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年賀状を「やめません」

「感謝の心はアナログで伝えよう」
今や青森県を代表するタレント王林さんを育てたリンゴミュージック代表、樋川新一さんの言葉です。聞くと、王林さんは忙しくても、手書きの手紙をお世話になった人に送り続けているそうです。誰からも愛されて、100点の対応をし続けてくれる王林さんらしい話です。

「今年で年賀状を終わりにします」
という言葉を見かけるようになりました。なるほど。確かに、お正月といえども忙しいご時世です。SNSで簡単にやりとりもできます。全くもって、その通りだと感じます。でも、私は年賀状をやめられません。減らすことはできても、やめようとは思えないのです。

というのも、教え子からの年賀状が、毎年楽しみなのです。教え子の携帯電話の番号を知っているわけでもありませんので、やりとりは年に一度だけ。
「カンボジアに国際支援をしています」
「美容師の免許を取るために、学校に通っています」
などのがんばりを聞くと、嬉しくなります。

教師としての自分にとっても、いい効果があるように感じます。小学校の時、あれだけ問題を起こしていた子が、大人になってこんなことをがんばっている!と知ると、担任している子にも広い心で接することができるようにも思います。

何年か前になります。卒業してからも年賀状を送ってくれる子がいました。しかし、中学校へ行ってから、トラブルを繰り返していると聞いていました。私はその子が気になって、やはり年賀状を出すことにしました。もちろん、文面はいたって普通の内容です。

しばらくその子から返事もなかったのですが、驚いたことに、母親から封書の手紙が届きました。これは何かがあったに違いありません。おそるおそる封を開けてみることにしました。

読んでみると、その子はわけあって親元から離れてしまった、というのです。他にも多くのトラブルがあったということが書かれていました。そうしたストレスを家でも吐き出すことができず、つらい思いをしていた、ということが書かれていました。

翌日、すぐに私も封書に思いをしたため、返信しました。私自身が問題を解決することはできませんし、力になることもありません。

でも、つながり続けることができます。
一人の応援者として、小学校時代の担任として、つながる。

一枚の年賀状から始まった数年前の出来事です。
年賀状は、「つながり」です。
だから私は、年賀状を「やめません」

                         三浦健太朗


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