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STARBOY - The Weekend

ついにMVが公開(※9/29追記)

それは8月下旬のことだった。「The WeekndがDaft Punkとスタジオ入り」したニュースが海外メディアを通して世界に発信された(”A Republic Records Executive Says That The Weeknd Is Working With Daft Punk”:FADER)。

間違いなくThe Weekendが新作に向けて動いていることを確信させる話題だった半面、2014年のグラミー賞以降、全く表舞台に顔を出していないDaft Punkの行動に関するニュースには半信半疑な気持ちでいる自分がいた。

そして昨夜、突如彼のインスタグラムの写真が全削除された。「コレが新時代の前に投稿する最後のポストだ」と宣言したのち、一夜明けた今日、ついの”新時代”が開かれた、というわけだ。

STARBOY』と名付けられたアルバムは11月25日発売だそうだ。不敵な表情が不気味にも見えるが、ヘアスタイルも一掃し、クールにキメたThe Weekndはデジタルともアナログとも言えない、まさに時代の変換点に立つ存在のようだ。

その時代の変換点において重要なファクターを担うのが冒頭に挙げたDaft Punkだったとは夢にも思わなかった。まさか激動で波乱に満ちた2016年にDaft Punkまでもが浮上するとは。それがニュースのみで終わるならまだしも、今回リリースアナウンスと共に公開されたリード曲「Starboy」に”feat. Daft Punk”の表記があることが何よりこれが現実であることを証明していた。

・Starboy (feat. Daft Punk) :Apple Music

独特のキック&ビートがR&B、サルサなど、ラテン系の揺らぎと共鳴し、The Weekndの透き通るハイトーンにスペーシーな勢いをつけている。ヴォコーダーやフランジャーなどのエフェクティブなアレンジは後退し、あくまでThe Weekndに宛てたDaft Punkのトラックだということがわかる。しかしそれが彼らのネクストステージを映し出しているかはわからないが、Pharrell Williams, Kanye Westとのコラボレートでは見せなかったサウンドコラージュを3年越しに、The Weekndのもとで開花させたことがなんともニクい。

Daft Punkの音楽はいつも時代の先進性と潮流を先取りしているが、おそらくこの「Starboy」も同じく来年、いや2年先のトレンドをすでにトラックに落とし込んでいるのかもしれない。それは『Da Funk』(95')から始まり『Discovery』(01')で覚醒し、『Human After All』では初期EDMに見るビッグビートを多くのリスナーに事前インプットさせることに成功しているなどの実例がある。

そしてKendrick LamarTo Pimp A Butterfly』(15')、そして今年リリースされたFrank Ocean Blonde』などに見る歴史と音楽の文化的合流のプロローグを務めたのも、間違いなく『Random Access Memories』(13)から続く音楽を歴史絵巻と見立てるようにアップデートするメソッドが起点になっている。

ジャズプレイヤーを自身のアイデンティティー に組み込む解釈はDavid Bowieの遺作『★(BlackStar)』(16')にも応用されていることはご存知の通り(マリア・シュナイダー・オーケストラのメンバーが数多く参加)。

どうやらTheWeekndのアルバムは本当に新時代を告げるものになるかもしれない。話によればThe Smiths, Prince, Talking Headsなどからインスパイアされた作品とのこと(The Weeknd announces Starboy album with artwork by Nabil:Factmag)。ジャンルや時代を超えて影響を参照し結晶化することも2016年を語るときのキーワードになるだろう。今後発売されるDanny Brownの新作も然りだ 。

『STARBOY』のさらなる詳細は未だ不明だが、もしかしたらCashmere Catのトラックも入っているかもしれない。すでにCashmere Catの新作に収録される「Wild Love」にてコラボレーションしているだけに、他にレコーディングした曲があってもおかしくない。

ここに来て2016年における音楽相関図にDaft Punkが参入してこようとは。これでKanye West, Beyonce, James Blake, Franc Ocean, ,KOHH, 宇多田ヒカル, Bon Iverの後にThe Weekend, Daft Punkと線を伸ばさねばならなくなったが、それも嬉しい悲鳴だと言っておきたい。

間違いなく、いまこの時、音楽が点と線となり、時代を描いている最中で、私たちもその描くスピードに必死にしがみついていくかどうかが試されている。

ちなみに

この『STARBOY』の独特なアートワークを手掛けたLAのビデオディレクター/フォトグラファー:Nabilも2016年の点を結びつける線を成す1人である。

映像ディレクターとしても活躍するNabil Elderkinの経歴や作品はWikiのおまかせするとして、今年に入ってからはKanye West『Famous』やANOHNI『Drone Bomb Me』などを手がけている。

他にもフォトグラファーとしてFrank Oceanがポップアップショップのみで販売した「Boys Don't Cry magazine」にも参加。さらにシューズブランドReebokのクラシックシリーズのキャラクターを務めたKendrick Lamarを撮影するなど、今年を語る上で必要不可欠なアイテムにも密接に関係している。



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