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HydePark Music Festival 2023@佐山稲荷山公園 特設会場

2023年4月29日(土)

埼玉県狭山市・稲荷山公園で「ハイドパーク・ミュージック・フェスティバル2023」。

17年振りに復活した「ハイドパーク・ミュージック・フェスティバル」、その1日目を観に行った。

風が少し強かったけど、昼間はTシャツ1枚で過ごせるいい気候(日が落ちてからは肌寒かったが)。年配の方(オーバー60)が多いのは予想通りだったが、30代・40代の方もそれなりに。ロックやダンス系なんかはないので、自分がよく行くフェスに比べたら相当ユルく、のんびりした雰囲気。木々が多く、緑が気持ちいい。

サニーデイ・サービスが最後の曲を演奏中に会場に入り、パスカルズ、トノバンズ(加藤和彦トリビュートバンド)、EGO-WRAPPIN'、田島貴男(オリジナル・ラブ)、ムーンライダーズを観た。

サブステージもいい感じ

一度観てみたかったパスカルズ、よかった。知久さんのヴォーカルがやはり強力だ。加藤和彦トリビュートバンドであるトノバンズは20代から70代までの全年代のミュージシャンが揃った形態。加藤和彦トリビュートとは言え、自分が最も愛聴した『パパ・ヘミングウェイ』以降の曲はなく、取り上げられたのはフォークル時代、ミカバンド時代、ソロ作は『それから先のことは…』までで、北山修さん仕切りとあって特にフォークのトノバンの曲が多め。「帰ってきたヨッパライ」に始まり、後半は北山修さんと松山猛さんが中心になっての「イムジン河」や「あの素晴らしい愛をもう一度」も。白井貴子さん、佐野史郎さん、PettyBookaらゲストも多彩だったが、とりわけ坂崎幸之助さんの現役感が抜きんでていて、「75%、(加藤さんに)憑依」と言って歌った「不思議な日」の憑依っぷりがさすがだった。一方、スカート澤部さんや高野寛さんらが中心となった「どんたく」と最後の「黒船」は、このセットのなかでは突出して現代的で、こっちサイドの曲をもっと聴きたかったという気持ちにもなった。

昼間は前のほうでも敷物またはアウトドアチェアに座って観ている人がほとんどでゆるやかに進んでいったが、夕暮れのEGO-WRAPPIN'の盛り上げによって立ち上がって踊る人(もちろん自分も)が増え、そこから俄然フェス感が出てきた。フェスは久しぶりだとよっちゃんが言ってたが、自分も彼らを観るのはまあまあ久々。EGO-WRAPPIN'はフェスにおける振る舞い(持ち時間内の構成など)を熟知しているし、しかも夕暮れという時間帯もあって、「ああ、やっぱ最高だあー」となった。

田島貴男は、弾き語りの「ひとりソウルショウ」。圧倒的。昨年のフジでも感じたことだが、最早日本の誰かと比較することなどできない唱法で、60年代に活躍したUSの偉大なソウルマン(の誰か)にイメージを重ねることのほうがしっくりくる。「おまえたちの事情で そのスイッチを ゲームをするように押すな ミサイルをうつな」「ソウルが血を流している」と歌われる「ソウルがある」の歌唱がハンパなく凄かった。震えた。

トリはムーンライダーズ。慶一さんの詩読み(ストーンズのハイドパークでのブライアン・ジョーンズ追悼ライブで始まりにミックが朗読した詩だ)から岡田徹作の2曲で始まり、近作の実験的な曲や、インプロ多めにしてまるっきりアレンジを変えた「モダン・ラヴァーズ」などを続け、最後は「岡田くんの名曲を」と慶一さんが言って、スカート澤部さんのヴォーカルで「さよならは夜明けの夢に」。ここでもう僕はジーンときてしまったのだが、それで終わらず慶一さんが「岡田くん、もっと弾いてよ」と夜空に向かって言うと、岡田徹さんがリハで弾いたというトム・ウェイツ「グレープフルーツ・ムーン」のピアノの音が流れだし、それに合わせてオリジナルメンバーのひとりひとりが順番に歌を。ここで涙腺崩壊。泣くわ、こんなの。そして慶一さんがもう一度サポート含めたメンバー紹介をし、最後に「岡田徹!」「かしぶち哲郎!」。これ以上ない追悼ライブとなった。


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