DIYで手軽に作れる太陽光発電

オフグリッド(電力自給)生活にあこがれながら、予算等の問題でなかなか踏みきれない方が多いと思います。わたしもそんな一人ですが、ここ3年ほど、3万数千円の手づくり太陽光発電システムで、仕事で使う電気(スマートフォンなどの携帯端末、LEDデスクライト、ノートPC、扇風機やサーキュレーターの電源)を自給しています。さて、その仕組みは…。

まず必要なのがⒶの「ソーラーパネル」。太陽光エネルギーを電気に変えるもっとも重要なパーツです。パネルからの電流は日照に左右されて一定ではないので、川の水を用水池にためて利用するように、いったんⒸ「バッテリー」に電気をためて使います。

とはいえ、ソーラーパネルとバッテリーをつなげば一件落着、とはいきません。用水池に水量を調節する水門が必要なように、ソーラーパネルからの過電流や、バッテリーからパネルへの逆流をブロックするために、Ⓑ「太陽電池充放電コントローラー」が必要です。

太陽光エネルギーはこうしてバッテリーに蓄えられます。でも、バッテリーの電気は「直流」なので「交流」用の家電製品をつなぐことはできません。そこでⒹ「インバーター」で電流を変換し、インバーターのコンセントから電気をとります。以上が太陽光発電システムのざっくりとした解説です。

■ わたしがつくったシステム
原理さえわかれば、太陽光発電システムをつくるのはむずかしいことではありません。わたしはこんな部品を利用し発電しています。

上記の総額は、36,148円(価格は Amazon社のサイトを参照)ほどです。

■ ソーラーパネル
ソーラーパネルに太陽光が当たると電流が生じるのは、「光電効果」という現象によります。金属などのさまざまな物質に光(光子)を当てると電子が飛び出す現象です。この現象を利用し、プラスの電荷をもった半導体(=シリコン)と、マイナスの電荷をもった半導体の2つを重ねて太陽電池を作ると、プラスとマイナスの電流を取り出すことができるのです。

▲ 写真は PET(PETボトルの “PET=ポリエチレンテレフタレート”です)コートの100W太陽光発電パネルです。 厚さ2.5mm・重量 2.2kgと超軽量で、どこにでもセットできます。日当たりさえよければ、大きさが半分の50Wソーラーパネルでも十分使えます。

急な突風などに備えて、パネルの固定はしっかりおこなってください。 パネル本体は防水ですが、コントローラーとバッテリーは防水ではないので、雨に当たらないように設置してください。上の写真では、コントローラーとバッテリーはパネルの裏に置かれており、雨が降っても大丈夫です。

■ バッテリー
太陽光発電には、自動車用のバッテリーは不向きで、高耐久タイプ(=ディープサイクル)でメンテナンスフリーのシールドバッテリー(=密閉型)が適しています。鉛蓄電池は価格が安く、リサイクル資源としてほぼ100%再利用されていますが、かなり重いので、大型の製品を買うと扱いに苦労します。12V 20Ahくらいの小型のものを、2個まとめ買いするのがお得です。

■ インバーター
インバーターを選ぶ際は「冷却ファン」にご注意ください。インバーターには冷却ファンが不可欠ですが、① 冷却ファンが常に回っているタイプ、② 消費電力が増えたときだけファンが回るタイプ、の二種類があります。音に敏感な方には ② をおすすめします。

無音・静音をうたいながら① のタイプの製品もあり、ネット等で注文する際は注意が必要です。わたしはPOTEKインバーター300Wを使っています。通常は無音ですが、消費電力の大きいノートパソコンなどをつなぐと急にファンが回りだして、びっくりすることも(笑)。温度が下がれば、冷却ファンは自動で停止します。

下図のようにⒶ、Ⓑ、Ⓒ、Ⓓをつなげれば、日差しの強い日は、発電しながら電気を使い続けることができます。

しかし、曇りや雨の日は、発電量が晴れの日の1割以下に落ち、需要と供給のバランスがくずれてバッテリーがあがってしまいます(とくに消費電力の大きいノートパソコンは、日差しの強い日以外は使わないように)。
日照の少ない日は、下図のようにユニットを2つにわけ、ユニットの一方を充電専用にするといいでしょう。

