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平山夢明先生が答える!『プロに聞く!ホラー作家になるためのQ&A』(第2回)

絶賛作品募集中の『ジャンプホラー小説大賞』。そのPR企画として、ホラーを愛する作家の方々に、連続インタビューを行います。プロが語る、ホラーとの出会い、作品を書く上での秘訣やテクニック、心得など……受賞を目指す皆さん、ぜひ先生方のご回答を、作品執筆の助けにしてください。

第2回は、平山夢明先生にお答えいただきました。

平山夢明先生 プロフィール

ホラー・実話怪談をメインに多数の作品を執筆。
「独白するユニバーサル横メルカトル」で推理作家協会賞短編部門受賞。同題短編集で2007年度『このミステリーがすごい!』国内部門1位。『ダイナー』で日本冒険小説協会大賞、大藪春彦賞を受賞。
同作は河合孝典作画でコミカライズされているほか、蜷川実花監督で映画化(2019年7月5日に公開)。最新刊は『東京伝説 自選コレクション 溶解する街の怖い話』 。

『DINER』漫画版(集英社)

Q1.ホラーにはまるきっかけになった体験や本、人生を変えた一冊などを教えてください。

Q2.ホラーを書くうえで大事にしていることは何ですか?

Q3.作品のアイデアはどのように作り出しているのですか?

Q4.デビューを目指す人へメッセージ・アドバイスをお願いします。

平山先生の回答(A1.~A4.)

 生まれて始めて読んだ後に魘されたのが、つのだじろう先生の『亡霊学級』。クラス中の男子がパニックになったのが日野日出志先生の『地獄の子守唄』でしたね。このふたつには学校とか路地とかの日常に思いも寄らない〈恐怖〉が流れ込んでくる迫力がありました。奇妙な体験と云えば中学の林間学校で昼間どしゃぶりで予定の行事が中止になり急遽、怪談会をしたとき、目の前の押入にTシャツの男がいると突然、女子が悲鳴を上げて騒ぎ出したこと。放課後、仲間と〈こっくりさん〉をしていたとき、誰かが十円玉から指を離した瞬間、馬が何頭も駆け抜けたようなもの凄い音が廊下でしたのも強烈な思い出です。
 ホラーというのは書き手の繊細さと大胆さが最も、ものをいういわばジャンル。あり得ないこと、存在しないことを読者の脳という世界にだけは〈実体化〉させる。現代の魔法使いや呪術師といってもいいかもしれません。それ故に嫌悪感をもたれたり、誤解されることもあるのですが、実はホラーというのはとても重要かつ、人々が物語を始めたときから存在する根源的なジャンルでもあるのです。それは何故か?かつて炭鉱では空気がなくなるのを知らせるために生きたカナリアを持参したようにホラーは世の中の人々に物語という形をとって予測し得る〈危険〉を知らせるものでもあるからです。人は〈物語〉によって危険なこと、直さなければならないことを伝えあってきたのです。だから堂々と胸を張ってホラーに挑戦してみてください。
 コツは〈見逃さないこと〉です。簡単に〈ふ~ん、そうか〉とは思わない。何か少しでも引っかかることや、気になって頭が回転し始めるようなことがあったら喰いついて考えることが重要です。すると人には見えなかった〈なにか〉が立ち上がってくるはずです。みなさんの読者のド肝を抜きながら、自由にぶん回しつ、紡がれたイキの良い物語を期待します。

平山夢明先生、ありがとうございました!

『東京伝説』(竹書房文庫)

次回(第3回)は、櫛木理宇先生です!


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