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割れて生まれた幸せ#我ら失敗団

あれはかれこれ8年前。

介護職の夜勤明けの朝
私は半分寝ながら、朝食で使ったご入居者さん達とスタッフのカップを洗っていた。

「カッチャン!」と乾いた音をたて、一つのカップを床に落として割ってしまった。

そのカップは、私が心の中で『マダム先輩』と呼んでいたスタッフのカップだった。

女優さんのようにウットリするほど優美で清楚な先輩。
ベ○ツで颯爽と出勤される。
なぜ介護職を?と思っていたが
「高齢者の方々と触れ合うのが好きなのよ。心が清らかになるでしょう?」と仰っていた。

おむつ交換でさえ優雅にこなす。
夜勤の仮眠時間もソファーで素敵な音楽を聴きながらゆったりコーヒーを飲まれていた。
(私は仮眠時間、軽食を食べ、直ぐにグーグー寝ていた。)

その『マダム先輩』のカップはCOACHであった。
そのカップを落として割ってしまった。しかも粉々。
「わあぁぁぁ!やってしまったーー!!私のバカぁーーー!」一瞬で目が覚めた。

大失敗。

お恥ずかしいが、私は高級ブランドの物を一つも持っていなかった。
COACHのお店はどこにあるのか?お値段はいかほどなの?もしかしたら大切な思い出のあるカップかもしれない。青ざめる。

そこに夜勤を終えた『マダム先輩』登場。

「大変申し訳ありません。私がボーッとしていて○○さんのカップを割ってしまいました。」深く頭を下げ謝罪した。
「全然気にしなくていいのよー。今日も夜勤お疲れ様。ありがとうね。」と笑顔で帰られた。

お詫びにと、流石に同じカップは買えなくて、CALICOのカップを購入した。『C』だけ同じだ。

次の同じシフトの日、マダム先輩に
「先日は本当に申し訳ありませんでした。代わりにはならないかと思いますが、こちらを○○さんに使って頂ければとお持ちしました。」背中に冷や汗が流れる。

マダム先輩は、綺麗にラッピングされたカップをそっと取り出し
「まあ!とても素敵なカップだわ。ありがとう。でもね、カップやグラスはいつかは割れるものなのよ、だから気にしなくて良いの。」と満面の笑み。
「私は代わりのカップを持って来たから大丈夫。このカップはじゅんみはさんがお家でリラックスする時に使いなさい。それより、私からプレゼントがあるのよ。」

プレゼント?
白い箱を渡された。開けてみる。

な、なんと、私が割ったのと同じCOACHのカップだった!えええ?

「じゅんみはさん、いつも頑張ってるから。このカップはお友達の結婚式の引出物にペアで頂いたの。家では使わないし、あなたは気を遣って代わりのを持ってくると思っていたのよ。だから気にしないで、このカップを使ってね。」
しかも丁寧にテプラで「じゅんみはさん」と名前シールも貼ってあった。
※老人ホームでは、全てのカップにお名前を貼ります

なんて素敵な『マダム先輩』

ありがとうございます。お元気かしら?
介護職を辞めた今も2つのカップを大切に使っていますよ。

息子の彼女ちゃんからのプレゼント
『夢のかけ橋フレンド』

朝起きたら、ゆっくり丁寧にドリップして淹れます。
『夢のかけ橋ブレンド』
なんて素敵な名前の珈琲豆!!
彼女ちゃんありがとう!

オトンと朝のコーヒータイム

COACHのカップはオトン
CALICOのカップは私

う〜ん、贅沢。

あの時の失敗があったから
『マダム先輩』の優しさがあったから
今、父娘でゆったりと美味しい珈琲を飲めるのだ。

感謝。

・・・

余談

小さな失敗も沢山あります。

ある雪の日に普段は履かないスカートで出掛けた。コンビニに入った瞬間マンガのように盛大に転んだ。パンツ丸見え。恥ずかしいのに痛くて起き上がれない。
横にいた若いカップルが心配して飛んできて「大丈夫ですか?」と親切に起こしてくれた。感謝。

先日は、メガネをかけたまま顔を洗った。メガネも綺麗になった。

寝ぼけながら歯磨きして、ハミガキ粉と洗顔剤を間違えて口の中をブクブクに泡立てたことは何度もある。

これはただのオッチョコチョイ。

「失敗と助けてくれた感謝」を書きました。

・・・

こちらは、「あんこはるかの寄せ書きRADIO・タイヨミキカク#我ら失敗団」の私の失敗談です!

拝啓あんこぼーろさん、あこはるかさん、久しぶりに企画に参加できて嬉しいです!ありがとうございます!

長ーい文章になってしまいましたが(汗)

最後までお読みくださったみなさん
ありがとうございます!

祝・19回「あんこはるかの寄せ書きRADIO」本編も楽しみにしております!

読んでくださりありがとうございます! 嬉しくて飛び上がります♪ 私の心の中の言葉や絵を見て何か感じてくださればいいなと願いつつ。