【便乗商法演説】小泉進次郎氏 2018年9月16日 沖縄知事選挙応援演説

便乗商法という言葉をご存知だろうか。

話題になった人物や商品、あるいは大規模なイベントや事件が起こった事に乗じて利益を得ようとする商法。「あやかり商法」と呼ぶこともある。
(出典:Weblio辞書)

これとよく似た手法で実に巧みな演説をする政治家がいる。
自民党・小泉進次郎氏である。

2018年9月30日に投開票を迎える沖縄県知事選挙。進次郎氏は9月16日、23日と2週連続で沖縄入りし、与党が推薦する佐喜真淳候補の応援演説を行なっている。本記事では、9月16日に小泉進次郎氏が那覇市内で行った演説内容を便乗商法の視点で分析したい。

また、自身とは直接の関係がない旬の話題を連呼して、イメージアップを図ろうとする小泉進次郎氏の演説は「便乗商法演説」と命名する。(2018/9/29に筆者命名)

✳︎演説内容全文は野良放送氏の文字起こし参照
https://note.mu/nora_journal/n/n99bc22f88689

沖縄知事選挙で県民が重視する政策

上記の世論調査は2018年9月15~17日にリサーチコムが実施した結果である。
「普天間基地の移設への対応」が47%とダントツ1位であり、県民の半数近くが重視する最重要政策であるとわかる。

この点を踏まえて、演説内容では基地問題の政策がどのように語られたのか見ていきたい。

政策を重要視する県民の割合と関連キーワード発言回数

灰色の棒グラフは、演説中に出てきた主なキーワードの出現回数である。
また、赤の折れ線グラフは、そのキーワードに関連する政策を重視する県民の割合である。

当日に沖縄で引退を迎えた歌手・安室奈美恵さんを引き合いに出した話が多かったため、「安室」というキーワードが7回も登場している。
また、沖縄に過去2回だけ雪が降った話を度々引き合いに出したため、「雪」が6回も登場。

だが、「安室」と「雪」は知事選挙や政策とは一切関係ない

その他の主なキーワードと県民が重視する政策との対応は以下の通り。
()内はその政策を重視する県民の割合。

観光地:3回     → 地域の活性化(12.9%)
所得:3回      →景気・雇用(15%)
宮里藍:2回     →政策とは無関係
人生100年時代:2回  →医療・福祉(14.3%)

そして、県民が最も重視する政策「普天間基地の移設対応」。
これに関するキーワードは一つも出てきていない。
「辺野古」どころか「基地」や「米軍」という言葉すら1回も出てこない。

知事選挙と全く関係がない安室さんの話は7回も引き合いに出して、便乗したにも関わらず、だ。

「安室」さん発言の全7箇所

県民が最も重視する基地に関する政策の話を一切せず、安室さんのことを話し続けた小泉進次郎氏。具体的にどのような発言で安室さんに便乗したのか見ていこう。

①は完全にバス乗り場の誘導係の発言である。進次郎氏は沖縄まで来てバスの誘導がしたかったのか。

③⑥は安室さんの引退当日であると繰り返し述べており、これは安室さんのマネージャーや関係者の発言であれば自然だが、いつから進次郎氏は安室さんのマネージャーになったのだろうか。

②④は安室さんの名前を出しているが、知事選挙とは全く関係ない。完全に便乗している。

残った⑤⑦は、人生100年時代や所得の政策に繋がりそうな気もするが、やはり安室さんとは直接関係のない話ではないだろうか。

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参考情報

・県民が重視する政策はリサーチコムの世論調査(2018年9月15~17日 実施)から引用 
https://researchcom.jp/casestudy/electionsurvey/detail_LP_script.php?Target=okinawa201809

・演説内容全文は野良放送氏の文字起こしを参照
https://note.mu/nora_journal/n/n99bc22f88689

・当日の浦添市での演説動画は下記リンクで参照可能(浦添市独自の話題を盛り込んでいる点を除いて、内容は分析対象とした那覇市の演説とほぼ同じ)
https://www.youtube.com/watch?v=TzIphckXKVM

更新履歴

2018/9/24 22:20 公開
2018/9/29 10:50 小泉進次郎氏の演説手法を「便乗商法演説」と命名

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