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膵臓くんの闘病日記

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膵臓に嚢胞性の腫瘍ができました。その腫瘍を切除する手術をうけて、治療を受ける過程で考えたこと。膵液瘻、膵炎の合併症経験や知見についてかいていきます。 私は合併症を併発して悪い確率… もっと読む
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#闘病レポ10[ごはん]入院中〜退院後の食事制限について

途中まで書いて保存していたのですが、せっかくなので記憶を辿って書こうと思います。今はありがたいことに身体に異常はなく、健康に暮らすことができています。少しでも食事制限がある方の参考になればうれしいです。 膵臓を労るために、脂肪分を抑えたごはんを食べる。これが、とっても精神的なダメージが大きかったです。ハードに仕事をがんばったら、美味しいごはんをいただくというのが日々のルーチンであり、大きな楽しみだったので、暮らし方そのものをかえる必要がありました。唯一の楽しみとも言える行動

#闘病レポ09[難治性膵液蔞]お腹の管が抜けるまでの3か月

かなりご無沙汰の投稿になってしまいました。現在、手術後1年を無事迎えました。少しずつ記憶も薄れてしまっていますが、最後まで投稿していきたいと思います。 手術後に挿入した膵液を排出する管は、通常管は2週間でとれると聞いていました。2本入れていたうちの1本は、10日間ほどで抜きました。最後の1本は約3か月かかってしまいました。ただ、病院で聞いてみると最長6か月の人がいたみたいです。人それぞれなんだなあ、と思いました。 当初、管からは1日200gを超える液が出ていました。それが

#闘病レポ08[膵炎・難治性膵液瘻]術後3カ月間、期待と失望を繰り返して見えたこと

久しぶり更新になってしまいました。時間が経つと、あれほどまで辛く大変な闘病も記憶が薄れてきてしまいます。忘れるという機能はありがたくも、恐ろしいです。 わたしは術後の合併症で退院が長引いてしまったのですが、その原因は「膵炎」と「難治性膵炎瘻」でした。術後1ヶ月から3ヶ月間ほど。今日はその話を書きます。 先生方にも膵炎になるなんて…と驚かれてしまったのですが、膵液には個人差があって、わたしは膵液が多いのか、自分で自分の膵臓を自己消化してしまったようです。8月後半〜9月まで、

#闘病レポ04[手術]。前日〜当日の雑記録。患者側から見る手術録と気持ち

身体にメスを入れるってどんな感じか想像つきますか? 私はまったく想像がつかなくて臨んだのですが、正直いって、術後1週間は想像よりもずーっと壮絶な日々でした。今回は前日から当日の手術終了までについてです。 どんな手術?膵臓の真ん中あたりにある7cm程度の腫瘍を摘出するため、膵臓3分の2と脾臓すべてをとりました。傷はお腹を縦に10cm、あとはおへそと、左の下腹部2箇所に穴をあけました。しばらくお腹を見ることすら恐怖。 下腹部の2箇所は、お腹に漏れる膵液を排出するために管をさして

#闘病レポ02[胃・大腸カメラ]。大人になれた気がするから、おすすめしたい。

膵臓にある腫瘍の手術前、消化器の総点検で、検査を受けることになりました。 胃カメラは吐きそうだし、大腸カメラは恥ずかしい…。検査前は憂鬱な気持ちでいっぱいでしたが、想定よりも苦しいことは少なくて、素直にやってよかったと思えました。 新しい世界も見えてきます。 やってよかったと思えた。その理由3つ。1:検査で痛い苦しいポイントは一部だけ。 2:胃腸の病への根拠なき不安がなくなる。 3:羞恥心や痛みを超えた初体験ができて、単純におもしろい。 要するに、つらさを超えるメリ

#闘病レポ06[術後合併症]。漏れた膵液がじぶんの身体を溶かすホラー現象。

良くなって。悪くなって。また良くなったけど、悪くなる。膵臓の切除をして最短2週間の退院予定が、約3か月になってしまいました。 長引いた要因は合併症。膵臓の切り口から膵液がもれて、身体の中に染み出してしまい、自分の身体を溶かすなど、悪い作用を繰り返してしまったことです。 臓器がじぶんの身体を消化しようとするんです。そんなホラー話的な自己消化の現象が、膵臓だと起こり得てしまいます。 はじめに。膵臓はどんな臓器か?カビキラー並で最恐。以下noteで膵臓や病気のいろはをご説明し

