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ゴッホの青い手紙 39

 テオよ。僕は母さんや父さんによく言われた。太陽は見てはいけないと。君はどうかね?子供の頃、親から言われたことに完璧に洗脳されているようだ。僕は大人になるまでそれを守っていたし、もし太陽を直視すれば目が見えなくなると信じてきた。絵描きにとって眼は命より大切だからね。
 だがね。いろいろなことがあった。僕の人生は極端から極端の人生と言っても良いだろう。両極端を経験しないと実感がつかめない性格らしい。僕はある時もう一度考え直すことにした。すべてを疑ってみることにした。
 そうしたら不思議なのだが最後に疑うことを忘れていたものに気づいたのが両親の戒めだった。「太陽は見てはいけない。」だった。
 僕は太陽とにらめっこしたよ。最初は眼が焼けるような気がしたが、実は太陽は優しい。僕の絵の太陽を君はどう思う。表現の様式だと思うかね?あれはあの様に見えるのだ。君にも試せとは言いにくいが本当のことだ。太陽はぐるぐる動き出し、太陽の周りは僕が描く様に見えるのだよ。そして言いようのない力を僕に与えてくれる。僕は太陽の光が好きだ。人間は太陽を見なければいけないとさえ思うようになったよ。人間というものは結構洗脳されている部分がある。一回は洗い出し流す必要があるだろう。特に絵描きは必須だと僕は思う。焼却忘れずに頼む。

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