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ちゃがちゃがゲームズのゲームデザイナーの1人。「うずまきスイッチ」というブランドで「ス…

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ちゃがちゃがゲームズのゲームデザイナーの1人。「うずまきスイッチ」というブランドで「スタンプグラフィティ」「くだものあつめ」「おさわり人狼」「フラワーズ・フォー・バルコニー」「シュガートピア」といったゲームを制作。本業はプログラマー。スイーツとお酒とかわいいものに目がない。

最近の記事

行政と一緒にボードゲームを作りました

2023年某日2023年某日、我々「ちゃがちゃがゲームズ」に、福井県から依頼が舞い込みました。 曰く「SDGsをテーマにしたボードゲームを作りたいのですが、可能でしょうか」というものです。 個人的に、企業や行政とのコラボレーションでのボードゲーム制作を一度やってみたかったこともあり、お引き受けすることになりました。 ターゲットは誰?最初に考えたのは、「ターゲットはどこだろう」という事でした。 福井県の方の話では、このゲームは「県がSDGsの啓蒙活動をするイベント等で使

    • 「リバイブ(Revive)」の公式ヴァリアントほか

      はじめにリバイブは、衰退した人類が氷の大地を溶かしながら復興していくボードゲームです。 比較的少ないルールの中に、デッキ構築、陣取り、個人ボード能力解放、種族固有能力といった、重めのボードゲーム好きにはたまらない要素が盛り込まれた傑作です。 ゲームには「キャンペーン」と呼ばれる5段階のシナリオが付属していますが、シナリオ自体にはそれほど意味はなく、どちらかというと、段階的に要素が追加されていくチュートリアルといった位置付けになっています。 かなり面白いのですが、一部、バ

      • 超辛い(Sauscharf)のルール抄訳

        いつもの「自分用のメモ」です。yskさんにインストしていただいたので、英語ルールを読みながら覚えているルールを書き下しています。英語ルールの完全な訳ではありません。悪しからずご注意ください。 セットアップカードディバイダーを組み立ててプレイエリアの中央に置く。 全てのチリカードをシャッフルし、7つのスロット全てが埋まるまで1枚ずつめくっていく。同じ値のカードは同じスロットにずらして置き、カードディバイダーの中でグループをつくる。3枚を超えるカードのグループは作れない。もし

        • グレートウエスタントレイル:アルゼンチンのルール差分

          グレートウエスタントレイル:アルゼンチンのルールを、グレートウエスタントレイルを知ってる人向けに「ルールの差分」のみを説明する記事です。自分用のメモですが、役に立つ人もいるかもしれないので。 セットアップ(変更点だけでなく全て記述)ボードやサプライの準備 駅長タイルを8枚中5枚ランダムに配置して残りは使わない 中立の建物タイルをアルファベットに合わせて配置(慣れて来たらランダム) 雇用市場マーカーを1番上の丸スペースへ配置 袋Aから農民5枚引いて配置(オレンジと黄色

        行政と一緒にボードゲームを作りました

          2022年に初めて遊んで面白かったボードゲーム(+ワカつら大賞)

          はじめに2023年が明けて結構経ってしまいましたが、2022年に初めて遊んだボードゲームの振り返り記事をまとめます。 私は遊んだボードゲームを #ボドゲレビュー というタグを使ってtwitterに投稿しており、中でも面白いと思ったゲームには #1金 #2金 #3金 のタグもつけています。 それらのツイートを全て拾い、リストアップした上で、改めて「印象に残っているゲーム」を抽出してみました。 最後に、私が不定期で朝放送しているツイキャス番組「ワーカーはつらいよ」にちなみ、

          2022年に初めて遊んで面白かったボードゲーム(+ワカつら大賞)

          『竜とそばかすの姫』感想&考察:10代に見て欲しい青春劇

          注意:この記事はネタバレを多く含みます。 「竜とそばかすの姫」。個人的にはとてもツボでした。 セーラー服のショートカット少女、心に落ちる暗い影、甘酸っぱい青春劇、恋愛、友達、それに加えて、正体を隠して仮想世界の歌姫になる、歌で人の心を救う展開など、胸熱と言って良い映画でした。 ただ、脚本にはいささか残念なところもあり、この記事ではそのあたりを掘り下げて補足していきます。 脚本の骨子(1) 母親が自分ではなく見ず知らずの子を助けて亡くなった→自分は本当に母親に愛されてい

          『竜とそばかすの姫』感想&考察:10代に見て欲しい青春劇

          ラウンド、フェーズ、ステップ、ターンの違い

          ボードゲームの用語で「ラウンド」という言葉があります。 6ラウンドやったら終わり、とか、「もうあと1ラウンドしかない!」とかです。ボクシングでもラウンドがありますね。「カーン!」とゴングがなってから「カンカンカン!」ともう一度なるまでが一つのラウンドです。 似た言葉に「フェーズ」があります。思えば他にも「ステップ」とか「ターン」とかいろいろあります。これらの用語にはどういう違いがあるのでしょうか。 著者のいち意見でしかありませんが、私の考えをまとめてみたいと思います。

          ラウンド、フェーズ、ステップ、ターンの違い

          自己肯定感は焚き火で高まります

          自己肯定感が高い人にはわからない辛さがある焚き火の話になるまで、前提となるお話を。こんなツイートがtwitterで話題でした。 相談者の方曰く、「趣味の絵を描いてツイッターに投稿しているが、最近評価があまりよくない。自分より上手とは言えない人の絵が評価されていると憤りを感じる」というものです。「気分が晴れるような回答をお願いします」と書いているところから、だいぶ気分が沈んでいて慰めが欲しいとも受け取れます。 これに対する回答者の答えは後で説明するとして、このツイートにたく

