一番最初の記憶

は幼稚園登園初日。

遊びすら号令のもとに管理されることに戸惑い、しばらく廊下で立ち尽くしていた。固くて冷たい廊下。水色のベタっとしたペンキの廊下。

実際は数秒の時間の間、永遠に深い時の中に立ち尽くしていた。自分は奴隷だと悟った瞬間だった。

家の中には幾ばくかの自由があった。外に出た瞬間に、組織の中には自由はなかった。なぜこんな社会になっているのか、廊下で考えてみた。「人間は管理される生き物だ」と、誰かが強く念じていた。大人よりも大きな人が念じていた。

圧倒的なシステムの力に僕は諦めてしまった。お母さんに迷惑かけてもいけないから、毎日幼稚園に通った。心を殺して幼稚園で過ごしていた。本当のことは言ってはいけない。本当の気持ちに気づいてはいけない。

不自由な人類

天国の底に溺れる蝶々かよ

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