【備忘録】ザムザ オンザ ベッド

ユニークポイント
ザムザ オンザ ベッド
2021. 2. 20sat・21sun

全14回公演。
作品自体は20分ほど。
しかし、1時間に1回の上演は俳優にはめちゃくちゃハードなのでは?…内容的にも、スケジュール的にも。


わたしは、団員のコバ&一心と当日の受付業務をしていました。プレのプレを観させていただき、ハチャメチャに心を掻き乱されました(笑)
人間がこちらにむかって【1VS1】以上のパワーを向けてくるのだから、それは当たり前なんだけれども。

作・演出の山田さんとアフタートークさせて頂いたので、良ければまずはこちらをご覧頂ければ…

>>>>アフタートーク<<<<

動画内でも言及していますが、
わたしにとっての『演劇の定義』のひとつに『共有』というものがあります。
舞台と客席、ささやかな空間の隔たりがゆっくり溶けて混ざりあって、その隔たりが曖昧になって、演者もお客様もその【時間】と【体験】を共有してようやく完成するのが『演劇』だと。

このザムザ オンザ ベッドは、観客と俳優は画面越しで、互いに不通です。しかし、俳優は確実に存在して、【リアルタイム】で画面の向こうで演技をしています。そして、観客は言葉を発することも出来ずに【物語のパーツ】に【勝手に】組み込まれていきます。

この構造だけだと、観客がただただ受動的に動画を浴びるだけのようですが、作品の前提を理解することで、相互に不通であることを共有し、わたしの中の『演劇の定義』である【時間】と【体験】の『共有』が成り立っているんです。

ここで、内容に少し触れますね。
登場人物は俳優4名と観劇者。
俳優の内訳は医者が3人と記者が1人。
観劇者たるわたしは、たった1人の横たわる患者。

この患者は、段々自由を失っていき、いずれ声も出せず意思疎通が困難になる病にかかっているようです。
つまり、患者役にされてしまった観劇者は、観劇ルールの『無言であること』を守ることで、より、その世界の患者たらしめられます。

そして、医師らが行うのは〚安楽死〛。
無言のままに患者は粛々と死へと向かっていきます。
記者はというと、〚安楽死〛にたいしてどっちつかず。観劇者の心境に1番近い言動ですが、積極的に救うわけでも、死を容認するわけでもない。よく喋る傍観者です。

最後、患者たるわたしは、4人の俳優に看取られて死ぬのですが、なかなかどうしてスッキリしない。
確かに観劇後の後味がありつつ、普段の観劇体験より遥かに来い後味だったのです。これは、より舞台と客席の隔たりが曖昧だったからでは無いか、というのがわたしの見解です。

確かにその場に俳優は居ませんが、普段の距離より遥かに近いその距離が、横たわる患者と医師らの距離感をリアルにしていたし、【舞台1VS観客多数】という構造より遥かに贅沢な『舞台とわたしが1VS1』でしたから。

これは、きっとこの過酷なコロナ禍でなければ生まれなかった観劇体験で、それを喜ぶのか悲しむのかまだわたしは判断がつかずにいるのですが、貴重で贅沢であったことは確かです。

きっと、ウイルスへの対策が落ち着いてきても、〚今まで通り〛の観劇は出来ないと思います。
良くも悪くも、色んなことが習慣として定着してしまったので。

わたしたちの劇団では、どのような形で再会できるのですかねぇ。。。

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