#闘病レポ05[術後]。1週間の雑記録。自分の意志で動けることが増えると満たされる。

寝返り。座る。立つ。トイレに行く。歩く…。すべて術後にできなくなりました。当たり前にできていた日常動作ができないことに、自信喪失しました。 ただ、同時に日々の尊さも感じましたし、大事な気づきがありました。「"自分の意志"で選択し行動できることこそが、自己肯定感を充し、幸せに感じることなのだ。」ということです。 今回は術後1週間の体験を書きます。 私は「腹腔鏡下膵尾体部切除術」という手術で、腫瘍摘出のために開腹もしています。消化器系、特に胆のう・肝臓は似ている部分もあるかもし

後悔しない。闘病前にやってよかったこと。

今回は不安な気持ちとのうまい付き合い方についてです。 4月初旬、見つかった膵臓の腫瘍は5cm以上。悪性の可能性もあるという診断。迷いなく手術で取ることを決断しました。 理由は、MCNは時間が経つと悪性度が高くなる病気と言われていたからです。 手術を決めたあと訪れた気持ち決断は早かった分、後から不安や恐怖がこみ上げました。就寝前に症例やブログを読みふけり、勇気づけられる日もあれば、怖くて涙がぽろぽろとこぼれてしまう日もありました。 不安はざっと以下のとおり。 何歳まで生

病の不確実性と向き合っています。

良くなったと思うと、悪くなる。 良くなると期待すると、裏切られたりする。 入院前は手術したら順調に良くなると信じ込んでいました。そうではないと気づいた時、乗り越える心構えが必要になりました。 なぜ今このテーマで書こうと思ったか。退院が見えて順調に回復していましたが、夕方から膵炎の再発を疑う腹痛に見舞われてしまいました。また絶食に出戻りです。 膵臓の手術は難しいと言われていますが、私の場合も多分に漏れず、手術後にあらゆる合併症に苦しんで、再度手術したり、退院が延びたり、再

まさか。膵臓に腫瘍があると言われて調べてみた。膵粘液性腫瘍(MCN)って何?

「膵臓に腫瘍がありますね」 その瞬間は医師に質問すら、できませんでした。 気にも留めない存在だったのに、いまでは毎日ご機嫌を伺い、彼の調子に合わせて暮らしている。そして、膵臓くんは、ヘソを曲げると怖い臓器だったんです。(怖さはおいおい) そんな膵臓の機能や私が発症したMCNという病気の概略について、以下、3点に分けて書きます。 極めてニッチな内容ですが、膵臓の病気について知ってもらい、病気の早期発見につながれば嬉しいです。 注意!解説は個人の意見も含みます。

病気になったので、はじめてみました。

重い腰をあげて、書いてみることにしました。膵臓に病気が見つかり、急にひと休みの期間が訪れたことが理由です。なんとなく目的を決めました。2つあります。 1つ目。人生の転機に感じたことを残したかったから。ある日の精密検査を機に、当たり前の日常が簡単に崩れていきました。そんな経験、なかなかしないと思うので、転機が訪れたこの瞬間に感じたことはとても大事な事である気がしています。体験したこと、見たこと、思うことを、ただ単に書き留めておきたいです。 2つ目。同じ病と闘う人の役に立ちた

#闘病レポ03[セカンドオピニオンと術前]。納得感は、不安と向きあう武器になる

膵臓を切る手術が決まって実施まで1ヶ月半ほど。突如不安に駆られて泣いたりしました。人生初手術、難易度も高い。病院や先生選び、手術方法、その後の生活…不安でいっぱいでした。手術後が想像できなくて先が見えなかったのです。ただその期間のなかで、不安との向き合い方に自分なりのコツがみつかりました。 治療への納得度と不安は反比例する。不安を減らすために、やってよかったことがあります。当時は整理できていたわけではないですが、患者側にできることにフォーカスして、治療に対する納得度を高める

#闘病レポ01[診察・診断]。患者側ができる診察にのぞむときのコツ。

今日は病院めぐりや検査、腫瘍の発見までの話です。腫瘍は良性のタイミングで腫瘍を切除できたのは、発見が早かったからです。 複数の病院を巡った行動力は、友人たちに褒められました。「発見が早くて良かった」と一緒に喜んでくれた時、違和感を疑ってよかったと思えました。 わたしが発症した膵臓の病気はこちら。 病気発見までの軌跡。時系列での記録。疲労による体調不良、という結論で終わらせるのではなく、病気を特定するまで粘ったことが功を奏したのですが、病院めぐりも気力と工夫が必要だと思