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【楽天イーグルス】2019年ドラフトの選手紹介とその意図を考える

【目次】
1.はじめに
2.指名選手紹介
3.総括

1.はじめに

 皆さまこんにちは。ゆきちなです。
去る10月17日に2019年度のドラフト会議が行われました。当日は仮想ドラフト楽天陣営の方々と一緒に和気あいあいと見てましたが楽天の外れ1位指名から怒涛の石井ワールド(?)が展開されたこともあり、脳内処理が追い付かずあっという間に終わった印象です。心の中に何かモヤモヤ感を残しながらドラフト会議直後に各媒体で発表された指名採点を見ると以下の通り

Number50点(12球団中最下位)
AREA dot.55点(12球団中最下位)
スポニチ90点(6球団中2位。最下位がオリックスの85点と甘め)
東スポDランク(A~Dの4段階評価)
スポナビユーザー46.7点(12球団中最下位)

 うーんこの圧倒的敗北感(?)でも待ってください。ドラフト会議の指名って背景があるじゃないですか、いわゆるプロセス。頭ごなしにドラフトの指名結果を否定するのは超簡単ですが今回は指名選手の紹介と共に楽天イーグルスの「指名意図」について考察していきたいと思います。


2.指名選手紹介


1位 小深田 大翔(大阪ガス)

 168㎝/67kgと小柄ながらドラフト指名選手内トップクラスの俊足に加えてパンチ力のある打撃、内野複数ポジションをこなす守備力を持ち合わせる即戦力内野手です。アームの弱さが気になりますがそこはポジショニングやハンドリング等で補えるようになれば良いと思いますし、運よく手本とするべき存在の藤田選手がチームに在籍しているので守備力向上に期待したいところです。
 楽天のウィークポイントである足を使った攻撃の出来る選手であまりOPSを稼げるタイプには見えませんが打撃で出来るだけマイナスを作らず、ベースランニングやUZR等で稼ぐことが出来れば一軍主力級~一軍半として貢献出来たと数字上では評価出来そうです。
選手像:中島卓也(日ハム)


2位 黒川 史陽(智辯和歌山)

 センスを感じさせるバットコントロールにパワーが備わったような選手です。2年生の頃は先輩の林選手同様にメカニクスの欠陥を指摘されてましたがプロ入り前に修正した部分は評価に値するのではないでしょうか。オコエ選手にも引けを取らない二塁到達タイム(7.87秒)を記録するなど意外なツールも持ち合わせています。
 守備に関してはセカンドにしてはサイズが大きいように感じられますが中村(ロッテ)や浅村(楽天)の前例もあるため、先ずはセカンド起用で、しばらくしてから起用の幅を広げるためにサードも同時並行でこなせるようになれば良いと思います。先日の国体では木製バットへの対応力をアピール出来たのもあり、一軍で活躍している選手たちが輩出されるボーダーラインでもある二軍OPS.650以上を一年目の目標に励んでもらいたいところです。
選手像:高橋周平(中日)


3位 津留崎 大成(慶応大)

 177㎝と中背なものの、最速153キロの4シームにカッター、スプリットが武器の筋肉で制圧するタイプのリリーフ候補です。高校時代に行った右肘のトミージョン手術の影響で本格的なプレーは2年春からとなりましたが特に4年生時の成績が凄まじく、10月20日現在まで「10試合 14回 2被安打 17奪三振 1四球 防御率0.00」と六大学の打者を完璧に封じ込めています。
 今時流行りの「スラットスプリット」理論を兼ね備えており、カタログスペックから分かるように1年目からAチーム~セットアッパーとして期待されますが大学時代での連投経験も少ないため、森原のように3連投を出来るだけ避けるなどのケアを行って欲しい所です。
選手像:東京ガス時代の美馬学


4位 武藤 敦貴(都城東)

 知名度は低いですが走攻守三拍子揃ったアスリート型の外野手です。野手では高校通算20発超のパワーに加えて投手では最速142キロの肩が武器で更には足も使えるため、2軍のセンター候補として期待されます。
 打撃に関してはフルスイングが魅力的ですが後ろを大きく使い過ぎるきらいがあるため、4シームに対する振り遅れが多い印象です。打撃フォームの構築に関しては二軍打撃コーチの力量が大きく試されそうですがプロ1年目は二軍のセンター定位置を確保出来るように努めていただければと思います。
選手像:上林誠知(SB)


5位 福森 耀真(九州産業大)

 福岡六大学リーグ屈指のイニングイーター型の投手です。最速154キロ、先発ではアベレージ140キロ前半は担保できる4シームにスライダー、カーブ、チェンジアップなど多彩な変化球が持ち味で秋にはスプリットの習得にも努めているとのことです。
 全国大会の場面では力みからか、高めに抜ける傾向が見られたため「8割の力」を覚えればより安定した投球が出来ると思います。現状では先発・中継ぎどちらもこなせるように見えますがイニングイーターとして先ずは先発起用が想定されそうです。
選手像:松本航(西武)


6位 瀧中 瞭太(Honda鈴鹿)

 去年の指名漏れが意外であった実力派社会人投手の1人です。最速152キロの4シームにカットボールが武器の投手で打者の内角・外角を丁寧に攻めるのが印象的です。
 先発・中継ぎどちらもこなせますが先発では球種の乏しさ(=カットボールへの依存)に加えて4シームのボリューム不足の印象を受けたため、先ずはリリーフの一角として起用するのが適正だと感じます。1年目から最低でも40試合(Bチーム)は投げてくれることを期待したいです。
選手像:石橋良太(楽天)


