置かれた場所で咲きなさい
もうこれ以上、燃やせないんじゃないか・・・
来年度の異動が決まり、本日、8年間務めた勤務校の最終日でした。
8年間のうち最後の6年間は、5年生担任→6年生担任という2年間を3回繰り返しました。
この学校で3回目の卒業生を送り出して、自分自身も卒業(異動)する形となりました。
すごく正直に言うと、疲弊していました。
どの学年もそうですが、高学年を2年間連続で持ち、卒業生を送り出すというのは、もちろん楽しいことだけではなく、辛いことも、苦しいこともたくさんあり、低・中学年から受け継いだバトンを、中学校に最善な形で繋ぐべく、全力を尽くします。
卒業式は、万感の想いで送り出し、誰もいなくなった教室で一人で片付けをして感傷に浸っている時間はほんの一瞬。また、同じループに入る。
そんなループを3回繰り返しました。
自分の中の何かを常にたぎらせて、燃やし続けてきた感じがします。
でも、毎年少しずつ心がすり減ってきているような気がして、もうこれ以上燃やせないんじゃないか、ガス欠なんじゃないか・・・と感じていました。
そんなときに、異動が決まりました。
すると、卒業式を終えてからの2週間は、毎日のように、これまで送り出した卒業生やその保護者が会いにきてくれました。
ひっきりなしに訪問してくれるので、片付けや異動の準備は全く進まなかったのですが、近況を話してくれたり、感謝の言葉を言ってくれたり、たくさんの言葉を伝えてくれ、その度に胸が熱くなりました。
あの時は大変だったけれど、今はしっかり前を向いて立派に成長しているたくさんの卒業生の姿を見て、「これまでやってきたことは間違いではなかったんだ」と思うことができました。
命は削るのではなく・・・
6年生の国語の教科書(東京書籍)の最後の方に、「君たちに伝えたいこと」という単元があります。
当時97歳の医師・日野原重明さんが、子どもたちに向けたメッセージを書いているのですが、その中で日野原さんは「寿命」や「時間」について、独自の考えを書いています。
寿命とは、与えられた時間を削っていくということではなく、大きな器の中に精一杯生きた一瞬一瞬をつめこんでいくイメージなのだと。
日々、目の前のことに一生懸命に向き合い、全力を尽くしていると、身も心もすり減っていく感覚に陥ります。
でも、本当はそうではない。
教えているようで、教えられている。
与えているようで、与えられている。
本気で笑って、泣いて、怒って、喜んで、限られた時間の中で、子どもたちとともに色々な感情になって、彩られていく。
それが、確実に誰かの人生の一部になっている。
「あの時のあの一言があったから、変われたんです」
「先生のおかげで」
なんて言葉を聞くと、たまらなくなります。
命を削っているのではなく、大きな器に精一杯生きた証を詰め込む。
そうすることで、自分自身がまたいろいろな色で彩られて、それがまた次の誰かのためになる。そういうループの中に、私たちはいるのかもしれません。
人と人との出会いには必ず意味がある
さて、異動や、年度の切り替えの際には、いつも思い出す言葉があります。
「置かれた場所で咲きなさい。」
これは、私がJICA青年海外協力隊でグアテマラに行っているときに、先輩隊員から言われた言葉です。
途上国あるあるで、協力隊として派遣された任地は、行ってみたら話が全然違った、聞いていた話と違うなんてことはよくある話です。
思っていたことと違った。話が違う。
希望した場所じゃない。
ここには来たくなかった。
こういったことは、協力隊の世界だけではなく、どの職場でもあることなのではないでしょうか。
文句を言うことは簡単。
やりたくないことから逃げることも簡単です。
でも、思うんです。
人と人との出会いには必ず、意味があると。
いい出会いもたくさんあります。
でも、いい出会いだけだといいんだけど、
出会いたくなかった、なんだか合わないなんてことは、人間だから誰でもあります。
でも、その出会いにも必ず、なにか意味があると思うんです。
合わない何かと出会った時にこそ、人は変わるチャンスなのかもしれません。
その時に逃げても、あとで必ずまた同じように出会ってしまうと思うんです。
でも、その時に、自分を少しでも変えることができれば、その先に出会う人との関係性も変えられるかもしれない。
もしかしたら、それで救われる人もいるかもしれない。
だから、その人がその場所に置かれたことにはきっと意味がある。
希望した場所ではないかもしれない。本意ではないかもしれない。
でも、その場所で一生懸命に自分だけの花を咲かせれば、それを見てくれる人は必ずいます。
きっとそれで救われる人がいるはずです。
万人に受けなくても、たった一人でも「きれいだな」って思ってくれたなら、そこに咲いた意味はあると思うんです。
4月からまた新しい年度が始まります。
期待と不安が入り混じる中で、それぞれが新しい場所で、新しい人たちとまた出会っていく。
きっとその一つ一つの出会いには、何か意味があるはずです。
その出会いは、必ず、その先の未来へ繋がっていく。
それぞれの場所で、植えた種に水やいろいろな栄養を与えて、
自分だけの花をまた咲かせましょうね。
また一年後の3月たくさんの花で彩られていることを願って。
つばっち_川原翼@神奈川
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