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世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?

はじめに

『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」』という本を読みました。

ロジカルに動いてるビジネスの世界で、「美意識」と「アート」が何の役立つの?
っていう半信半疑の気持ちで読み始めたけど、すごい納得したし、面白かったです。

ざっくりまとめると

本書の結論を簡潔にいうと、
ビジネスの世界ではこれから「美意識」が大事になるので鍛えましょう!
です!(タイトル通りです(笑))

これに3つの理由を挙げています。
①ロジカルシンキングの限界
②市場の欲求がファッション化している
③世界の変化が早すぎて、規制が追い付かない

それぞれ説明していきます。

本書でいう美意識とは

本書では、美意識を「真・善・美」に分解してます。
これを言い換えると、「直感・倫理観・美的センス」だと思います。
そして、この3つの要素が3つの理由にそれぞれ対応してます(超ざっくり言うと)。

①ロジカルシンキングの限界→「直感」を判断に取り入れる

1.まず、論理的に全体を要素に分解して、原因を特定しようとする要素還元主義的なアプローチは、より複雑で変化の速い今の世の中では、答えを出すのに時間がかかりすぎたり、そもそも解けなかったりする。
論理的に白黒つかない問題に対しては、美意識(≒直感)にも頼るべき。

2.また、論理的に正解を導き出そうとすると、結局は他人と同じ答えに到達します。
差別化ができない。
(この問題に対する答えが②にあるのかなと思います。)

3.ビジョンに必要なのは、理性ではなく、感性。
筆者は日本企業にはビジョンが欠如していると指摘しています。
人をワクワクさせて巻き込むビジョンを掲げるためには、感性に訴えるような美意識が必要。


②市場の欲求がファッション化している→「美的センス」のあるモノ・サービスが求められる

生活水準の上昇に伴い、今では最上位欲求の「自己実現欲求(=自分らしい生き方を実現したい)」を満たすようなモノ・サービスにお金が落とされるようになっています。
筆者はこれを「消費のファッション化」と呼んでいます。

たとえば、ブランド品を買う理由の一つには、そのブランドが醸し出すイメージに共感し、自分をそのイメージに近づけたい実現欲求があると思います。

しかし、「こうなりたい!」という実現欲求の多くは、外部から与えられている選択肢から選んでいるのではないでしょうか。
そのため、企業は「何がクールなのか?」を論理的に探究するのではなく、「これがクールなのだ!!」というように、新しい「ファッション」を上から目線で提示しなくてはいけない。

ここで必要なのが、論理と理性ではなく、美意識(≒美的センス)です。

また、イノベーションにおいても、「テクノロジー」と「デザイン」はパクられる可能性があるが、「世界観とストーリー」は絶対に真似できません。
この「世界観とストーリー」も美意識の産物です。


③世界の変化が早すぎて、規制が追い付かない→倫理観を参照する

人工知能などの新しい技術とそれに伴うビジネスの急速な進歩に、法規制は追い付いていません。
そのような環境下で、「現在の法律に触れていなければOK」というような意思決定をしていると、倫理的な誤りを犯す可能性があるし、法律が整備された後に違法として罰せられる可能性もあります。

そのような分野では、美意識(≒倫理観)に照らし合わせることが必須になる。
Googleでは人工知能技術の暴走を抑えるために、社内に倫理委員会を設置しているらしいです。


まとめ

以上の3つを一言でいうと、「基準の内部化」です。

①真
外部データから正解を探すだけではなく、自分の内側の直感に答えを求める。
②美
顧客の声という外部のものに従うだけではなく、自分が美しいと思うものを発信していく。
③善
法律などの外部の規制だけでなく、それで善いのかを自分で判断する。

筆者は、美意識の鍛え方として、
・絵画を見る
・哲学に親しむ
・文学を読む
などを挙げています。

感想

この頃、「ロジカルでは限界がある」と頻繁に聞いていましたが、やっとその理由がわかりました。
3つの理由どれも納得できるし、ロジカルと美意識の両方が必要だと理解しました。

また、「基準の内部化」というのは、自分のモノサシで判断する事なので、責任を全部自分で背負うことになります。これは、最近よく言われてる、「リスクをとれ」とも繋がっているんだなと思いました。

思えば、自分が知っているビジネス界で大成功している方々も、芸術や哲学に精通しています。
4月からコンサルタントとして働くため、ロジカルな部分はかなり鍛えられると思うので、プライベートの時間で美意識の部分を意識的に鍛えていこうと思います。

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