ホラーQ_Anote見出し_櫛木理宇先生

櫛木理宇先生が答える!『プロに聞く!ホラー作家になるためのQ&A』(第3回)

絶賛作品募集中の『ジャンプホラー小説大賞』。その記念企画として、ホラーを愛する作家の方々に、連続インタビューを行います。プロが語る、ホラーとの出会い、作品を書く上での秘訣やテクニック、心得など……受賞を目指す皆さん、ぜひ先生方のご回答を、作品執筆の助けにしてください。

第3回は、櫛木理宇先生にお答えいただきました。

櫛木理宇先生 プロフィール

1972年、新潟県生まれ。
2012年『ホーンテッド・キャンパス』で第19回日本ホラー小説大賞・読者賞を受賞しデビュー。同作は2019年6月現在15巻を数える、人気シリーズとなっている。
その他、第25回小説すばる新人賞を受賞した『赤と白』など著作多数。 最新作は『ぬるくゆるやかに流れる黒い川』。


『ホーンテッド・キャンパス 秋の猫は緋の色』(角川ホラー文庫)

Q1.ホラーにはまるきっかけになった体験や本、人生を変えた一冊などを教えてください。

正確な書名は忘れてしまったのですが、小学生のとき買ってもらった怪談名作集がおそらく最初の出会いです。サキの『開いた窓』やジェイコブズの『猿の手』、岡本綺堂の『西瓜』、上田秋成の『吉備津の釜』等々、まさに名作集の名にふさわしいラインナップでした。
その後、大学時代に読んだシャーリイ・ジャクスン『山荘綺談』でオカルティズムに、コリン・ウィルソン『現代殺人百科』で猟奇事件にハマりました。
漫画では山岸凉子『汐の声』や日野日出志『蔵六の奇病』、諸星大二郎『妖怪ハンター』等に多大なインパクトを受けました。


Q2.ホラーを書くうえで大事にしていることは何ですか?

書きたいものに見合った文体を見つけることをお薦めします。たとえばラヴクラフトは不定形かつ触手だらけのクトゥルー神を描写するにあたって「名状しがたい」、「病的かつ冒涜的な」、「目を覆わんばかりに禍々しい」と曖昧な形容詞を重ねることで、作品全体に混沌とした効果を与えることに成功しています。ちなみに私自身は平易な文体を使い、あまり華美な修飾語は使わないようしています。


Q3.作品のアイデアはどのように作り出しているのですか?

複数のまったく異なったアイディアを繋ぎあわせると話が成立しやすいかと思います。また、非現実的で超現実的な設定に、泥くさいリアリティを組み合わせることで読者の共感が得られやすくなることもあります。ホラーの雄スティーヴン・キングが好例で、彼はB級ホラー的な題材(超能力、幽霊屋敷、吸血鬼など)を扱うことが多いですが、その内実は怒涛の筆力で描き出される緻密な人間ドラマがメインです。既存のホラー映画や小説だけでなく、現実の事件やニュース等も参考にしてみて下さい。


Q4.デビューを目指す人へメッセージ・アドバイスをお願いします。

ホラーというのは懐の深いジャンルで、正統派オカルトから、サイコ、猟奇、スラッシャー、グロ、モンスター、カルト、SFホラー、パニックホラー、ホラーミステリ等々と多岐に渡るジャンルを内包します。グロを書きたいならグロ、サイコを書きたいのならサイコと、あなたの好きなジャンルを極めましょう。ホラーはそういった極端が許される稀有なジャンルです。是非あなただけの新たな「極端」を生みだして下さい。


櫛木理宇先生、ありがとうございました! 

『ぬるくゆるやかに流れる黒い川』(双葉社)


次回(第4回)は、井上雅彦先生です!

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