P&G時代に学んだコンサルとは違うポジショニングの考え方

中村です。

本日はポジショニングについて私が過去15年以上マーケティングを学んでいて気づいたことについてお話できればと思います。

きっかけとなったのはこちらのビデオ。今年の1月くらいに「マーケターはぜひ見るべし」って少し流行っていましたねー。

これってよくP&G時代に使われていた「リフレーミング」と同じ話だと思っています。1つの角度から見るのではなく、別の角度で見ることで違う価値観に変わる。そしてその違う価値観を持って「ポジショニング」する。今日はこの辺のお話を少しまとめてみたいと思います。

* note公開後、反響の大きかったリフレーミングの私なりのやり方を1つ最後に紹介させていただきました。自分なりに色々試行錯誤して見つけたやり方なので申し訳ございませんが、こちらだけ有料とさせていただいております。ご理解いただけますと助かります。

P&Gではマーケティングって経営として定義されている

一般的な組織って結構下のような概念になっていることが多いのかなぁと思っています。経営理念があって、全体経営戦略があって個別戦略の一つにマーケティングがある。もちろん会社によってその違いはあると思うんですけどあくまで一部署という感じですね。

P&Gはブランドマネジメント制度を取っているのが特徴で、この組織図が少し変わります。下の図は以前WadaさんがAd Tech Tokyoでお見せされていたのをGoogle Searchから発見して拝借させていただきました。

この中で和田さんはこんな風におっしゃられています。

「ブランドマネジメント。これはP&Gが1920年代に発明した経営手法です。日本企業でも似たようなものも含めて取り入れているところはありますが、ブランドマネジメントは手法なので、人を育てないといけないんです。会社が直面している問題に対し"その時代に最適なマネジメントができる人材を育てる"のが重要なこと。まったく同じことをやるのではなく、時々の変化に対応しながら人材育成の根幹は脈々と受け継がれています。途切れなく継承することで、危機に直面しても素早くリカバーし、粛々と進んでいくことができるんです」(和田氏)

ちょっと本題ではないのでそこまで詳しくは触れないですが、もしご興味があれば下の文章読んでみてくださいね。

さて、話を戻すとP&Gではブランドマネジメント制度が取られており、マーケティングとは経営であると定義されています。

じゃあ経営って何かっていうとシンプルにいうと下のように定義されるのではないかと思います。結局ゴールがあって、資源を以下に配分していくかですよね。

企業のビジョンや目標達成に向けて、経営資源(人・モノ・金)をどう最適化させていくかを考えること。

じゃあP&Gでいう「マーケティングx経営」でどう変わるかといえばこうなるんだと思います。

企業のビジョンや目標達成に向けて、経営資源(人・モノ・金)をどうマーケティングの考え方で最適化させていくかを考えること。

この辺は音部大輔さんが非常に著作で詳しく書かれていますのでよかったら読んでみてくださいね。

戦略とは?
戦略とは限られた資源を達成すべき目的のためにどのように利用すべきかの指針のことである

だから個人的には「マーケティングの考え方で、勝つための資源の配分のルールを作り、最終的にはビジネスモデルに落とすこと。」って非常に大切に思っています。


「ポジショニング」の重要性。でもコンサルのポジショニングマップとはちょっと違うかも。


そんなP&Gでのマーケティングフレームワークですが、個人的には本当にシンプルだったなと思っています。(Googleさんの画像検索ってこんなのも出てしまうのですね、怖いw)

まずは最初のステップでビジネスの環境分析をします。この中にはいわゆる4C分析とか色々入っています。どんな会社さんでもやってらっしゃる内容ですのでそこはあまり変わりがないと思っています。ただ、その中でも「消費者がボスである」という哲学を持っている会社なのでいわゆる「消費者データ」とその知見はだいぶ詳しくなっていますし、いわゆるインサイトの部分もかなり知見があると思います。

その後ブランド戦略構築としてポジショニングを選定、そのあとWHO→WHAT→HOWを決めていく形になっていきます。もちろんそれぞれのプロセスで過去175年以上マーケティングをやっている会社なのでかなりノウハウは溜まっていると思います。とはいえフレームワーク自体はシンプルですよね。シンプルイズベスト。

下記のスライドは私が昔講演させていただいたときのものですがポジショニングって何というのを定義させていただいてます。

さて、ポジショニングって言えばこういうポジショニングマップを思い浮かべますよね?P&Gでもよく使っていました。もともとコンサルさんとかがよく使われていたと思うのですけど、今や大分一般化されていますね。

これP&G時代もよく使っていたんですが、あくまで現状整理のためなんです。で、私が学んだポジショニングってこういう形なんです。違いがお分かりになりますでしょうか?左側にあるのが上にあったポジショニングマップ。そんで軸自体をひっくり返すというのが私が学んだポジショニングの考え方なんです。

音部大輔さんの過去の記事からヒントとなるケースを探してみました。ご本人はアリエールのケースでこちらは語られています。要するにいわゆる汚れ、白く洗い上げるという定義だったところに、「除菌」という新しい便益を持ってくることで軸をひっくり返したわけです。

