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中国の詐欺グループに騙されかけた話。

中国の詐欺グループに騙されそうになりました。(お金は取られなかったけど、個人情報はけっこう取られちゃいました。)
めちゃめちゃ手が込んだ詐欺で、こういうのには絶対騙されないと自負していた僕ですけど、気付くのにかなり時間がかかってしまいました。

詐欺の手口と、得られた教訓など書きましたので、是非参考にしてください。

詐欺の手口

1.個人情報が漏れていますので、対策してください。

今日の朝仕事をしていたら、知らない番号から電話がかかってきました。
電話に出ると、中国語の自動音声でした。「DHLの荷物が届いたが、受取人がいませんでした。詳しい内容を知りたい場合は[9]を押してください。」という内容でした。

DHLで中国から荷物を受け取る予定はなかったのですが、「は?」と思いながら[9]を押してしまいました。そしたら、すぐに中国人のオペレーターにつながり、荷物を調べると言われ、名前を聞かれました。
何も考えずに伝えました。(←バカ)

調べた結果、僕の名義で上海に送った小包が上海の税関で引っかかったと言われました。
(一冊の本の中に、三枚のキャッシュカードが挟まっていて、それが申告漏れに該当し、法律に引っかかったとか)

「いや、送った覚えないです」と伝えると、いろいろ詳細を伝えてきます(日付、発送地点、宛先などなど)。
「本当に送ってないですか?」と何度も聞かれます。「いや本当に知らないっす」と断言すると、「お客様の個人情報を使って配送した人がいる可能性がありますね。最近個人情報など流出しましたか?」と話が変わってきます。

心当たりは全くないけど、個人情報の流出となると、さすがに少し焦って冷静な判断ができなくなってきました。

結局、このままだと中国で犯罪の記録が残ってしまうから、上海の警察に電話して状況を説明した方がいいですよとアドバイスされます。
「たしかに!おっしゃる通り!」と思ってしまった大バカです。

警察に伝える事項として、たくさんメモさせられました。(税関の通達書番号など)
そして、海外にいるから大変だろうという理由で、上海の警察に繋いでくれるといいます。たった20秒で警察に繋がりました。
今思うとめちゃくちゃ怪しいけど、その時は少し焦っていたし、「DHLのそういう犯罪対処部門だから、すぐに繋がるんだ」としか思わなかったです。

2.事情聴取

「上海市警察です。どうしましたか?」と。事情を説明すると、「じゃあ、個人情報が漏れてしまい、犯罪行為に巻き込まれてしまったのですね。本当にあなたがあの小包に関係ないか事情聴取します。」と言われます。

オフィシャルな事情聴取で、録音もするので、誰もいないところに移動してください、と言われます。
仕方なく会社のミーティングルームに移動します。

ここで、警戒心を一気に解かせる技を喰らいました。
「対面ではないため、我々が本当に警察であることを証明するために、『上海市警察』とググって、オフィシャルサイトを見てください。その電話番号と、今電話してる番号は、同じか確認してください。」と言われます。

完全に一緒でした。これで一気に油断してしまいます。
(あと後調べると、結構簡単に発信元情報を偽れるみたいです)

この後、中国での個人ID(日本でいう個人番号のようなもの)を聞かれて、ぽろっと話してしまいました。

3.金融犯罪に巻き込まれているぞ

「この個人IDが他に悪用されていないか警視庁本部に調べてもらいます」と言って、本部(笑)に電話を始めます。(電話をミュートせず、僕にも電話の内容が聞こえるように)

その後、事情聴取が続きます。5分ほど経ったころに、本部(笑)から折り返し電話がかかってきて、調査結果を聞いているふりをしていました。

本部との電話を切った後、それまでは親切なお巡りさんを演じてたのに、いきなり脅すような声で、「君、何か隠し事していない?」と聞いてきます。
どうやら、最近逮捕した金融犯罪グループの家宅捜査をした際に、僕が関与している証拠があったみたいです。
ここから心理的に追い詰めようと尋問が始まります。「XXという人と関わったことないか?」「上海の○○銀行に口座いくつも持っている記録があるぞ」などなど。

4.詐欺に気付く

は????何言ってんの???
と思い、ここで不信感がMAXに。

テキトーに電話で応答しながら、鬼のようにググり始めます。
『上海警察 詐欺 発信元 DHL』の検索結果で、元被害者が書いた詐欺への注意喚起のブログを見つけました。
https://blog.jing.do/7237

