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さまざまな転機

ドイツから帰国しました。

単身赴任中の主人の元に子供を連れていけて、本当によかった。やっぱり子供たちは寂しかったようで、ドイツ滞在中はすっかりパパっ子になっていました。

そんな中、この旅の期間中は自分も含め周囲が「転機の波」に飲まれたという感がありました。一番自分にとって大きかったのは、アメリカで一緒に暮らしていた母が日本へ戻ったことです。本当なら今日の飛行機で、母も日本からアメリカに戻ってくるはずでした。けれど母は戻ってこれる状況ではなくなってしまいました。

年を取ると、多かれ少なかれ健康上の問題が生じるものかと思います。母は帰国中の検査でひっかかり、金銭面や語学の問題もあり、日本で暮らすのが一番という流れになりつつあります。これから静かに様々な記憶が薄れていく――年老いた親を抱えている多くの人が抱える悩みを、私も抱えることになりました。

私は国籍がアメリカゆえ、母を手助け出来ないことも多く、これから先少し大変そうです。介護には日本でも色々な考え方があるでしょうが、私の場合はアメリカにいるので、そこだけ見てもとても大きく異なります。文化慣習の違いは特に大きく、今回ヨーロッパの親戚にも色々話を聞いてもらいましたが、そこでもまた考え方が違うものだなぁと、驚くことばかり。

そんな中で救いになった言葉にも出会うことが出来ました。日本的ではないかもしれないけれど、「せっかくお母様に育てていただいたのだから、その愛を一番返す場所は、子供たちなんだよ」と言う言葉です。

この言葉を伝えてくれたのは、ベルリンで神父をしている主人の伯父にあたる人ですが、心に染み入るものでした。彼は母のためにも祈りを捧げてくれ、「例え親子であっても、お母さんの人生は彼女の人生なのだよ。だからあなたが『自分がどうにかしなければ』と行動を起こすことが必ずしも正解とは限らない」と言って、肩を抱いてくれました。

その後、彼の進めで訪れたベルギーのペギン会修道院では、私も母のために祈りを捧げてきました。もとは女性の自立支援のための共同コミュニティであったこの場所。真の自立とは例えどんな状況におかれても、自らが生き方を決め、周囲もそれを尊重していくこと――澄んだ空気に抱かれながら、そんなことを考える時間となりました。

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