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真っ赤なイヤフォンマイクと非常勤講師の署名:オンライン講義と休講の動向に振り回されてる現状を10年後に笑うための忘備録

新型コロナ(COVID-19)の感染拡大対策として教育機関で休講が始まりつつあります。

大学ごとに対応は異なりますが、基本的に、3月末までに、まずは講義の日程を2週間ないしGW明けに延期し、そのあいだは対面講義からオンライン講義へ移行することで、コロナ禍に対応することになりました。

大学の教室ですと、密閉・密室・密接という、いわゆる「3密」を避けようにも避けられませんもんね。。

(なぜ、ここで社会的距離(social distance)あるいは身体的距離という言葉を導入するのではなく、3密という造語・標語を採用したのかは大変気になります)

Twitterでもよく見かけますが、それこそ、すでに「自粛を要請」されてきた大規模イベントよろしく、大学は「毎日が大規模イベント」状態ですので、クラスター感染がおこりやすい、のはたしかにそのとおりだとも思うのです。

通勤・通学で利用せざるをえない公共交通機関での感染のことも考えますと、致し方ない部分はあるようにおもいます。

ということで、僕自身も1人の非常勤講師として、オンライン講義の準備に取りかかっていました。

※以下はしばらくワケあって、ものすごく冗長な話が続きます。次に署名の話がでてくるまで、ガバッと読み飛ばしてもらって全然大丈夫です。

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手軽にテレビ会議(ほんまにtele-visionですね…)ができるということで、どうやら流行しているらしいZOOMをベースに準備を進めています。すでに数回、インタビューや打ち合わせで利用することがあったのですが、アカウントをつくらずとも、先方から送られてきたURLを踏めば、そのまま利用できるし、画面共有機能で資料(映像・音楽ふくむ)も「回し読み」ができるので、大変便利すぎて驚いているところでした。

skypeってなんだったんだ…と感動していたのですが、一方で、脆弱性も複数見つかっており、NYの教育機関では使用がNGとなったり、ちと問題があるなぁとも思っておりました(https://www.google.co.jp/amp/s/www.cnn.co.jp/amp/article/35151881.html)。

なかでも、Zoom Bombing(ズーム爆弾、爆撃)という、不明者が突然授業に“乱入”する事例の報告があり、講義の生中継をするにはリスクがある印象です(https://toyokeizai.net/articles/amp/342571?display=b&amp_event=read-body)。

技術的な対処(参加者の厳格に選別を行うためにバーチャルな「待合所」を設けたり、パスワードを設定するなど)がなされ始めていますが、やはり不安が残るので、自分としては、講義自体をZOOMの録画機能で、録画してしまって、それをどこかにアップロードしておき、学生に視聴してもらうかたちに落ち着きそうです。

ただ、「若者がyoutubeを視聴可能な時間は10分だ」ともSNS上で言われており、「そうなのかもしれないなぁ」ということで、短めの動画を毎回の講義ごとに単発or複数本、作成・編集・アップロードしつつ、ワークシート等の課題や読解様の資料の配布で、なんとか90分+事前事後学習となるようにするつもりです。

もはや「オンライン化」というよりも、新たなかたちすぎるので、実質的には、すべての講義準備の「2周目」を行なっているかたちです。

また、繰り返しますがZOOMもやはり怪しい部分が残るので、大学ポータルサイトを経由して、Microsoftのoffice365のTEAMSを利用しようとも考えています。サービス内容としては基本的にZOOMと同じらしいので、よりベターかと。しかし困ったことに、2つの大学で試したのですが、クラスに該当するteamを作成・参加することが現状できないままで、講義前にテストすることも、できない状態が続いています。

操作のやりかたを身体に覚え込ませる時間がどうしても必要だと思うのですが…ということで、TwitterでMicrosoftの日本版アカウントに話しかけたりしたのですが(笑)、いまのところお返事はありません。大学の教務課におうかがいしたほうが早いかもしれませんので、今日にでもしたいとおもいます。ただ、すでに学生・教職員対応で大変でしょうから、おうかがいするのも気が引けています。