私はP&G時代に、アリエールという洗剤を担当しました。当時は「襟・袖汚れがよく落ちる、白く洗いあげる」が、よい洗濯という定義でした。そこへ、P&Gは除菌というモノと意味のイノベーションをもって市場を再創造したのです。
(中略)
洗濯洗剤の話を続けますと、まずプロダクトとして除菌をする機能があります。しかし「白く洗い上げる・汚れが良く落ちる」という属性が「よい洗濯」の上位であるうちは、「除菌」という属性は受け入れられません。そこでマーケティングによって「部屋干しをすると、嫌な臭いがありませんか?それって、菌が原因かもしれませんよ」と提案する。これが消費者に受け入れられると、「除菌」という属性の重要度があがるんです。

他にも音部大輔さんはファブリーズでいわゆる芳香剤マーケットに「部屋の匂いの元となる布の匂いを取る」というコンセプトを取ることで芳香剤はいわゆる香りでマスクする、でもファブリーズはマスクするのではなく匂いの元から取るのである。といった軸の作り方に成功していらっしゃったりします。

これは私が担当していた柔軟剤レノアにおいても同じことが言えます。当時花王さんのハミングやライオンさんのソフランが全盛期で、柔軟剤といえば「香り」と「柔らかさ」のことでした。ポジショニングマップを書こうものなら香りの違いで軸を分けるか柔らかさの違いで軸を分けるかだったと思います。新製品として香りや柔らかさを出してもそんなにインパクトが出ない。そんな苦しみを抱えていました。

ところが一歩下がって消費者のインサイトを取った時見えたものがありました。他の国との比較していて見えてくるものがあったんです。先ほどのファブリーズのケースではないですが、日本人って実はあまり香りをつけるの好きではないんですよね。石鹸の香りとか好きだし、香水も他の国の方と比べると弱めもしくはつけないです。逆に清潔感ってすごく大事にされますよね。(最近はマーケットも変わってしまいましたねー)

じゃあ柔軟剤ってそもそも何ができるかを考えると必ずしも香りをだすという方向性でなくてもいいんじゃないか?となるわけです。とはいえ嫌な匂いを取るのであれば正直洗剤だけで十分。そこで発想の転換で出たアイデアが「嫌な匂いがつくのを1日中防ぐ」だったんです。

今でこそ色々なブランドが言っていましたがこれも一つの軸の変換でした。パッケージもあえてこだわり新緑を思わせる半透明の緑色にしたり、ロゴもグラデーションかけてみたり。犬主婦と言われるキャラクターがきている間の匂いを嗅いで嫌な匂いがしないことを確かめたり。おかげさまで非常に大成功したケースとなり、シェアも市場の創造もすることができました。

インサイトについてはこちらもご覧くださいませ。

大事なことはカテゴリーのゲームのルールを変えるためにポジショニングを考える。そのためには現状の整理で終わるのではなく、更にもう一歩踏み込み新しい軸を生み出すアイデアを作るのが重要。そのための消費者インサイトの理解。
一歩下がっての消費者インサイトが重要。レノアのケースであったようにいわゆる所属するカテゴリー(柔軟剤)の中だけのインサイトを理解しても新しい軸は見えてこない。ユーザー・消費者を起点にして考える。

この辺はデザイン思考とも発想が近いと思います。下記の本は非常にわかりやすくてオススメです。


軸を変えうる「ポジショニング」を考えるための「リフレーミング」の練習について。

下の写真をご覧ください。「コップに入った水」です。
では違う言い方を20種類以上考えて見てください。例えば「透明なもの」。それ以外にはどういえますでしょうか?

これは実際に上記で何度も登場している音部大輔さんに鍛えていただいた時の一つの課題です。よく多様な視点を持てと言われていますが皆様はできますでしょうか?

この技術はマーケティングでいう「リフレーミング」になります。最初にお見せしたビデオ映像と同じです。同じものをどう見るか。「違い」を見つけ、表現を変えることで「ユーザーが気づいていないベネフィット」に変えられるか。それが重要だと思います。

アリエールのケース覚えていますか?あれは洗浄力のための漂泊成分が入っていたことが違いで、その違いを「除菌」というリフレーミングをしたのがすごかったのだと思います。そんなケースは山ほどあります。ぜひ興味を持って色々とリフレーミングにチャレンジして見てください。

まとめ
マーケティングの考え方って、新しいゲーム作りとルール作り。「違い」に注目して、「強み」に変え、「ポジショニングの軸の変換」につなげる「リフレーミング」にチャレンジして見てください。

本日も長文を読んでいただきありがとうございました。


ーーーこちらより有料ーーー

* note公開後、反響の大きかったリフレーミングの私なりのやり方を1つ最後に紹介させていただきました。自分なりに色々試行錯誤して見つけたやり方なので申し訳ございませんが、こちらだけ有料とさせていただいております。ご理解いただけますと助かります。

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P&G時代に学んだコンサルとは違うポジショニングの考え方

Junichi Nakamura

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Junichi Nakamura

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