クリップのついたブースターケーブルを使って配線をすれば、発電部分(ユニット1)とインバーター部分(ユニット2)を、つないだり離したり、自由にアレンジできます。ソーラーパネルからの配線を屋内に引き込めない場合も、ユニットを別々にすれば、問題なく使えます。

「ユニット2」を数時間使うとバッテリーのパワーが落ちるので(当たり前ですね! バッテリーは11.5V/残量50%くらいで再充電すると長持ちします)、あらかじめ「ユニット1」で充電したバッテリーに取り替え、電圧の下がったバッテリーは「ユニット1」で充電します。

バッテリーの管理には電圧計が必要です。写真の電圧計はBAL(大橋産業)バッテリー&オルタネターチェッカー(DC12Vバッテリー直結タイプ)。もともとが自動車用なので、車のバッテリーチェックにも使えます。

バッテリーの電圧が12.6V(FULLの緑ランプ)以上満充電11.5V(LOWの赤ランプが点灯)以下だと要充電です。

■ 配線についての工夫

わたしは、チャージコントローラーをソーラーパネルの裏に両面テープで貼り付け、太陽光パネルからの配線を直付けして、取り回しをコンパクトにしています。キャンプなどでも扱いやすくなります。

チャージコントローラーは熱に弱いので、ソーラーパネルとチャージコントローラーの間に厚手のスチレンボードをはさむといいでしょう。

写真上のコントローラーは、電菱製20Aコントローラー(写真下)の五分の一ほどの値段(中国製)ですが、十分に使えます。

配線のポイントは、チャージコントローラーと配線の接続部分の補強です。配線が引っ張られて接続が緩むと過熱やショートを招くので、結束バンドやテープでケーブルをしっかり結束/固定し、ぐらつかないようにします。

PETコートの太陽光パネルは軽さがメリットですが、風にあおられやすいので、台風など風雨の強い日は屋内にしまってください。また、光が当たるとパネルは発電してしまうので、バッテリーに接続していないパネルは裏返して遮光してください 。

注意点 1インバーターのバッテリークリップをバッテリーに接続する際、時おり火花が飛ぶことがありますが、これは異常ではありません。
ただし、塗料やスプレーなど可燃性ガスを使用した際は、引火の危険があるので、バッテリークリップの接続や取り外しは避けてください。

【注意点 2】
夜間や日照の少ないときなどは、バッテリーの残量が11.5Vを下回ったら充電済みのバッテリーに交換するか、インバーターとバッテリーの接続を切ってください。
インバーターによっては、バッテリーの電圧が下限値になると大きな警告音を発する機種があります。うっかり低電圧のまま外出してしまうと、警告音が鳴りつづけることになります。外出時や睡眠時は、インバーターのバッテリークリップを外しておくのが確実でしょう。

【注意点 3】
シンプルな仕組みですが、なによりも危険なのはショートです。
配線の+、-を取り違えたり、接続場所をまちがえたり、ケーブルや端末の両極が接触しないよう、作業中は十分にご注意ください。機器が壊れるだけでなく、たいへん危険です。
また機器や配線に異常(接触不良、過熱、亀裂、膨張、発煙、異音等)がないか、日頃から気をつけてください。

配線の原則
つなぐ時は+(プラス)からつなぐ。外すときは-(マイナス)から外す。

*直流回路では一般的に
赤(および茶)は(+)、「黒」は(-)  
赤白の場合、赤が(+)で、白が(-)  
白黒の場合、白が(+)で、黒が(-)  
どちらも黒の場合は、白色の点線(ないし目印)が入っている方がプラス 

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桂川 潤

桂川 潤(かつらがわ じゅん) 人文書・文芸書のブックデザインとイラストを主に手がけています。 著書に『装丁、あれこれ』(彩流社)、共著書に『本は、これから』(池澤夏樹編、岩波新書)ほか。

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