また、劣勢だったskypeが盛り返すべく、meet nowなるサービスを始めたり、もはやLINEのopen chatが便利だという話もあり、さらにデータ容量がどうしてもかさばる動画よりも、パワーポイントを動画にして、スライドごとに音声を吹き込んだほうがいいという話もあり、迷う日々です。(しかし音声のみで解説を入れてしまうと、聴覚障害をもつ学生さんのアクセスを阻んでしまいますので、それもどうしようかな…というところです)。

もはや、「テキストベースで課題提出を課す」方式に特化することを宣言した方もいて、それはそれで潔いなぁと思ったりもします。

そもそも、教科書販売はされるのか。。
GW以降も講義が延期andオンライン対応となるのであれば、紙媒体の教科書が手元にあるほうが身体的にもよいのでは、とも思うのですが。。幸いネット注文and郵送してもらえる非常勤先もあるのですが、来阪していない学生への「配慮」から教科書を用いずにオンライン対応を…というところもあり、こちらに関しては、もはや講義の内容を相当変えねばならないかもしれません。。

そして、対面講義であれば著作権法的にもある程度大丈夫だった視聴覚教材も、オンラインでの講義だと何かと不都合があるのではという大変気になる話もあり(https://www.google.co.jp/amp/s/mainichi.jp/articles/20200406/k00/00m/040/186000c.amp)、さまざまな方向に目配せせざるをえない状況が続いています。

ちなみに、オンライン対応のためのfacebook上の大規模な教員グループもあったり(自己紹介の応酬や個人の実践の開示が続いて議論の進展が…というモデレーターの方が大変そうな投稿をTwitterでみました)、僕自身Twitterで、さまざまな方に技術的な対処をおしえていただいたりしながら、なんとかくらいつこうとしているところです。

ただ、録画するにしても、pcにデフォルトで入っているカメラやマイクだとどうしても長時間の視聴には耐え難いところがあります。仲のいい先生に止めていただいて、高価なwebカメラを買うことはやめたのですが(そもそも、リモートワークのためにamazonでも売り切れ・授業日に間に合わないレベルでの入荷待ちばかりですが)、やはりマイクは相当つらいので、結局、イヤフォンマイクを購入しました。。

でも、いくつかみた「youtuberおすすめの一品」は売り切れていたり、値段がつりあがっていたりするので、結局、特に赤色が好きなわけでもないのに、めっちゃ真っ赤なオンラインゲーム用のものが届きます…。今日です…。

非常勤講師への助成はないので、完全に自腹です。

また、こうした技術的な動向をおさえたり「慣れ」を体得するプロセスを開示する、こと自体を、問題含みの現状に従属的な行為としてくさす言動もよく見かけますので、なかなかTwitterやnoteでこうしたことを書くことも悩ましいところです。たしかに、オンライン講義対応が「できてしまう」と、無理難題を与えても「ホラできるじゃん」と文科省なり大学なりに言われてしまいそうですし、オンライン講義が主流になることで生じるデメリットを招来する部分もあるでしょう(具体的にはなんでしょうね)。

それはよくわかるのですが、1人の非常勤講師としては、オンライン講義の可否が今後の仕事にも影響を与えるほど、クビがかかっていることがらなのではないか、という切迫感があります。

本当は論文執筆をすすめたり、講義の内容をブラッシュアップすべきタイミングなのですが、見事にオンライン講義対応に時間も、体力も吸われています。かなしい。
そして、この悲しさや徒労をうめるかのように、自分のトライアルをこうやって書きたくなっちゃうのも悲しい。10年後くらいにココを見に来て「なにやってるねん」と笑えますように。

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さて、そんな折、感染者の拡大および理不尽なバッシング、大学のサーバーがアクセス集中による落ちること、ポータルサイトの動作が重くなる出来事などが報告がいくつかされるなかで、前期の全面休講を発表する大学がでてきました。

いまのところ、僕が非常勤講師を務めるところは、そうはなっていないのですが、今日(4月8日)の段階で、大阪にも緊急事態宣言が出ましたので、見通しが立たないのはたしかです。

