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9年は短すぎます

かの有名な音楽雑誌、ローリングストーン誌の初代編集長ヤン・ウェナー氏の言葉に次のようなものがある。

「パーソナルな音楽趣向は、だいたい16歳から24歳の間に聴いたもので決まる。」

16歳から24歳といえば、高校生になってから大学を卒業して社会人として働き始めるまでの時間を指すことが多いような気がする。確かにこの多感な時期に多くの人は様々なことを経験し大人になり、「自分」という人間・人生を形作っていくと思うので、その時期に聞いた音楽の影響というのは一生続いていくものなのかもしれない。言い換えると16歳から24歳の9年間は人間の内的な面を形成するための大切な期間なのだと考えられる。

ところで、私は来月の終わりに23歳の誕生日を迎える。ウェナー氏の言葉になぞらえて考えれば、私にはあと2年残されている。これをあと2年しかないと考えるか、2年もあると考えるかは難しいところだが、今ウェナー氏に一つ言いたいことがある。

9年はあまりにも短すぎませんか?

「時間の使いかたの最も下手な人が、まずその短さについて苦情を言う。」という言葉を聞いたことがあるが、今回に限ってはそうではないことをご容赦願いたい。限りなき音楽の世界を心ゆくまで探求するのに9年は短すぎるのだ。私自身のこれまでを振り返ってみても、16歳から今まで音楽に飽きたことはないし常に新たな世界を捜してきた。それはなぜかというと、新たな音楽を発見すると必ずそれに派生したものであったりそれに影響を与えたものが見つかってきたからである。

これは音楽に限った話ではないのだろう。要するに、我々は何かについて学べば学ぶほど、自分の知らなかったものがどれだけたくさんあるかについて知るのだろう。だから学びはいくら時間を使っても終わりがない。学びというのは雄大な叡智の海原への航海なのだろう。旅の行き先を示してくれるものは自分自身の知識にほかならず、まだ見ぬ世界への冒険をつづけるため今日も私は何かを学ぶ。

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