見出し画像

the Tiger@THE SHOJIMARU

2024年3月14日(木)

神田・THE SHOJIMARUで、the Tiger。
『Get Ready』発売記念ツアー2024、その東京2日目。

前日の高円寺・JIROKICHIに続いて、この日も前売りが完売に。オールスタンディングでありながら会場満杯。上京してすぐにコロナ禍に入ってライヴができなくなった当時からしたら夢のようだ……と、メンバーはMCでも喜びと感謝の言葉を口にしていた。そしてその喜びがそのままパフォーマンスにも反映されていると、そう思えるライヴだった。

いつものようにアレサ・フランクリン「チェイン・オブ・フールズ」が流れ、メンバーたちが会場入口から客の間を通ってステージにあがると、みんなが歓声をあげて熱い出迎え。この日もオープナーは前EP収録のストーンズ流ロッキンナンバー「火を消すな」だったが、音の鳴りと響きは前日のJIROKICHIとはずいぶん違っていて「おっ」となった。特に出音が大きいながらもヌケのよさを感じたのが、あつしのドラム。正直、JIROKICHIでは少し控えめに感じられたのだが、この夜は実に気持ちよく弾力性ありのビートが鳴っていて、これこれ、これですよという気分に初っ端からなった。あつしのドラム、とってもいいんだよなー。

その音に息を合わせてゆうすけが安定したベースを弾き、たいがは前に出て曲によっては渋くスライドを、曲によってはファンキーな感覚のリフをと自由に弾き分ける。その横でりんが水を得た魚のように生き生きのびのびとカラダまるごと音にのって歌をうたう。ハイの伸びとパワーはこの小屋の天井を突き破りそうなほど。りんのギターの鳴りもいい。そんな4人のアンサンブルたるや。バンドだ!  バンドの音だ!  と、わかっていることなのに改めてそう実感する。バンドの音はいい。バンドはいい。普段、バンドのライヴに触れていない若い子でも、これを観たらバンドをやりたくなってうずうずしてくるんじゃないか。そのくらい、4人が4人とも生き生きと演奏している。

4人とも前日よりリラックスしてステージにいるのがよくわかった。表情からも、演奏からも。そりゃそうだろう。だって前日のJIROKICHIはキャリア史上初のワンマンで、初の長尺ライヴ。しかも前田サラさん、三宅伸治さん、佐々木久美さんと、3人の先輩ゲストを招いてのものだったのだから。ゲストと呼吸を合わせることにも集中が必要だが、加えて進行にも気遣いが必要となる。そのようなツアー初日とはかわって、この日は(基本的には)4人のみのステージ。そりゃあリラックスもするだろう。

リラックスして楽しんでいた……といっても、演奏はキレキレだったし、引き締まってもいた。リラックス、イコール、ユルさになどなっていない。

ただ、前日はテンポよく進行すべくMCを控えめにと意識していたそうだが、そこから解き放たれてか、この日はMC時間が前日よりもだいぶ長めに。「金町」のMVの話からメンバーのうち3人が同居する金町の家の作りや屋上について、さらには金町という町自体の話にも発展し、それは笑いが起きるくらいに面白くて自分も笑ったし、彼らのキャラもよく出ていて親しみのもてるものではあった……がしかし、純粋に彼らの音楽を好きになって初めてライヴを観に来た人には少し長い喋りに感じられたかもしれない。実際初めて観に来た自分の知り合いはあとでそう言っていたし、自分も前日のJIROKICHIのほうが演奏とMCのバランスがよかったと感じた。例えばファンだけを集めたイベント、あるいはアコースティックでやるときなどはMCが多いのも喜ばれるだろうが、今回のようなレコ発ワンマンというスペシャルなライヴであれば1曲でも多く演奏を聴きたい、長くグルーヴに身を任せていたいと、(自分は)そう思う。

とはいえ無駄話をダラダラ…というわけではなく、先にも書いた通り自分も楽しく喋りを聞いたし、何より演奏に入ればまたグイっと引き込まれることになった。ノリのいいアップテンポ曲と聴かせるスロー曲のバランスもとてもよかった。

2日続けて観に来る人もいるだろうからと、『Get Ready』収録曲以外をいくつか変えてのセットリスト。久しぶりにやると言っていたが、『七転八虎』収録のバラード「一歩二歩」が個人的にはかなりグッときた。

そして終盤、前もってアナウンスはされていなかったのだが、前日に続いてゲストで前田サラさんが呼び込まれた。「金町」、「Travelin'」、それに木村充揮ロックンロールバンドのメンバーでもあることから憂歌団「おそうじオバチャン」。もちろんこれがなくては終われないってことで「我慢できない」も。サラさんはグッと前に出て、爆発的なブロウを。りんもたいがもそれに応えるようにエネルギーの放出度合いがさらに増し、会場内は凄まじい熱気に包まれた。

RCのライヴの多くに梅津さんがいたように、これからもthe Tigerの大きめのライヴにはサラさんにいてほしい。そんなことも思ったツアー2日目。終演後には前日に続いてCD『Get Ready』にサインをもらうべく大勢の人が並んでいて、この夜ここにいた大半の人がまた次の彼らのライヴにも足を運ぶに違いないと、そう確信した。







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?