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イノベーションの歴史 27 (進化論)

適用した者が生き残るんじゃない。生き残った者が適用したと呼ばれるのだ。

正義が勝つのではなく、勝った者が正義と呼ばれる

「正義が勝つのではなく、勝った者が正義と呼ばれる」という言葉は、結果論的な見方を示しており、進化論との共通性があります。進化論もまた、結果論的なプロセスで、生き残った生物が「適応」とされるという点で類似性が見られます。
進化論において、生物は無方向にランダムな変化を経験し、その中で自然環境に適応できる変異を持った個体が生き残りやすくなります。生き残りやすい個体が繁殖を続けることで、その特徴が次世代に引き継がれ、自然選択のプロセスが進んでいきます。進化論では、「適応」された個体が生き残るという結果が重要であり、どのような過程で適応が生じたかは二次的な問題です。

オオシモフリエダシャクという蛾の例

汚染されていない木では白い個体の方がうまくカモフラージュされており、捕食から逃れやすい。

わかりやすい具体例を挙げます。
イギリスの工業革命時代には、煤煙によって木々が黒く汚れることが一般的でした。オオシモフリエダシャク(Biston betularia)という蛾は、もともと白い個体が多かったが、木の背景に映えて、鳥によって容易に捕食されるようになりました。黒い個体は、このような状況下で鳥からの視認性が低くなり、捕食されにくくなりました。その結果、黒い個体が生き残りやすくなり、繁殖を続け、黒い個体が増えました。
ここで重要なのは、木が黒くなったから適用するために黒く変異したわけではないのです。元々黒い個体も出現したわけです。木が黒くなる前は黒い個体は食べられていたから、結果として白色個体が多かったわけです。

その後、工業汚染が改善されると、白い個体が再び捕食されにくくなり、優勢になりました。
ここでも、木が白く戻ったから、適用するために白く変異したのではないのです。今度は黒い個体が食べられたから結果として白いのが残ったのです。
この例は、進化が無方向に変化し、たまたま淘汰されず繁殖したものが自然に適応した者として生き残る結果論的なプロセスであることを示しています。

進化論もまた結果論

このように「正義が勝つのではなく、勝った者が正義と呼ばれる」という言葉は、結果が重要であるという点で進化論と共通しています。歴史的には、勝利した者がその後の歴史や文化を形作り、自分たちの行為を正当化するために「正義」のレッテルを貼ることが一般的です。
この場合も、結果が重要であり、どのような手段で勝利を収めたかは二次的な問題です。
両者の共通点は、結果論的な見方が重要であること、そして過程や手段よりも結果が評価の対象となることです。

イノベーションもまた結果論

同じことはイノベーションの成功にも言えると思われます。
一般的には、優秀な者がイノベーションの勝者となると思われますが、むしろ、たまたま結果として勝者となった者が優秀だと呼ばれている気がします。
「人類の成功は運で決まるか、才能で決まるか」
https://youtu.be/d1z_2k9iYZ4
は、とても説得力がある実験です。

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