'警察官'の尋問を流しつつ、さーっと目を通すと、驚くほど同じ手口でした。DHL->個人情報流出->上海警察->電話番号確認させて安心させる->大きな犯罪に巻き込まれるという脅し。全く同じ流れ。
しかも、登場する犯罪グループの主犯格の名前も全く同じでした(笑)

「あのー、これ詐欺ですよね?」というと、「な、なんで?」と焦り始めます。「全く同じ手口の詐欺をネットで見つけたよー」って言うと、「でも、電話番号は上海の警察のものだったよね?嘘なわけなくない?」「あなた自分で通報しに来たんだよね?」とか言い訳を始めます。

電話をそのまま切り、仕事に戻りました。

5.詐欺のゴール

僕はここまでで脱出したのですが、ブログによると、この後は以下のような流れです。

・金融犯罪グループの一員だと決めつけ、こちらに必死で弁解させる。
・理解を示し、一緒に冤罪を覆そう!と心強い仲間になってくれる。
・その後、何週間もかけてやり取りし、司法的な手続きを共同でする。ここで仲間意識を完全に植え付ける。
・最後に司法手続きの費用として、数百万円振り込ませる。

海外で生活をしている中国人(主に留学生)をターゲットにした詐欺グループらしいです。

巧妙な点

振り返ると、上手く人間の心理を利用してるなあと思いました。

・焦らせて、冷静さを失わせる
後から考えると、怪しい点はたくさんありました。(ex.DHLからの電話が080から始まる携帯番号。DHLから一瞬で上海警察に繋がる。etc)
ただ、その時は平常心を失い、すべてスルーしました。

・まずは、小さな嘘から入る
いきなり、「金融犯罪に巻き込まれた」と言われて信じる人なんていません。ただ、「この郵便物に覚えはありますか?」という、ありえなくはないシチュエーションから切り出し、話に載せます。
また、最初のDHLは名前以外の個人情報は聞いてこなかったので、詐欺だとは思えなかったです。

・基本的に味方スタンスでくる
僕は常に被害者で、DHLも警察官も常に僕の味方でした。
焦っていると、やはり警戒心を解いてしまいます。

・冷静になる時間を与えない
常に通話をしている状態を維持することで、冷静に考える時間が全くなかったです。

・電話番号照合
通話相手の電話番号と、オフィシャルサイトの上海警察の番号が同じだと確認させます。
よほどテクノロジーに詳しい人ではない限り、信じてしまいますよね。
これがなければ、個人IDは絶対に伝えていなかったと思います。

・リアリティ半端ない
警察役の人のリアリティがすごかったです。個人情報の流出に関して説教されたり、付近に誰もいなくなるまで事情聴取を始めさせてくれなかったり。
劇団は入れるくらいの名演技でした。

教訓

・まず、自分が詐欺のターゲットになることはないだろうと心のどこかで思っていました。
これがそもそも良くなかったと思います。
常に警戒する必要はなくても、自分もターゲットになるかもしれないと思っておくだけで、いざという時すぐに気づけると思います。

・心当たりがないことは、全部疑う。
当たり前ですが、自分が知らない情報を言われたら基本的に疑いましょう。それが重要そうな内容でも、一旦切って、正式な電話番号を探して折り返しましょう。

・電話番号は偽造可能
これは意外でした。知らない人も多いとは思いますが、是非覚えてください!

・個人情報について
今回、中国の詐欺グループに狙われたのですが、「電話番号」と「自分は中国語が話せる」という二つの情報がどこかから漏れていたことは確実です。
今後は、自分の情報はできる限り公開しないように心がけます。

最後に(&言い訳)

めっちゃ長くなってしまいました。
詐欺といえば、オレオレ詐欺や「1000万円当選しました!」というバカバカしいのをイメージしがちですが、このように何重にも仕掛けがある巧妙な詐欺もあります。
皆さまもお気をつけてください!!
読んでいただきありがとうございました。

P.S. 一つだけ言い訳をさせてください。
僕は中国語を話せて理解できますが、日本生活が長いためネイティブに比べると少し劣ってしまいます。また、電話の音質の悪さも重なり、相手に何度も聞き直すことがありました。
なので、心のどこかで「申し訳ない」気持ちがあり、心理的不利な立場に陥り、常に受け身状態でした。
そのため、気付くのが遅れてしまったと考えています。

日本語だったら一瞬で気付けていました。信じてください(笑)



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