らしておく. 二つの意味で残念であり,それは以下のようなものだ. まず,ジャグリング側の問題.言うまでもなく,この人の妹さんが賞をとっているのは,「バレエのコンクール」であって,「身体美のコンクール」ではない. したがって,さしあたって「バレエのコンクールで賞をとるレベル(のバレエの踊り)を見慣れている人」がバレエの訓練を受けていない身体を見たからといって,単純にそれが「綺麗ではない」とは必ずしも言い切

          「綺麗」の権力

          軌道の景観学のために,距離について

          ジャグリングを作品のアスペクトで語ることの困難さは既に述べた通りであるが,今一度確認するに,そもそも「ジャグリング」という言葉自体が持てるアスペクトが「-ing」つまり「行為」のそれにすぎず,基本的には「ものを投げあげて取るという作業の連なり(のうち一部分を切り取ったもの)」として,その動きそのものとしてしか語りえないという言語上の困難がまずある. つまり,ジャグリングという行為を使用した舞台作品は,あくまで舞台作品であり,「ジャグリング」のいち側面では結局のところないので

          軌道の景観学のために,距離について

          はい

          ご無沙汰しています. ところで,なぜ女性と何かした場合,一般的に男性はその女性に奢るのでしょうか. この疑問は,単にその答えが知りたい,というだけでなく,大雑把に以下のような意図を持って発したものです. ・納得できる理由を自分のために見つけたい. もし,その身振りが必要になったときのために,自分がそれを実践しやすいよう,今のうちに自分を納得させておきたい. ・「なぜ女性に奢らなくてはならないのか」という疑問を発する自分自身について知りたい. 疑問や抵抗がある,という状

          Let's go out tonight

          noteのフォロワーが増えたような気がするので,こちらにも貼ってみようかななどと思いました. 僕は普段から愛についてばかり考えているわけではなく,基本的には体を動かしています. 同じような動きがちょいちょい出てきますが,単なるマイブームです. Hope you enjoy!

          Let's go out tonight

          恋愛規範:「好きです」と「付き合ってください」の隔たりについて

          "「愛」は親密性そのものというより,そこにおいてコードとして働き,親密な関係内部の相互行為を律する言説装置である.感情の面からしても,特定の人に恋愛感情を抱くことと,その人と恋愛関係を形作ること(コミットメント形成)は独立して考えることができる."  ―筒井淳也(2008)「親密性の社会学 縮小する家族のゆくえ」 <彼女>を作りました. <彼女>,が括弧付きであることには理由があります.私はかのじょ(便宜上,三人称単数女性はひらがなで表記することとします.)に対して恋愛的

          恋愛規範:「好きです」と「付き合ってください」の隔たりについて

          非リア相互監視社会について

          ここのところ,劇団やらダンスやらで少しジャグリング界から離れていて,それでこの前ちょっと戻ってみたらかなりカルチャーショックを受けた話. Ryosuke Tanaka氏の言葉選びが好きだったので引用したけれど,まさにこの通りで,これはおそらくジャグリング界とかではなくて,もう少し大きな話だと思うのだが,とりあえず近くにあるのでジャグリング界について話をしようと思う. とりあえず,全体の構造について整理してみたい. まず,大きくいえばまさに「男子校出身理系""""非リア"

          非リア相互監視社会について

          ながめくらしつ その①

          ながめくらしつ「誰でもない/終わりをみながら」大楽を見てきました。 もろもろを踏まえた上で今からハチャメチャなことを言いますけど、第一部は個人的にあんまり好きじゃなかったです。すごく繊細で微妙なバランスによって高い強度の作品として到達しようとしているのはよくわかったし、安易な空間構成(カノンとか、対称形とか!)の乱発に逃げないでいようとしているのは意義深いと思うんですけど、でも僕はその到達点が見えなかったです。たぶん、日によって調子とかがあったんだろうし、ほんのちょっとずれ

          ながめくらしつ その①

          連作短歌「関係供養」

          複数形一人称で呼ばれないままの僕ら接近を悼む ありがとう支えてくれてと言いあって僕ら影だけでわらっています この通話切ればなくなってしまうもの あなたはいつも死のにおいがする 肉体の重みなき「死」を前にしてわがことばだけ空虚に強くて ふれあえぬふたりのあいだにふわふわと毒にも薬にもならぬ愛が 死をかたるあなたの指を透かし見てすでに「僕ら」を悼んでいたり 死地を向くあなたひとりも止められず僕はついに何者でもなく (誰がために死ねばいいかを考えろと説く僕のためにも生

          連作短歌「関係供養」

          focus良かったです 20140713

          ジャグリング創作集団focusのスタジオショーイングにいってきました! focusはたぶん長期間のワークショップみたいな感じで、固定メンバー+受講生メンバーという具合に創作をやるタイプの団体という理解です。 ちょっと僕の団体に近い形式の団体さんで、ちょっと親近感を持っています。前回公演は結局こっちの公演とかぶっていていけなかったのですが。 今回は、そのうちの固定メンバーのお二人が創作した作品だそうで、そのお二人だけのデュオでした。 作品名は「kiri/霧」。 写真を

          focus良かったです 20140713

          ニンジャスレイヤーのすすめ

           「ニンジャスレイヤー」というネット小説がある。名前をご存知の方も多いと思う。しかし、実際に内容まで踏み込んで知っているという人は驚くほど少ない。その割に、知った顔で揶揄する人が多く、私は非常にそれを残念に思う。それに、なんだか「素面」な顔をして、その揶揄に加担するのにももう疲れてしまった。要するに、私はニンジャスレイヤーにシリアスにハマっているのだ。  ニンジャスレイヤーをきちんと読んだがつまらなかった、という人よりも、読んだことがないし、読もうとも思わなかった、という人の

          ニンジャスレイヤーのすすめ