見出し画像

陰影礼賛 谷崎潤一郎

                   写真:大川裕弘

 美しい日本語に出会いたい、美しい景色を見て心和ませたい、そんな時に手に取るとよい本です。

 谷崎潤一郎の名文とそれを映し出す一片の写真が絶妙なタイミングと量で陰翳の世界を儚くも美しく形作っている。京都など古都に行けば見られる古式ゆかしい日本家屋は、現代の都会の生活からは想像し難い今において、写真を挿絵のようにいれた意味は多いにあると思う。

 それにしても語彙の豊富な美しい日本語をゆったり読んで味わい写真をみるに優雅な気持ちになる。煌びやかで便利な西洋文化に押されがちな日本の美をここまで讃えてくれたのは、本当にありがたいことだと思う。

 隈研吾の建築のように、日本古来の美意識と近代常識との融合も進み評価されていることを思うと、古来からの日本人独特の美意識を忘れず生かすことの大事さを考えさせられる。オリンピックの隈研吾の建築国立競技場を見て、ふとこの本を思い出した。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?