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森と溶け合うポリリズム Eテレムジカ・ピッコリーノ総合演出による教科書に載っていない音楽のこと その4

世界には僕たちの想像をはるかに超える音楽の考え方があります。

今日紹介したいのは「森と音楽の境目がない」という考え方。さて、どんな考えなのか、語ってみたいとおもいます。

その考えを教えてくれたのは、矢野原佑史さん。かれはカメルーンの森林に住むピグミーという人々の集落に入り、フィールドワークを行う研究者です。

ピグミーは音楽とともに生きているといいます。

彼らは日常的にありとあらゆる生活シーンで、ちょーーーー複雑に聞こえる、リズムのアンサンブルを演奏するのです。

二つ紹介します。

★一つ目超グルーヴィに、水を叩く人々。特に33秒〜のお母さんたちやばいです。

★こちらは楽器も含めたやつ。

これらのリズムはポリリズムと呼ばれたりします。ポリリズムとは、ポリ(複数)のリズムってことです。余談ですが、パフュームのポリリズムの間奏もポリリズムが演奏されます。このポリリズム。いろんな説明の仕方があると思いますが、要は2の倍数のリズムと3の倍数のリズムの組み合わせのこと。動画つくってみました。多分、わかりやすいと思います。


この動画の図をご覧になってわかると思うのですが、2と3を重ねるとお互いの拍がそれぞれの間に入っていくため、バラバラっとした音になるという仕組みなのです。

では、なぜピグミーの人たちは、わざわざこんなにバラバラっとした感じのリズムを目指すのでしょうか。

その秘密は、ピグミーの人たちの価値観。なんでもリズムがピッタリ合うことは粋じゃないと言う考えがあるそう。(西洋クラシックと全く逆ですね。)

リズムは、ずれる方が粋だという感覚は、子供の頃から根付いてるらいしく、ピグミーの2、3歳くらいの子供の数人にせーので手拍子をしてもらうと、みんなバランバランなリズムで叩くそう。きっと日本なら、なんとなく合いますね。

もっと深めて考えると、なぜ、ずらす方が粋だと感じるのかという問いにたどり着きます。

その問いに対して、ピグミーの研究者の矢野原さんがこのようなことを言ってくれました。

彼らにとって森林はとっても身近なもので、きっと自分たちと境目を感じていないと。

そこで奏でる音は、きっと森林と連続しているというイメージがあるはず。

森を観察してみると、木々、そしてその枝同士が、物理的に決して同じ場所でぶつかり合わないように生息している。つまり、ずれながら共存している。

きっとそのことと彼らのポリリズムが関係があるのじゃないか

とおっしゃってました。


目から鱗。鱗。鱗。


そう思ってもう一度先ほどのポリリズムの映像を聞いてみてください。

最初に聞いた時より、難しく感じないようになってませんか?

きっと僕らは無知や想像を超えるものを「難しいもの」として片付けてるのだと思います。

「人々と森が連続している世界」みたいな考えは、なかなか実感がわきません。

しかし、ひとたび音楽を通して考えると、その一端がを感じることができたような気がして、僕はとっても幸せな気持ちになるのです。


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