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僕が環境問題から少子化問題にピボットした理由

2016年にシリコンバレーにあったウェアラブルベンチャーをアメリカの大手腕時計メーカーに売り、その売却益でベトナムのパートナーのサニーとAlabaster(アラバスタ)という小さなエンジェル投資会社を作り、私はその日本市場担当となりました。

Alabasterはかなり前から構想はあったのですが、単にキャピタルゲインを狙うだけではなく、大手のVCが手が出せないようなスタートアップに投資して、その活動を通じて地球環境にインパクトのあることをしようというのが目的です。

投資先の自由度を高める上でも自己資金で始めるということがとても重要で、運良く会社を売却できたタイミングで投資を開始しました。

元々、私もサニーも省電力の技術に長けたスタートアップを転々としていたこともあり、電力関連のディープテック企業を紹介されることが多く、そこから広がり2年ほどで海外30社程のアーリーステージに投資してハンズオンで手伝うことになりました。

私たちの投資判断基準はちょっとユニークで、多種多様な新技術を「2050年までにどれだけコスパ良く二酸化炭素を減らせるか?」という軸で判断し出資を決めていました。
世界中の科学者の知見を集めた「Drawdown」というプロジェクトがあり、その団体が出しているランキングを判断材料としています。

もちろんビジネスとして成り立つ経営力があるか、というのも重要ですが、そのあたりは海外の人脈でCEOや経営者のリファレンスをとって確認していました。アーリーステージのスタートアップはソリューションx経営力なので、その二つを評価しながら投資判断をしていました。

私の役割は投資先の企業が日本で活動したいというときに、基本的なビジネスの基盤を作ってあげることがメインでした。日本は海外から見るとまだ魅力的な市場らしく、スタートアップ企業からすると期待値が大きいのです。15年近く海外ベンチャーの日本進出を手伝ってきた経験から、その期待値を下げてあげるというのが私の実際の仕事だったきがしますが(苦笑)

いくつかの投資はうまく行きましたが、成功したのはほとんど海外市場でした。日本市場は特にその頃はまだ環境系のスタートアップへの引き合いが少なく、あまりうまく行ってなかったところにコロナが発生して、ほとんどのビジネスが途切れてしまいました。

それと同じ頃から、SDGs専門家でございますみたいな怪しいコンサルっぽい人がちらほら出てき始めて、環境問題なんて考えたことのない企業の経営層に食い込んでいるのをみてるうちに「あぁ、自分もああいう存在に見られてしまうのかも」という嫌な気分になり、あんまり環境やってますと言わないようになりました。

もう一つ、環境系の仕事をやっている中で腹落ちできなかったのが、いいことはやってるはずなのに「手触り感」がほとんどないという点でした。
夏は毎年暑くなるし、異常気象は起きるし、トランプ大統領がパリ協定ひっくり返したりとか、ひねくれたTwitter民が「温暖化は嘘だ」とか騒いだりと、どうしても自分のやってることがいつ結果に繋がるんだってところが全然見えなかったのです。

それでもコツコツ頑張れる性格ならいいのですが、やっぱり達成感がある大きな目標を目指したい、しかも自分の存在が明らかにアドバンテージになる社会課題を解決したい、という思いが日に日に強くなってきました。

そんな中、日本の少子化問題がいよいよ引き返せないところまで来たよ、というニュースを見て、環境問題と少子化問題どっちをやるべきかを真剣に考えて、下記のようにメリデメを整理しました。

環境問題

メリット:

・スケールが大きそうで、話しをするとモテる
・領域が幅広く、何をやってても環境です〜って言える
・やりたい人が多いし、ニーズもある

デメリット:

・手触り感がなさすぎる
・日本市場はぶっちゃけ小さい
・助成金狙いの怪しいコンサルが増えてきてる

少子化問題

メリット:

・自分が生きているうちに結果がわかる
・民間で解決しようとしてる人がほぼいない
・日本の問題なので、海外勢が参入してくる可能性がほぼない

デメリット:

・政府に任せてればいいと思ってる人がほとんど
・なにから手をつけていいか皆目検討がつかない
・ビジネスとして成り立たなそう

こんな感じで考えている時に、かつて私の会社で学生インターンをしていた菅原くんが2050年の脱炭素社会のリーダーを育成する「一般社団法人グリーンイノベーション」を立ち上げて、教育とイノベーションという正攻法で環境問題に取り組んでいくという報告を受けました。

ここで私はイノベーションや新規事業開発の講義を担当させてもらいながら、メインのフォーカスを徐々に「日本の少子化をビジネス視点で解決する」にシフトするようになりました。

次回は、ビジネスマンとして少子化問題と向き合った時に見えてきたものと、それがどうして若者支援やジャンプダイの設立に繋がったかというお話をできればと思っています。

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それではみなさん素敵な1日を!ジャンプ!🚀

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