短編: 3つの脅威

【記事の長さ:3分】今日は短編小説初めて書いてみました。

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「俺より強い奴に会いに行く。」

これは強敵との闘いを求めて世界中を旅をし、最恐の戦士になる物語。

彼は大都市でもないごく平凡な町に突如として生まれ落ちた。彼をこの世に迎えいれたのは、いわゆる根なし草の部族だった。特定の場所にはとどまらず、ただ拠点を移しては標的になった民族の町から、生きていくための食事を力ずくで奪い、乗っ取り、破壊していく。そういう部族だった。奪った後は破壊をすることで、恨みや逆襲のリスクを減らす目的もあった。

彼はその部族の中で育っていくも、部族の中では力はむしろない方だった。殺傷能力、パワーだけでいえば他の者の方が優秀であった。しかし、彼には他にはない強みが一つだけあった。それは速さ、スピードだ。

攻撃力はないものの、彼のスピードは他の追随を許さないほど早く、彼の初陣ではすぐさま、町から町へと瞬く間に襲った。しかしパワーのない彼は必ずしも標的の町を破壊しきることができなかった。

周りからは非難された。反撃の隙を与えてどうする。対応されてしまってはどうする。これでは部族にとって不利益な行為だ、と。

しかし、周りの非難はすぐさま裏切られることになる。

彼は類まれなるスピードを更なる高みへと運んでいた。隠密行動だ。これであれば敵に気づかれる前に町を襲撃し、情報を得て、次の町へと身を移すことができた。チャンスと見た対象には容赦なく襲い掛かる残虐性も彼は持っていた。

次から次へと彼は町を襲撃し、瞬く間に世界各地に赴き、その速さは歴史を塗り替えるほどとなった。また、その速さから、襲撃された町が多すぎ、被害の大きさから民族は一念発起することすら許さなかった。また隠密行動が巧みすぎて、被害の広がりを食い止めることが誰もできなかった。

彼はついに民族から指名手配をされることとなる。町は万が一隠密行動をされても出られぬよう防壁を張られ、被害を広げぬよう国として他の町との流通を絶った。

これは効果てきめんであった。彼の勢力は衰え、次第に容易に襲える町が減っていった。兵糧も尽きてきた。万事休す・・・

・・・となるはずだった。

しかし誰にも彼を止めることができなかった。民族はみな、忘れていたのだ。彼ら部族は町を襲うたび、そこでの飯を食らうたび、姿かたちを変えることができ、一言でいえば進化する。指名手配をしたところで、次の町を襲う頃には前の経験をもとに姿形を変え、更に強くなっている。

彼の強みの一つは隠密行動。殺さずして彼は誰よりも進化した。

力を蓄え、勝利を少しでも感じていた民族の一瞬の気のゆるみを彼は見逃さなかった。彼は油断している町から次第に攻めていき、武功を挙げていく。

それをみて、中にはあきらめ始める町もあった。勝てるはずがない、と。自暴自棄になり、自ら防壁を外し、挙句の果てに絶たれていた他の町との交流を始めた。

民族は慌てて統率を取ろうとするものの、手遅れだった。

彼の強みの一つはスピード。気づいたころには手遅れになっていた。被害が瞬く間に広がり、民族は絶望の淵に立たされていた。

彼は生まれ持ったスピード、隠密行動、そして種族としての進化の能力を駆使し、世界を恐怖のどん底へといざなった。

しかし、現れてしまう。ヒーロー達だ。民族は結集し、ヒーロー達に救いを求めた。ヒーロー達は彼が襲い掛かる町の警備に回り、被害を最小限に食い止める。そう、ヒーロー達は彼よりも強かった。

これが非常にやっかいであった。彼ら部族は町を乗っ取り奪うことで進化し、力を蓄えることができるが、それをヒーロー達が邪魔する。彼は考えた。どうすれば勝てるだろうか。

彼は誰よりも強くなりたかった。パワーのない自分を変えたかった。部族の仲間からも認められたかった。若かりし頃は民族からもパワーのない雑魚とバカにされたこともあった。彼はここで負けるわけにはいかない。

そこで彼はハッと気づく。彼をバカにする民族はまだ一定数いる。あきらめている奴らもいる。そいつらだ。そいつらをターゲットに絞れば、また強みのスピードを使い、町を乗っ取り変化・進化して強くなり、ヒーロー達と戦える。

ヒーロー達に、自分より強いやつに勝てば誰も笑わなくなり、自分のことを認めてもらえるのではないか・・・

彼は不適な笑みをこぼした。
「俺より強い奴に会いに行く。」
そういって彼はまた町に襲い掛かる・・・


言い忘れたが、この物語の主人公の名前は「新型コロナウイルス」だ。

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あとがき

3月5日に1都3県では緊急事態宣言が正式に2週間延長されました。でも、これは感染拡大地域に住んでいる方だけの問題ではなく、人類としてウイルスの勢力を下げれるようにしなければ、変異や進化の脅威がなくなることはないでしょう。

変異は人体を実験台にすることで発生する、いわばウイルス側の生存のための進化だそうです。例え周りに感染した人がいなくとも、感染したが治った人が多くいたとしても、感染したかもわからない年代だったとしても、変異してしまえばワクチンの効果は薄れ、最悪意味をなさなくなるリスクだってあります。敵に塩を送るような行為は全力で避けるべきです。

新型コロナウイルスがWHOからパンデミックと認定されてから1年が経ちましたが、一人の油断が敵の勢力を拡大させるリスクがあることを認識の上、この記事が改めて行動を見直し、自粛を促すきっかけとなればと祈っております。

ちなみにこの物語は
・主人公=コロナ
・部族=ウイルス
・民族=人類
・町=人体
・国=人々
・ヒーロー=ワクチン
に置き換えて読んでいただければなと思っています。

小説を読むのは好きですが、書くのは初めてなので駄文だったと思います。ご容赦ください。

また、あくまで本記事は一個人としての意見であり、正しい情報であると断言は一切できません。政府や研究機関からの正式な情報をご自身でご覧・ご確認になってください。

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では、また来週。

- JumpE

・・・え?キャリアシリーズさぼってるって?なんのことだか・・・

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