近代小説に関心があるのだけれども、どの作家、どの本を読んでいいのか迷うことがある。一日24時間、本が好きといっても限られた時間で何を読むべきか。(読みたい、というよりも読むべきか)
そんな時に重宝しているのが、加藤周一著の「日本文学史序説」。
これだけコンパクトにエッセンスを凝縮できるのは、膨大な知識の裏付けがなければできない。名著。
森鷗外について論ずる本は多くあるが、このような文学史に紹介される鷗外論こそ、コンパクトにエッセンスが纏まっているのではないかと思う。
日本文学史序説では鷗外の文学的貢献を5つの面に別けて考えており、参考になる。
第一:翻訳と西洋文学が与えた影響
第二:扱った同時代の人物の種類の豊富と主題の多様性
第三:抒情詩における功績
第四:日本語の散文のひとつの文体の完成
第五:晩年に作った徳川時代の学者の伝記