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花ざかりの校庭 第34回『パールピンク』

【梗概】
麻里と浅子は高志をめぐって三角関係。
業を煮やした浅子は、麻里に高志の連絡先を教えてしまう。

雑踏を福山は見渡していた。
あの人から電話があった……。


板崎浅子……。

京都から帰ってきたのが午後1時。


新幹線の中で、昨日の晩にメールが入っていたのに気づいたのだ。

田畑高志の彼女だ。
司郎はその程度のことは知っている。
ただ、アドレスを交換した記憶はなかった。


彼は新幹線から降りたあと、彼女にメールした。



すると、いきなりメールしたことを詫びる内容と、時間はあいているかという内容が返ってきた。

福山はそのままやり過ごそうと思ったが、妙な好奇心を抱いてしまった。
結果として、駅前の本屋で待ち合わせすることになった。


福山は早めに到着すると、参考書をパラパラめくっていた。


淡い香水の匂いがした。


彼のとなりに、灰色のスーツにギャザーのスカートをした女性がサイエンスという雑誌を手に立っている。


「……あの、福山司郎さんですか?」
白い歯が印象的だった。


「……はい、あの?」
「私です」
浅子は笑顔だった。


福山は一瞬、彼女にある種の敬意を抱いていた。
胸元のネックレスが似合っていた。
「板崎さんですか?」
彼女は頷いた。
福山は高志と浅子の情事のことを少しは聞かされていた。


彼女もそのことは百も承知だろう。
それでも、何も悪びれることもなく、清楚に振る舞っている彼女……。

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