          自己肯定感は焚き火で高まります

          ボードゲームがインタラクションを捨てる日

          以前からなんとなく感じていた事ですが、今回「アナログゲームとデジタルゲームは何が違うのか?」という記事を書いていて改めて思った事があります。 それは「最近のボードゲームは、コンピューターゲームの領域にどんどん近づいている」ということです。 先日書いた記事によれば、コンピューターゲームの持ち味は「自動処理(によるソロゲームや複雑な処理の表現)」と「ランダマイザの隠蔽(によるストーリーの表現)」で、ボードゲームの持ち味は「ルールが生み出す駆け引き(インタラクション)」と「マジ

          ボードゲームがインタラクションを捨てる日

          アナログゲームとデジタルゲームは何が違うのか

          はじめに、タイトルでは対比の為に「アナログゲーム」「デジタルゲーム」と書きましたが、一般的にはそれらはボードゲーム、テレビゲーム(又はコンピューターゲーム)、と言われる事が殆どでしょう。この記事では、表記を「ボードゲーム」と「コンピューターゲーム」に統一します。 バンゲームとファミコン「ゲーム」という言葉は、日本では往年のファミコンの流行と共に一般に定着した感があって、昭和の時代にタカラ(現・タカラトミー)が一連のボードゲーム・シリーズで「バンゲーム」という言葉を流行させた

          アナログゲームとデジタルゲームは何が違うのか

          ボードゲーム制作における、作りたいものを作る「創作」と顧客がいる「商業」の話

          「創作」と「商業」の境界全ての創作活動に言えることだと思いますが、それを自分以外の誰かに届けようとした時、「商業」が絡んでくることがあります。 例えば「絵を描いてみんなに見て貰う」という話なら、今ならSNSが発達していますから、そこへアップロードすれば、(通信料やデバイス端末などは必要ですが)基本的には無料です。 しかし、紙に描いたり印刷したものを誰かに届けたいとなった場合、印刷費用や送付料等が発生してくる為、「無料で」とはなかなかいかなくなり、届ける相手にも相応の対価を

          ボードゲーム制作における、作りたいものを作る「創作」と顧客がいる「商業」の話

          ボードゲームの面白さを形作るのはルールだけではない

          ボードゲームデザイナーというと、ルールを考えるのが仕事というイメージを持っている方が多いかもしれません。箱裏にも、デザイン担当と言えばルールを考えた人、アートワークやグラフィック担当は見た目を作った人、という感じで担当分けされており、基本的には「ボードゲームの作者」と言えばルールを考えた人のことを指します。 しかし、面白いルールさえあればそれだけでボードゲームは面白くなるか、というと、そうではありません。ルール以外にも、ボードゲームを面白いと感じさせる為の要素はたくさんあり

          有料
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          アナログゲームデザイン:「カラーズオブパリ」のシステム考察

           「Colors of Paris(カラーズオブパリ)」は、2019年にSuper Meepleから出版された、Nicolas de Oliveiraによるアナログゲームです。最近このゲームを遊ぶ機会があったのですが、システム面でいくつか気になった所があった(いや、正直に言うと、気になる所がありすぎた)為、書きだしてみることにしました。全体的に批判的な内容になっていますので、そういうのが苦手な方には最初に謝っておきます。  念のため書いて置きますと、カラーズオブパリは世界の

          アナログゲームデザイン:「カラーズオブパリ」のシステム考察

          新型コロナ下でのボドゲ会を考える

          注意この記事は、誰かを非難する為のものではありません。ボドゲ会毎に様々な考え方があると思います。例えば、この記事ではボドゲ会中の食事を禁止としていますが、そうでない会を批判する意図はありませんし、そのような意図でこの記事が引用される事を望んではいません。考え方は人それぞれであり、何が正しいかは誰にもわかりません。各自が自分の判断と責任で対策を考えればよいと思います。この記事は、その一助となればと思い、書いたものです。 背景新型コロナウィルス(COVID-19)の世界的な感染

          新型コロナ下でのボドゲ会を考える

          ゲームマーケット2020大阪の注目作品

          【お知らせ】 2/26に、コロナウィルス対策の為、ゲームマーケット2020大阪が中止になることが運営から発表されました。大変残念ではありますが仕方がないと思います。こちらに掲載されている作品については、個別に通販などもされると思いますので、ぜひBOOTHやボドゲーマさんなどをチェックしてみて下さい。私もBOOTHとボドゲーマさんに委託する予定です。 ゲームマーケット2020大阪が近づいてきました。せっかくですので、注目作品をいくつか挙げてみたいと思います。カタログをざっと見

          ゲームマーケット2020大阪の注目作品

          アナログゲーム・デザイン:「シュガートピア」はどのように作られたか

          こんにちは、ちゃがちゃがゲームズという福井県のボードゲーム制作サークルで、「うずまきスイッチ」というブランドでボードゲームを制作しているjun1sと申します。 今日は、新作のボードゲーム「シュガートピア」がどのような意図や思考を経て完成に至ったかを、私の記憶が新しいうちにまとめてみたいと思います。同じようにゲームを制作する方の参考になればと思います。 最終的にできあがったゲーム先に、最終的に出来あがったゲームを紹介します。その後、ここへ到達していった経緯を説明した方が、読

          アナログゲーム・デザイン:「シュガートピア」はどのように作られたか