さて、ここからが本題です。


非常勤講師はクビを切られないために助成もないなかオンライン講義の準備に明け暮れてきました。

しかし、全面休講となれば、もしかすると、給料がなくなるかもしれません。

ふと、不安になりました。
Twitterで書いてみると、2人の常勤の先生が、ご自分の大学には非常勤講師にきちんと補償を与えるよう申し入れをしたとご連絡をしてくださいました(僕の非常勤先ではありません、念のため)。

「そうか…申し入れをしないといけないのか…」と思った時に、頭をよぎったのは、数年前に身の回りでおきた「契約書を結んだあとなのに諸般の事情から非常勤の話がなくなり、補償がなかった出来事」でした。

こうした話も知っておりましたので、これは結構マズい状況かも、と思っていたところ、オンライン上でも非常勤講師という立場からできることはやったほうがいいのでは、とアドバイスをいただきました。

ということで、署名サイトでキャンペーンを立ち上げようとしたところ、すでに非常勤講師の賃金補償を文科省に訴えるキャンペーンを始めた方から、ご連絡をいただきました。

大学をふくめた教育機関ごとに補償の采配をお願いすると、補償のある非常勤講師と、補償のない非常勤講師があらわれてしまいますので文科省へのキャンペーンは有効だと思いました。

これは署名するしかない、ということで、さっそく署名し、自分と自分以外の非常勤講師の生活の見通しを立てるべく、皆さんにご協力をお願いしているところです。

ということで、このnoteをよんでくださった皆様、ぜひ署名にサインしていただけますと幸いす。どうぞよろしくお願いします。このままでは、文字通り、非常勤講師は困窮してしまうかもしれません。

以下のキャンペーンにぜひご賛同くださいませ🙏

文部科学省: 非常勤講師に補償を!



こちらの署名は、非常勤講師の賃金補償を求める書名ですが、あらゆる労働者の賃金は補償されるべきだと考えます。

なぜなら、コロナの感染とその対応は「自己責任」で解決できるものではないからです。あらゆる休業は補償されるべきです。

自粛であれ休講であれ「要請」されるのであれば補償が必要です。


ということで、文部科学省に非常勤講師の賃金補償を求めます。教育機関ごとの対応では、困窮する非常勤講師があらわれる可能性があるからです。よろしくお願い致します。

国籍、ジェンダー、セクシュアリティ、宗教、在住する場所…多様な属性をもつ全ての非常勤講師の賃金補償を強く求めます。

また、昨晩、「契約書書いてるのに不安なのですか?」とご質問頂きましたので、こちらにも「お返事」を書いておきたいとおもいます。

ほかの方からの話も聞く限り、オンライン講義に代わる通知はある一方で、必ずしも「給料がかわらず発生する」「前期がなくなっても補償がある」が全ての教育機関で示されているわけではないのです。

たとえば、僕は「対面講義がなくなれば給料ナシ」とは言われていませんが、通信インフラの関係で、もしかしたらそのような状況に立たされる方もいるかもしれません(語学や実習などを担当される先生たちが特に心配です)。

数年前から「契約書むすんだ後に非常勤の話がなくなった」といった話も身の回りで聞いておりますので、困窮のリスクを減らすためにも、キャンペーンは必要だと考えます。

新型コロナ関連は、なにかと補償がない/補償が脆弱というなかで、補償の「対象外」が生み出されながら「自己責任」を求められがちですが、さまざまな場所から声をあげねばと思います。
(こちらの論点については、以下の2つの記事でも書きました。
https://wezz-y.com/archives/75560

https://wezz-y.com/archives/75571)

今チャイムがなったので、真っ赤なイヤフォンマイクが届いたのかもしれません。

実は先日いただいた「ちょっといい椅子」もオンラインゲーム用らしく、しかもそれも真っ赤なので、なんかもう、いまオンライン講義始まると「めっちゃ赤いヤツ」として登場することになります…。

では、玄関にいってきます。
医療関係者の方も、宅急便の方も、あと食料品作ってる方も、ほんま大変ですよね。リモートワークせよと言われても、遠隔講義と言われても、家にいることが「楽」とは限らないので、踏ん張らないといけないのも、補償がないから外出して働かないといけないのも、大変ですよね。

なんとか、乗り切っていきたいところです。。


ではでは、今朝はこのへんで。

じゅりあん

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