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理想の教育、昔と今

学生時代の就職活動で、私は教育系出版社に入ることを目標にしていました。書類審査で作文を提出したり、面接に行ったりしたときに、いつもこう主張していました。

「「教える」時代は終わりました。これからは「育てる」時代です」

果たして当時の自分は物事をどれくらいわかってこんなことを言っていたのか。そして具体的なアイディアを持っていたのか。記憶はもうありません。なんとなく言葉遊びをしていたような気がします。だって、物事を多少でもわかっていたら、次のようなことを言ったりしないと思います。

「2~3日の徹夜は厭いません」

できるわけありません。たとえ20代前半であっても。と47歳の今は思います。

面接官にはどうして教員にならないのかと聞かれました。1年に1クラスじゃなくて、出版物でより多くの人にこの思いを届けたいからと答えていました。そして就職氷河期だった当時、競争率が高かったのもあり、結局教育系出版社には入れず、教科書を印刷する印刷会社にご縁をいただきました。

昨日、東京駅近くの音読道場で、前田先生のお話がとても印象的でした(昨日の記事に記載)。そして前田先生が代表を務めるEdorg Japanのホームページを見ました。

Edorg Japanは私たち日本語音読指導者の母体でもあります。
Edorgというのは、Education+Organic、Organicは生き物に使われる言葉ですが、教育も生き物のように有機的に変化していくものと捉え、子供たちの素質を生かしオーガニックな教育を目指してのネーミングだそうです。そして活動の軸になるのは、次の三つ。

 ・音読による国語力強化
 ・サイコロ暗算
 ・作文

音読、暗算、作文。そう、「読み書きそろばん」と同じです。
読み書きそろばんといえば、寺子屋というワードが浮かびます。
寺子屋は言わずと知れた江戸時代に広まった勉強を教えてくれる施設。寺院で和尚さんが教えてくれるようなイメージがあります。子供たちが集まり読み書きそろばんを教わる。そして当時の子たちは基本的に家業を継ぐので、各々に専門知識を学ぶべく書物を用いて個別に教育されていたとか。年齢バラバラ、Wikipediaには「無学年制フリースクール」と記されています。言ってみれば現代教育の最先端。専門知識の本を理解する国語力はきっと音読で鍛えられたのでしょう。寺子屋では一斉教育の割合が低かったようですが、発声練習や音読、九九の唱和などはされていたとか。

Edorg Japanの掲げるミッションは寺子屋のそれと相似しています。初めてこの名を知った時、Edorgというのは江戸と関係があるのだろうと推測したのですが、あながち間違いではない?!

そして、わけもわからず、
「「教える」時代は終わりました。これからは「育てる」時代です」
と言っていた四半世紀前の私も当たらずとも遠からずだったのでした(^^;

さあ、25年の時を経て、今こそ有言実行を遂げるとき!


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