7位 水上 桂(明石商)

 U-18では正捕手を任された実績を持つ高校生捕手です。センター返し中心のシュアなバッティングに守備でも精度の高い送球でランナーを刺すなどインテリジェンスさがウリのタイプに見えます。
 172cm/72kgとサイズ的には小柄ですが打者の観察力、キャッチング、そしてケースバッティングが出来るなど非常に捕手らしい捕手という印象を受けました。2軍では石原に次ぐ出場機会を確保したい所です。
選手像:伊藤光(DeNA)


育成1位 江川 侑斗(大分)

 S-1ではノムさんにベタ褒めされた九州ナンバーワン捕手です。ディフェンス面での評価が高く、スローイングは水上選手よりも上に見えました。実際にこのクラスの高卒捕手を育成1位で指名出来たのも捕手豊作年に乗っかった形となった印象で2軍では水上選手と出場機会を分け合いながらプロ仕様の配球など覚えていくことが目標になってきそうです。こちらも紹介した水上選手同様に捕手らしい捕手です。
選手像:???


育成2位 小峯 新陸(鹿児島城西)
 昨年度育成指名された清宮に続き、身長188cmもある大型右腕です。2年生のころからスカウト陣に注目されるようになり、このまま3年生に飛躍すると思われていた中で腰・右肩の怪我の影響によりアピール不足に終わりました。楽天の投手育成は佐藤義則コーチが今季まで担っておりましたが投手陣の出力向上の成果が見られず、次年度以降、新人コーチが面倒を見ることになりますが1年目は下半身トレーニング等、ストレートの出力向上に務めてもらいたい所です。
選手像:???


育成3位 山崎 真彰(ハワイ大)
 ドラフト前から一部界隈で「隠し球」として話題となった大型ショートです。ハワイ大では2年間プレーしましたが現在MLBの主力としてもプレーしているコルテン・ウォンも受賞したカンファレンスベストナインに2年連続受賞した実力者でもあります。
 コンタクトスキルと選球眼が一番の武器ですがスピードやアーム、パワーツール(ハワイ大学リーグは金属バット)の部分がMLBドラフトで指名漏れした理由と推測されます。
 育成契約となりましたが来年で26歳と時間はあまり残されていません。木製バットの対応力が気掛かりですが逆にそこさえクリア出来れば持ち前のコンタクトスキルと選球眼で支配下登録の可能性も出てきます。従ってスタートダッシュが非常に大事になってきそうです。
選手像:???


育成4位 澤野 聖悠(誉)

 高校通算26HRの強打が武器の大型ショートです。インコースのボールを腰の回転でぶつける打撃センスに加えて一塁到達タイム4秒弱の俊足、そしてアームの強さと才能豊かな選手です。
 ショートでプレーするにはフレームが大きい点に加えて楽天2軍のデプスを考慮するとショート一本というよりはどこのポジションでもこなせるポリバレント性が要求されると思います。持ち前のパワーと走塁スキルを磨けば早い段階での支配下登録も視野に入ってくるでしょう。
選手像:宗佑磨(オリックス)


3.総括

画像1

 ここでは2019年ドラフト指名の総括をしたいと思いますが楽天が行ったドラフト指名は言わば「デプス埋め」の印象を強く受けました。以下、今回のドラフト指名のプラス・マイナスポイントを箇条書きにて挙げます。


【プラスポイント】
チームの致命的な課題でもあった走塁の改善→小深田
副産物)
茂木のサードコンバートも視野に入り、より打撃に集中できる環境を形成できる。
不足していた野手プロスペクトの確保→黒川
副産物)
内田の本格的な2軍卒業。
強固なリリーフ陣の形成→津留崎、瀧中、(福森)
副産物)
リリーフ陣の出来次第で松井裕の先発転向も視野に入る。
本職が不在だった2軍のセンター補強→武藤
不在だった20代以下のキャッチャー補強→水上、江川

【マイナスポイント】
リーグ5位の防御率、そして高齢化の進む先発投手陣をドラフトで対応出来なかった
ウィークポイントであった即戦力捕手の補強が無かった

 プラス・マイナスポイントはざっとこんな感じになります。
正直に言えば万人どころか玄人受けすらしない指名でしょう。しかし巷で言われている「意図の分からない指名」では決してなく、上記5つが主な指名理由になります。ウィークポイントも散見されますがこちらはドラフト以外での補強も視野に入れていきたいところです。
 では何故今回のドラフトではデプス埋めに重きを置いたか?私なりの推察ですが今年パリーグ3位に滑り込んだ平石監督を解任してまで三木新監督を据えただけに次年度Bクラスになるのは絶対に避けたいという石井GMの思惑があると考えてます。
 全体的に低評価な楽天の2019年ドラフト指名でしたが指名意図は伝わりました。1位指名のインパクトだけで印象を語られることが多いですが実際は徹底的な将来性と即戦力の穴埋めが今回のドラフト指名の実態となります。
 1位指名の小深田選手が即戦力として機能するかしないかで大きく評価が変わってくるとは思いますがまた来年~数年後を楽しみにこのドラフトを振り返ることが出来ればと思います。


【引用】
PABB-lab.com プロアマ野球研究所
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