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都合のいい時に”おんな”を求められたら

お祭り研究をされていた女性が調査中にセクハラにあったとツイートを見かけ、自分も思いあたる節があるので書きとめてみます。

各地の祭りを女一人でお邪魔していて。
祭りの非日常感に浮かれているのか、よそから来た女性がセクハラにあう例は割とあるような気がする。
(紳士的な祭りもたくさんあるけど、ときたま遭遇する。)

私もふとした瞬間に尻を触られたり、民泊させてもらった寝床で横につこうとしたら「一緒に寝よう」と言われたことがある。もちろんお断りをした。
思いがけない急な事態にびっくりしたのと、まわりに助けてくれる人もいなかったので、身の安全が保障されないことなのだなと一晩中落ち着かなかった。自分の性格上、その場で叫んだり騒ぐような反応がどうも苦手で、何事もないような反応をするけれど、内心はめちゃくちゃ不快になっている。
そして、大抵は相手は逃げ道のない閉鎖的な場を選んで行われるような気もする。

こちらはその後の心の折り合いの付け方にも悩み続けるけど、本人たちはノーテンキに我関せず。
楽しかったことすべてを台無しにしてくれる。

お祭り自体は継続性のあるものなので、世代が変わると雰囲気も変わることもあると思います。一部のセクハラのせいで全体まで悪いこともないような、というのが大きく出れない要因にもなっている。
お祭りとか地域のことによそものがとやかく言えることは限られるので、納得いかないのであればとりあえず張本人に問い詰めます。

という、声をあげることに、勇気を出せる人も少数派なのだろう。
世間は角が立つことを嫌う。角が立つくらいなら、被害を受けたこちら側で黙っているのが暗黙の了解になっている。それは長年の間、女性が置かれていた立場である。
セクハラでなくても、女としての社会的に求められるふるまい(これももうセクハラと言わざるを得なくなってきているが)を、強要されるような圧を感じることもある。
男の人の話を親身になって聞いたり、受け止めてあげたりという、会社の上司たち。
そういう求められたふるまいをこちらが無視すると、機嫌が悪くなったり拗ねたりする人がいる。
あれ、男性ってそんなにエライものなんだっけ。無意識に、「男>>>>>女」という図式が頭から離れないようだ。すごい自信だ。どこから沸いてくるのだろう。
(※そういう人は一部の人です)

なんでいつもこっちが受け止めてあげて、黙ってないとならないのか。
好きでもない人に触られるなんて嫌に決まってるだろ。話だってこっちで自由に聞いていいじゃないか。
触っていくうちに仲良くなるという謎幻想を持つ人も聞くが、話が通用しなさすぎて頭が痛くなる。


私は型に入っていくより、想定される型から飛び出していくことが好きだ。
お祭りでセクハラを受けるということは、お祭りという日常から離れた型破りで自由な場においてまで、「女性」は「女」を求められないとならないのである。

何も全ての男性に言いたいわけではない。というか元々こういうことを言うつもりもなかった。しかし、女はか弱くて手駒にできて思う通りにしてくれると、意識的/無意識的に思い込んでいるような人たちの相手をするのが疲れてしまった。本当にやめてほしい。
どういうつもりなのかアンケートをとりたいくらいだ。

お祭りっていう老若男女誰でも等しく楽しめるような場所において、21世紀にもなって女性の身の安全が守られないことが起こりうるっていうことだ。そんな場面に出くわすのも少ないことかもしれないが(各地あちこちの祭りいに普通はそんなに行かない)、実際にそれに遭遇した側としては考えもの。
そこだけをヒステリックに肥大化させるつもりもない。ただ線を越えることなく対等に接してほしい。

男性に女性が対等に接してもらうというのが本当に大変で(若手男性も同様かもですが)、こちらは体力をつけたり理論武装したり働いて稼いだり社会的立場の構築をしたり、色んな面で自立しないと大抵は舐められる。
自立していたとしても、なぜかお祭りなど気の緩んだ場では「女である」という表面的な評価が優先され、「女である」→「言うことを聞いてくれる」という謎ルールが発動する。

対等は難しい。そういう経験から磨かれるものもあるのかなと思うことにする。

セクハラが生まれる場面に限らず、物事には健全な面と不健全な面があり、その絶妙なバランスでできていることもあるので、一概に何かを排除するのもどうなんだろうとは思う。だけど誰かが一方的に嫌な思いをし続けるのは違うと思う。その凹みは、気づきや歩み寄りがないと永遠に埋まらない。「正しさ」ってなんだろうか。

あと、こういう一方的な行為が行われる時って、経験的に女性が逃げられない単独の時には起こりやすいような気もする。同席に他の女性や男性がいたから、まず起こらないでしょう。
相手や状況を見て判断しているということからも、姑息な野郎だなと心底がっかりする。裏切られた気になる。

女性へのハラスメント反抗運動で、伊藤詩織さんの告発をきっかけとして日本でもmetooが話題になった。社会的に立場の弱かった女性が「嫌だ」と声を出していく流れは、国際的にも加速していくだろう。

それにしてもそういった社会的国際的な動きとは関係なしに、自分の主観や感性で「嫌だな、やめてほしいな」という判断がおざなりにされてしまうのはどうかと思う。

とりあえず今回書いてみて、もやもやした違和感は一旦整理されました。

ちなみに余談ですが、この記事のキャッチ画像は、四谷怪談のお岩さん伝説のある陽運寺の手水舎です。住職さんのセンス良く、オシャレで落ち着くお寺さんです。

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