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複利のうまみ

 突然ですが、長期投資の魅力の一つに「複利のうまみ」があります。運用で得た利益をさらに運用に回し、利息が利息を生む。複利って素晴らしいなぁと思います。(最近投資についての勉強を始めました。ニワカもイイトコです。)

 長年ボイストレーニングをしておりましても、この「複利」と似たような効果を感じることがあります。時間をかけて丁寧にやるべきことを繰り返す中で、突然何かに閃く。その閃きが自分をさらに深みへと導いてくれる。新たに発見した何かをこねくり回す中で「おぉ…これは使える…」というところまでたどり着いた時の悦びは、何物にも変え難いものだったりします。長く続けることで発見が発見を導くサイクルが出来て、一人でニヤニヤし続けられていることを幸せに感じます。ニヤニヤ。

 それでは、本題に参ります。まずは下の動画をご覧ください。

 Raul Midon というミュージシャンのライブ動画です。リズミカルでパーカッシブなギター。ソウルフルな歌声。素晴らしいですね。ワンダホー。トレメンダス。
 
 実は注目してもらいたいのが間奏部分でして、口でトランペットのような音を出しています。マウストランペットというらしいです。唇を少しずらして振動させながら声帯を鳴らし、トランペットのような音を作っています。

 先日レッスンの中である生徒さんにこの動画を見ていただいたところ「こんなん、どうやったらできんねん!?」という話になり、レッスンそっちのけでしばらく練習することに。10分、15分くらいはやったかな?するとその後になんと、私も生徒さんもびっくりするほど声が出しやすくなってしまったのです。感覚としては、このnoteでも以前書いたリップロールを丁寧にやった後、発声がスムーズになる感じによく似ていました。本当にびっくりでした。

 このマウストランペットとリップロールには【息を吐き、くちびる周辺を振動させ、音を鳴らす】という共通項があり、上手に鳴らすためには吐き出す息の量をコントロールして音色を安定させる必要があります。実際には音も振動の具合もかなり違うので「近からず遠からず」という表現が正しいのかもしれませんが、マウストランペットを鳴らした後は、リップロールを鳴らした後のように発声における喉への負担が減ってコンディションが整ったり、理想的な息の吐き方に近づいたりすることがわかってしまったのです。

 さらに、マウストランペットにリップロールと同じような効果があるのであれば、他にも【息を吐き、くちびる周辺を振動させ、音を鳴らす】に近い発音で発声練習すれば、リップロールと同じような効果が期待できるのではないかと思い、子音の[z]や[v]や[th]の音でも試してみました。するとやはり、リップロールと同じような効果が感じられただけでなく、音色の安定感を維持するのに息の量や脱力感の絶妙なコントロールが必要であることがわかりました。マウストランペットが難しくても、英語の正しい発音を習った記憶を思い出せば(思い出さなくともYoutubeなどに良い情報はたくさんあります。)誰にでも出来るトレーニングになる!これは使える!と思ってnoteにまとめた次第です。

フォニックスも、やってみると良いと思います。

 具体的な練習法としては、それぞれの子音を10秒くらい継続して鳴らしてみると良いでしょう。最初はちょっと難しいかもしれませんが、頑張って練習してみてください。慣れてきたら、しっかり息を吸って[z]を10秒。呼吸を整えて次に[v]を10秒。もう一度呼吸を整えて最後に[th]を10秒。これを2回繰り返します。小さい声で構いませんので、出来るだけ吐き出す息の量と音色を安定させることを心がけて練習してみてください。

 ところで、マウストランペットだけでなく、口周辺で色んな音を鳴らすことができる人がいます。ビートボクサーさんです。アカペラグループなどにもいらっしゃいますが、ピンで会場を沸かせるような方もいます。バトルや大会で技術を競い合っていたりもして、最近だと日本のビートボクサーさんたちも世界レベルで活躍されているようです。

 そんなビートボクサーさんたち、ほぼ皆さんエゲツないレベルで良い声なのです。イケボって言うんですかね。パフォーマンス時はもちろん、合間に喋る時も、明瞭さといいマイク乗りといい、とっっっっても良い声をされてます。どうやってその声を手に入れたのか、お話伺って教えを請いたいレベルです。

 で、きっとそれは、様々な声や音を出そうとチャレンジする中で発声における身体の機能が異常に進化することによって、ナチュラルに良い声で喋るのなんて朝飯前になっちゃったってことなんだろうなと。日本語にない発音が外国語にはあるように、普通そんな音は口では出さないよね?という音を研究しまくってできるようになっちゃうわけですから。とんでもないことです。逆にずーっと同じ動きしかしなかったら凝り固まっちゃうわけで。ある種自分の身体を楽器として捉えて、その可能性を探り続けている。これはボーカリストも見習うべきです。

 さて。話をもとに戻しまして。長く続けていると色んな発見があって面白いですね。マウストランペットからこんなに広がっていくなんて思いもよりませんでしたが、こだわって続けてきたからこそ広がる世界があるよなぁと、一人でニヤニヤしておりました。ちょっとテクニックを知ってるってだけでは辿り着けない境地…そこに皆様をお連れすることができるような、複利のうまみをゴリゴリに感じていただけるようなレッスンを提供したいなぁと思っております。

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