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古谷一行さんを心より追悼しつつ

金田一耕助にはちょっとうるさいじゅんぷうです。

探偵・金田一耕助っていったい何歳なのか?

『本陣殺人事件』解決後に戦地に行き
終戦を迎え復員して
『獄門島』を訪れたのが推定33歳。
それから東京に戻って事務所を開き
30~40代で多くの事件と出会い
最後の事件『病院坂の首縊りの家』が62歳とか。

なので1977年にテレビドラマ『横溝正史シリーズI』で
古谷一行さんが最初に演じたときの
実年齢33歳というのは
原作順にドラマ化しているわけではないにしても
じつにいい線だったんですね。

その翌年に『横溝正史シリーズII』があって
それから2時間ドラマ枠で
『名探偵・金田一耕助シリーズ』が始まったのが1983年。
終わったのが2005年で古谷さん61歳って、
本当に金田一を具現化しているではありませんか。

ただ、金田一ものってどうしても
主役は事件で
事件から愛される金田一は天使

だから万年書生風情の
生活感のないキャラでよいのですが
演者が年を重ねることで
探偵としては説得力が増すように感じます。

原作者の横溝正史先生もお気に入りだったという
古谷一行さんの金田一。

金田一、混浴露天風呂、失楽園、ジャズ大名に
相棒のテロリスト…
数えきれない古谷一行さんの出演作品の中でも、
じゅんぷうがひっそりおすすめしたい1本が
『誘拐された夏』
1996年の単発ドラマです。

土曜ワイド劇場なもので
『誘拐された夏 身代金は白磁の壺3つ!』
という華麗なサブタイつき。控えめだけど。

古谷一行さんが演じたのは
ひとりで暮らす、わけあり自給自足おじさん。
ある日、線路で死のうとしている少年を助けます。
父親の大事な壺を割ってしまい、
自分は壺以下だと絶望した少年の話を聞いて、
両親の目を覚まそうと狂言誘拐を企てるというお話。

世捨て人のような古谷一行の静かな炎もいいのですが
壺ファーストの少年の父が本田博太郎、
誘拐事件を嗅ぎつけた記者が峰岸徹と
クセつよ役者たちの本領発揮の怪演が忘れられない作品。
峰岸徹は古谷一行と俳優座養成所の同期だったんですね。
また見たいなあ、『誘拐された夏』、サレナツ。

今度は大林映画で峰岸徹を偲びましょう。

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