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FURUI RIHO@恵比寿リキッドルーム

2023年5月7日(日)

恵比寿リキッドルームで、FURUI RIHO「ONEMAN LIVE 2023 INTRODUCTION」

東京3度目のワンマンで、もうリキッドルームが満杯(チケットは完売だったそうだ)。動員の増える速度にちょっと驚くが、彼女の成長の速度もしっかりそれに伴っていることを実感したライブだった。

自分が彼女のライブを観るのは、2021年5月の新代田Fever、2022年3月のVeats SHIBUYA、2022年9月のodd brick fesに続いて4度目で、ワンマンを観るのは昨年3月の『Green Light』リリースツアー以来だったが、あのときとはあらゆる意味で段違いのパフォーマンス・クオリティ。あのときは初めての長尺ライブということで緊張が先に来ていたようだったが(でもアンコールでは本編とうってかわってのびのびと歌っていた)、今回は初めから終わりまで満杯の観客を前に実にのびのび楽しそうに歌っていて、しっかり本領を発揮できているのがよくわかった。(昨年3月の初ワンマンの感想はこちら↓)

サポートメンバーは前とはギターとドラムがチェンジ。大月文太さんのギターは前に出すぎずFURUI RIHOの声に寄り添っていたし、守真人さんのドラムはテクと強度あってかっこよかった。鍵盤奏者は長いことFURUIを支えている人である故、彼女も安心できるのだろう。

FURUI RIHOの音楽には彼女が好きでよく聴いていた90年代R&Bのテイストが色濃く反映されているのだが、この日はレーザー光線による演出がけっこうなされ、それもまた90年代っぽくて合っていた。

R&Bとポップの融合バランスがちょうどよく、前にも書いたが、ポップで明るい曲のパフォーマンスには道産子ならではのおおらかさ・天真爛漫さが反映されている。一方、切なさの表現も等身大で、そっちサイドに共感する女の子も多いだろう。R&B成分が強いとはいえ、性的・官能的な表現は(現段階では)ない。女性のエンパワーメントを強く打ち出すタイプの曲もない。タフな女性であることを前提にパフォーマンスするAwichやちゃんみなといった現在人気のアーティストの表現とは向きが違い、愛よりは今のところ恋心を多く歌っている。そういうところに親近感を抱く女の子たちも多いんじゃないだろうか。

昨年の『Green Light』以降は洗練だったりエッジだったりが加わった曲も増え、今回のライブではそれらと『Green Light』以前の素朴めの曲とが絶妙な流れで合わさっていたのもよかった。

中盤では初挑戦コーナーということで初めてピアノの弾き語りも。そこでは彼女のルーツとなる曲(小中高の頃に聴いて影響された曲)をいくつか披露した。やけにドラマチックな「だんご三兄弟」から、aiko「カブトムシ」、宇多田ヒカル「Can You Keep A Secret?」、ミニー・リパートン「ラヴィン・ユー」、ゴスペルの「オー・ハッピー・デイ」まで。それらを聴きながら思ったのは、相当のハイトーンで聴かせるところ(難易度の高いところ)でもドヤ感みたいなものが出ず、ナチュラルに聴かせられるということ。日本で圧倒的な歌唱力を持つと言われる何人かの女性シンガーと、そこは違うところで、そこがいいと思った。

MCもこなれて自然に観客に語り掛ける感じになっていたし、繰り返しになるが何しろ彼女は今回初めから終わりまで満杯の観客を前に実にのびのびと楽しそうに歌っていたのがよかった。それを観ていて、彼女は大きな会場になって目の前で聴く人が多くなるほどのびのびと歌える、そういう能力が潜在的に備わっているんじゃないかと思ったりもした。大き目のホールでそうやって歌っている姿を観ることができる日がくるのは、そう遠くないかもしれない。

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