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【最近のヒット作品のストーリー傾向 (漫画です)】〜ヒーローズ ジャーニーの複数交錯〜

まず基本的な事。
世に出回る「物語」の8割は《ヒーローズ ジャーニー》と呼ばれる構成で、登場人物、舞台や時代設定を変えてるだけ。そうして同じような物語を観ています。
要素を次のように挙げればきっと納得するはずです。

●主人公の現在(や過去)の背景の紹介 → 
●問題の発生、敵の出現 → 
●問題解決や敵の打倒を決意、修行の開始→ 
●試練、困難、身近な重要人物の死など→ 
●仲間が現れる、や、恋に落ちる → 
●努力で試練、困難を乗り越える → 
●その問題や敵との最後の対決❗️

それらの要素はよく、週刊少年ジャンプ漫画のヒットの黄金律で「努力、友情、勝利」と言われてますね。

そのヒーローズジャーニーの構成は更に「起承転結」に集約できます。
子供の書く作文は「起承」だけで終わってしまいます。物語を面白くするには「転結」が必要で、その為にも作家さんは「結」から考え出します。

8割のヒーローズジャーニーの物語は、その「起承」から一度、ネガティブな「転」に陥って、ポジティブな「結」を迎えます。例えば「勧善懲悪」→正義は必ず勝つ!みたいな事ですね。

もっと簡潔に言うと、8割の物語は「ハッピーエンド」つまり《起承→ネガ→ポジ》の流れ。
となると、残り2割の作品の構成が《起承→ネガ→ネガ》又は《起承→ポジ→ネガ》《起承→ポジ→ポジ》です。

ちなみに、起承→ポジ→ポジの物語のように生きる事が出来たらどれだけ理想的な事か。しかし物語の場合、《起承→ポジ→ポジ》ほどつまらない物語はありません。

そして本題。

最近のヒット作は、そのヒーローズ ジャーニーを主人公だけでなく、なるべく複数の人物に当てようとしてる事が特徴的です。

ヒーローズジャーニーを主人公と、そして対照的に悪役にも当てて、2本柱で構成する物語は以前からありました。特に映画やTVドラマにおいてです。

僕の好きな俳優が出ている作品で例を挙げれば「HEAT」でアル・パチーノとロバート・デ・ニーロの対峙が印象的です。主人公が最後に勝つものですが、面白い作品というのは悪役にも思い切り感情移入しています。

ただ、やはり「映画」という時間が限られた枠の中では、ヒーローズジャーニーを交錯させるのはその主役と悪役、2人までが限度でしょう。
(中には必ずしももう一つのジャーニーは、敵ではなく身内の相方におく作品もあり)

漫画はというと、ページの制限はあれど人気を維持して連載が継続すれば、時間という制限はなくなります。
ヒーローズジャーニーを2人以上の人間に複雑に絡める事には、漫画が向いていると言えますね。

例えば「鬼滅の刃」ヒーローズジャーニーは主役、仲間たち、敵の鬼、柱たちと多岐に渡ります。

「キングダム」主役、王、仲間、同僚の将軍、先輩の将軍、敵の軍将、複雑ですね(笑)  
しかし、このキングダムの複雑さも源泉は「三国志」や「項羽と劉邦」だと思います。中国史物語は元々、得意なんですね。

「One Piece」「SlumDunk」「ジョジョの奇妙な冒険」「Hunter×Hunter」と、ファンが「俺は○○派だ」という話が湧き上がる程、それが濃厚だと気付かされます。
小説も2人以上には向かないでしょう。むしろ1人に絞り込んだ方がいいでしょうね。章ごとに焦点を浴びせる人物を変えるのは、僕程度の文章力では2方向視点が限界だと自覚しています。

このヒーローズジャーニーが、主役、悪役、仲間、別グループの中心人物…などと広げると話に深みが出てきます。
ですが…ヒーローズジャーニーが複数に何本絡もうとあくまで本流は一本です。
ストーリーの本流が「起承→ネガ→ポジ」である以上、主役チームにも相手チームにもどちらにも感情移入したとすれば…必ずどちらかに【ポジなラスト】が、どちらかに【ネガなラスト】が待ち受けており、その複雑な心境を楽しむ事になります。

これが正義の味方vs悪の軍団なら、勧善懲悪に則ると最後に悪は敗れるので、正義にも悪にも両方に感情移入させるジャーニーがあっても、ストーリー本流としては正義が勝つのだろうな……とどこかに妄信が起きます。

青春のスポーツドラマものならどうでしょう?
主役チームも相手チームも中心人物がいて、2人どちらともに感情移入してたらどうでしょう?
青春ドラマの場合、主役チームが勝っても負けてもドラマになるんです。最後は本当にポジなのかネガなのか、読み切らないとわかりません。

と、そんな訳で、最近のヒット作品の傾向として、ジャーニー複数交錯に着目します。主人公のメインジャーニーもありますが、主人公的立場の登場人物が多く、そのミニマムジャーニーがまた読者に魅力を振り撒いてます。

思えばこれこそが「壮大なスケール」と呼べる作品です。
作品のスケールの大きさとは、設定してる場所の広さ、時間の長さではなく、登場人物それぞれの人生背景の多さと深さ、更にそれを交錯させてのドラマ作り…あくまでストーリーの本流の起承転結をどう運ぶのか?です。それは登場人物の誰かに取っては「起承→ネガ→ポジ」の【勝利】であり、誰かに取っては「起承→ポジ→ネガ」の【敗北】なのですから。
よって今のヒット作品の要素は、その「人物たち」にスポットを当てた壮大さにあると言えます。

これゆえに、物語の風呂敷を広げ過ぎて完結させる事が出来ずに途中でドロップアウトした作品も多く観てきました。

そんな大作と呼べる作品を書いてみたいな、と思いつつも、それを書くのってそれこそ人生の殆どの時間をかけるような覚悟がいるのだなぁと馳せてます☺️

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