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ISOLATION ORCHESTRA@荻窪velvetsun

2023年4月15日(土)

荻窪velvetsunで、ISOLATION ORCHESTRA。

初めて訪れた「velvetsun」は、小さなライブハウス…というよりバーに寄った形態。アットホームないい雰囲気の空間だった。

ISOLATION ORCHESTRAは、「フェスタ松本2022で上演されたモリエール『スカパン』の再演に際して、演出家・俳優の串田和美の委嘱により結成」された4人グループ。メンバーは、竹内理恵、ふーちん、ギデオン・ジュークス、松本みさこ。ふーちんとギドさん(ギデオン)はFU-CHING-GIDOで、竹内さんとギドさんはMUSIC for ISOLATIONでも活動中で、ISOLATION ORCHESTRAはその両方の表現の延長線上で合体したグループと言えなくもない。

4月15日に1stアルバム『ISOLATION ORCHESTRA』をリリース。ライブはそのリリース記念であり、東京でのお披露目ライブ(初の長尺ライブ)でもあった。アルバムはこちら↓

ふーちんからの依頼で、このアルバムのコメントを書かせてもらった。「こんな感じのアルバム」だという概要が伝わればなと。それがこちら↓

ライブは初めに20分以上、何曲かを続けて演奏し、そのあと話をして、また演奏。そんなふうに演奏とMCのバランス(緊張感とユルさのバランス)がよく、だから飽きる時間など少しもない、楽しい時間を過ごすことができた。

ギドさんはチューバを、松本さんはアコーディオンを演奏し、ふーちんはドラムとパーカッション(鍵盤ハーモニカを吹きながらドラムを叩いたりもする)、竹内さんにいたってはサックスやらフルートやらマンドリンやらと曲毎にいろんな楽器を使い分ける。すごい! (そんな竹内さんは現・頭脳警察の正式メンバーでもあったりする)。

そうして演奏される曲は、基本的にはクレズマーと呼ばれるユダヤ系の伝統音楽を自分たちなりに解釈したものだが、ライブのなかでメンバーも話していた通り、いろんな国の音楽がユニークな混ざり合い方をして出来ている。曲毎に、というよりは1曲のなかにも複数の国の音楽要素が出てきたり。だから、聴いているといろんな国を旅しているような気分にもなれるし、ライブ体験が旅の体験によく似ているように感じられもする。そしてライブが終ったときには、旅も終わった……わけではなく、またここからどこかに行けるような気がした。旅は続き、音楽は続き、そして人生は続く。みたいな。

また、CDで聴いたときには哀しく感じられた曲が、ライブだと楽しく聴こえたり。あるいはその逆だったり。楽しいと哀しいは背中合わせで、そのときの自分のモードでどっちにも転ぶものだよなと気づいたりも。

特にふーちんは演奏中の表情がよく変わり、めっちゃ楽しそうに演奏したりもする。CDで聴いたときは哀しいトーンに感じられた曲をそうして笑顔で演奏したりするから、曲が伝えてくる感情が限定されず、広がるのだ。聴く側の想像力、イメージする景色が、どこまでも広がる演奏(音楽)なのである。

ときに緊張感ありの迫真のアンサンブルを味わいつつも、4人のMCにはそれぞれのピースフルでハートフルな人柄がそのまま表れていて、だからライブ総体としては温かな空気感が印象的だったし、(この日はけっこうな雨で外の気温も低かったけど)カラダも心もあたたかくなった。

4人の合わさりの音楽的可能性は無限であるようにも感じたので、ぜひとも長く活動していただきたいし、ロックフェスとかで観たらまた違った面白さが感じられるだろうなとも思った。





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