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キプロスの「猫の修道院」

東地中海に浮かぶ島国キプロス共和国。

トルコの南に位置する太陽の恵み豊かな島で、ギリシャ神話が息づく神秘的な地です。

あまり日本人に馴染みのない国ですが、実は知る人ぞ知る猫天国でもあります。

その猫天国キプロスには、なんと「猫の修道院」なる、歴史ある修道院が存在します。

猫好きさんなら、気になりますよね(笑)?

今回は、その猫の修道院について紹介したいと思います。



キプロスへのアクセス

まずは、日本からキプロスへのアクセスについて触れておきたいと思います。

キプロスの空の玄関口は「ラルナカ」です。
ラルナカ国際空港には、ヨーロッパ、中東からのフライトが就航しています。

日本からの直行便はありません。

日本からは、エミレーツ航空、エティハド航空、カタール航空で行くのが効率的です。

余談ですが、ドバイをハブとするエミレーツ航空のマルタ行きが、ラルナカを経由してルア・マルタ国際空港に到着します。

よってラルナカでストップオーバーすれば、マルタ・キプロスの猫の楽園2か国を周遊することも可能です。

猫好きにとってはたまらない旅行コースですね(笑)

なお、キプロスは分断国家です。

内陸部の首都ニコシアに「グリーンライン」と呼ばれるラインが敷かれ、これを境に南北に分かれています。

旅行者が主に訪れるのは、ラルナカを中心とした南キプロスの方です。
(旅行者の北キプロスへの越境は可能)

分断国家といっても、国境付近で物々しい動きがあったり、争いがあるわけではないので、安心して旅できます。

拠点はリマソール

猫の修道院は、正式名称を「聖ニコラオス修道院」といいます。

猫の修道院があるのも、南キプロスの方です。

キプロス島南西部に突き出た、ガタ岬(猫の岬)の山奥にポツンと建っています。

訪問の際の拠点となる街は、修道院から10㎞ほど北の、リマソールというリゾートタウンです。

ただ、リマソールから修道院までを繋ぐ公共交通機関はありません。

車で行くか、「近くまでバス+残りを徒歩」のルートを取ることになります。

私は、後者の手段をとりました。

まず、リマソール旧市街の「オールドホスピタル前」から、#24のバスに乗車します。

リマソール旧市街の街並み


バスはガタ岬の「アクロティリ」という地区まで走っているので、そこで下車。
この間30分くらいです。

バスを降りた場所から修道院までは直線距離で2㎞で、この間を徒歩で行きます。

2㎞くらいなら充分歩ける距離だし、まあ楽勝だろうと思っていたのですが、これがなかなかハードなルートでした(汗)

猫の修道院への道のり

アクロティリは小さな村でした。

アクロティリの集落にあった教会
周りは人通りが少ない

アクロティリの近くには、リマソール塩湖が広がっています。

バスを降りたら、リマソール塩湖に沿ってひたすら東へ進むと、猫の修道院に到着します。

アクロティリ(バスを下車したところ)から、リマソール塩湖の南を直線で東に向かって歩くと猫の修道院
この間2km
猫の修道院に続く道

ご覧の通り、修道院への道のりには、なにもありません。

ただ乾いた大地の真ん中を切り裂くように、1本道が続いています。

この時、暦は6月でした。

キプロスの6月は、日差しが大変強く、焼けつくような暑さです。

じりじりと照り付ける太陽の下、2kmもの道のりを歩き続けるのは、かなりの体力を消耗します。

この時私は、うっかりペットボトルを持ってくるのを忘れてしまいました。

途中には売店も自販機もなく、途中水分補給ができず、随分と苦しかったのを憶えています。

もし歩いて猫の修道院を目指すなら、ペットボトルは必ず持参することをおすすめします。

特に夏場は脱水症状の恐れがあり、マジで危険です(汗)

道の途中、謎のヤギの集団に出くわした(汗)


猫の修道院到着

そんなハードな道のりですが、やがてゴールが見えてきました。

やがて見えてくる猫の修道院の看板
この矢印の先に、ひっそりと修道院が建っている


ついに修道院到着です。

山の中にひっそりとそびえる修道院は、広い敷地を持っていました。

猫の修道院こと聖ニコラオス修道院


建物に近づいてみても、あまり人の気配はなく静かです。

私は恐る恐る、修道院の中に入ってみました。

修道院の回廊


しかしそこに、猫の姿は見られませんでした。

拍子抜けした私は、建物の奥の、中庭の方に回ってみました。

すると……

中庭の木陰で昼寝する猫
中庭では、何匹かの猫の姿を確認することができた


やはりカンカン照りの真昼間だったので、猫たちはお昼寝タイムでしょうか。

私は、修道院の敷地を少し探索してみることにしました。

この回廊はひんやりしていて風通しが良い
修道院の見事なイコン
到着した時は人の気配がしなかったが、気が付けば他にも見学者が訪れていた


そしていつの間にか、修道院の猫たちが姿を現してきました。

修道院の猫
同上
同上
中庭には美しい花が植えられていて、その間からも猫が顔を出した
彼女らロシア人と思しき女性グループが、猫たちに餌を与えていた
その匂いを嗅ぎつけたのか、次々と猫が集まってきた
余談だが、キプロスは「ロシア人のハワイ」といわれるくらいロシア人観光客に人気がある
回廊の石の廊下は、ひんやりしてベッタリするのに気持ちいいらしい


なぜこの修道院には多くの猫がいるかというと、昔修道院では蛇を退治するため、200匹もの猫が飼われていたそうです。

今ここで暮らしている猫は、当時蛇退治の任務を請け負った猫たちの子孫なのでしょう。

ユニークなシルエットの猫(笑)
あの餌をくれたロシア人グループを追って集まってきた猫(笑)
花の鉢植えと並んでいるのが絵になる
ヨガでいうチャイルドポーズみたい(笑)
個性豊かな子たちが集まっているが、さすがに今現在は200匹もの猫はいない


こうして修道院の見学を終えて、猫にも逢えて満足した私は、再び炎天下の中2kmの道を歩いて、アクロティリへと引き返したのでした(汗)

アクロティリのカフェで飲んだ冷たいジュースがおいしかった


この日、気が付くと私の肌は真っ赤に日焼けし、ワンピースとショルダーバッグの肩紐の跡がくっきりと残っていました。

外出前に、ちゃんと日焼け止めを塗っていたにもかかわらずです。

夏のキプロスの日差しはこのくらい強烈なので、夏に猫の修道院を訪れることがあれば、日焼け対策にも充分ご注意ください。

体力に自信のない人は、タクシーの利用をおすすめします。


猫の修道院、たくさんの猫に逢えたばかりか、イコンは見ごたえあり、辺境の山の中にあるため静かに見学できました。

どこか隔世的な感じがし、充分に雰囲気がありました。

ただ、猫が目当てなら、あそこまでハードな道を乗り越えて行く必要があったかというと、正直微妙なところです。

なぜなら、キプロス全土がそもそも猫天国だからです。

わざわざ辺境の猫の修道院を訪ねなくても、街中でクレイジーなくらい猫に遭遇するのです。

次回は、当修道院の拠点ともなる、リマソールの街の猫天国ぶりを紹介したいと思います。

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