糸奇はな@原宿・VACANT

2019年3月10日(日)

原宿・VACANTで、糸奇はな。3度目となるリアルライブ。

ピアノ弾き語りから詩の朗読、3面に照射された抽象的(幻想的)な映像や彼女の前に折り重なった薄いベール。それら全てが合わさった空間そのものが糸奇はなの表現と言えるもの。彼女の内的宇宙が形をなし、自分はそのなかに漂い、優しく包まれる感覚があった。

ピアノ弾き語りの圧倒的な強度。そしてときどきハラハラさせられるMCも、だけどすごく思いがこもっていて、とりわけ最後の長めの語りは胸をうった。生きた歌と生きた言葉。最後、思わずといった感じでベールの外に飛び出したとき、殻を打ち破ったようにすら感じられた。

形の通り、決めた構成の通りにただ進めるのではなく、そこから自信をもってはみ出して、目の前にいるお客さんたちとこの時間を共有したい。この瞬間がきっと永遠にもなる。昨夜の彼女のライブはそんな思いが強く感じられたのが何よりよかった。それはツイキャスライブではなく、観客を前にしたリアルライブだからこそのよさ。リアルライブだからこそのエモーションだ。

どこまでも個の感情、個として見ている景色、個による世界の捉え方を彼女は音楽表現にしているから、それは強度あるものとなり、彼女の曲を好きになった子たちは自身の世界の捉え方をそこに重ねたりするし、救われたりもする。「みんなの歌」なんて意味がないんだ、個の歌だからこそ力を持つんだ、と、改めて実感した。

この曲(「きみでないのなら」)はやっぱり、はなちゃんにとって、とても大切な曲なんだな。と、昨夜のライブを観て。



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