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KING OF KINGS 2019現場レポート

昨年書いたレポートが結構好評を各所でいただき、いと有り難し。現場に行くか最後まで迷ったが、今年も観戦したのでレポート。
迷った理由。参加MCのラインナップに面白い大会になる予感があまりしなかった。その予感は、ちょっと外れてちょっと当たった。

参加MC

ACE - 東日本予選
HARDY - KOK U-22 WEST & 口喧嘩祭
Randy Wati Sati - KOK U-22 EAST
SAM - 戦極MC BATTLE
HI-KING TAKASE - 西日本予選
呂布カルマ - ADRENALINE
スナフキン - 東日本予選
MU-TON - 西日本予選
T-TANGG - ENTA DA STAGE
D.D.S - 波の上フェスティバル×KOK沖縄
Authority - SPOTLIGHT
智大 - 小倉MCBATTLE
梵頭 - PLAY OFF
CROWN-D - PLAY OFF
DANIEL - PLAY OFF
RAWAXXX - 9sari選抜

ベスト16

1,HARDY vs Authority - DJ ZAI
実績も実力もあるのに、人気も評価もそこまで高くない不思議な男HARDY。一方Authorityは今一番勢いに乗っているMC。UMB優勝をひっさげて若手唯一の優勝候補。
バイブス高く盛り上げるHARDYのスタートに対して、
韻を踏み続ける、逆にそれしか出来てないAuthority
Au「繊細、お前は天才だが、俺がメインディッシュお前は前菜」
H「俺は努力の天才、決めるな限界」
Au「コンクリート、コンプリート、コックピット」
H (それに対して「おんうい」で連続踏み返すが聞き取れず)
 「ビートが聴きづらいが気にしねえ」
Au「クソ、スロースターター」
H「空をロケットが飛んでる時代だぜ」
 「CimaもEroneもいねえなら俺が優勝で異論はねえな」
Au「CimaもEroneもいた現場から来た俺の方が代表。エンターで現場でセンター」

自身スロースターターと思わずもらしてしまった通り、3本目まで全くパッとしなかったAuthorityだが最後にHARDYが大きなミス。大阪代表を掲げるつもりが、相手がよりによって大阪Spotlightの優勝者、しかもCIMAを決勝で破って本人にも認めさせていたAuthority。それを言い返されて綺麗な韻も踏まれて逆転。
個人的にはそれでも前3本と中身の濃さでHARDY。
KOKでありがちな判定が、その時の内容よりも「優勝や次の組み合わせの期待感」で票が動くことが多い。今回もやはりaに対する期待感の高さがなければこうはならなかった判定に見えた。
2,DDS vs SAM - Green Assassin Dollar
大会の常連になりつつあるDDSに対して、2019年でいろんな大会で優勝しまくってきたSAM。「今のSAMならもしかして」という期待は高かった。

チル目のGreen Assassin Dollarのビート。ディスが乗りづらい曲調でお互いフローから入った印象。あまり盛り上がるパンチライン無し。勝ったSAMにしてもこれぞ、という韻ではなく。
SAM「DDSごちそうさま KOKおまちどうさま」
DDS「愛を語る。お前は見たか昨日の満月を」
SAM「見てるかマイメン。今日のチャンプは俺しかいないぜ」

DDSは声もかっこよく、いつも即興性が高いが、言いたいことの伝わりにくさが災いしている気もする。結果はSAM。
3,Randy Wati Sati vs 梵頭 - Flammable
今大会の「誰?」枠で出てくるも、生意気なチンピラ風で出てきて大声で会場をわかせる Randy Wati Sati。先行で聴き心地良い高速ラップをかます。ラップうまくて全然チンピラじゃない!
岐阜のHikigane Sound率いる梵頭はここ最近バトルで結果を出し続けている印象。会場の人気も高く大声援。振る舞いもさすがの堂々。
RWS「おっさんただのサービスヤクザだろ?」
梵「誰だよこいつ?ランディワカチコ?さっき吸わせてもらったのにごちそうさまがねえぞ?」
RWS「ごちそうさまは言わないスタイル。なんだよその顔?じゃあ俺あえて顔見ねえ」

ぐいぐいと前によってきて圧力をかけてくる梵頭を避けるように背中側へまわる。しかし梵頭は振り返ることなく、そのままずっとRWSが「元居た場所」の方を見続けてラップ。面白い絵面に。
梵「いきがるあんちゃん、ここほれワンワン。俺の背中見てんのか?憧れてんのか?」
この辺りから梵頭の圧力にやられたか、気分が上がってしまったのか、審査員のメンバーやTOKONA-Xなどレジェンドの名前を出して憧れてるというヘッズぷりを見せて「一年前はこんなとこ立てると思わなかった」とかわいいところ見せるRWS。梵頭の違法関連のワードの方が会場に刺さり、結果圧勝に。しかしRWSのラップがカッコ良かったのがオーディエンスには大きな発見。
4,スナフキン vs Ace - DJ Gerardparman
共に長年バトルシーンにいるMCで東予選優勝同士の対戦。わざわざこの2人を初戦で当てなくても、、、
両者ともに、選手入場方向がわかりにくかった為に混乱する一幕があり、それをトークでわかせてさすが舞台慣れているAce。一方スナフキンもそれに触れてバースを始める即興性の高さを見せる。
ス「敵がどっちから来るかわからない程ぶっ飛んだ所からの挑戦。まるでJOKER役のヒース・レジャー俺が会場の火付け役」
Ace「火付け役?俺に気をつけな。敵に背中を見せたらバンバンバン」
ビートに合わせてスローにスタートするスナフキンに対して倍速でのせて会場を上げるAce
ス「軽い言葉は罪が重い」
Ace「罪が重い?お前にかけてやる無知な呪い。お前も8割歌詞に意味がない」
ヒース・レジャーと火ぃ付け焼ぁくは上手い韻!しかし最新作のJOKERはホアキン・フェニックスだスナフキン!
スナフキンが一定の載せ方に対してAceはフローをどんどんと変化させていく。会場にいると良さがわかるタイプ!会場はAceを指すが過半数に至らず延長に。

延長線
打って変わってダンサブルなビート
Aceが得意なタイプか、と思いきやスナフキンのテクニックがかなり冴える。変化するフローと独特のワードセンスで魅了。
Ace「もっとゆっくりビートに乗れなきゃ女の子は濡れないよ」
ス「CDは売れても魂は売れねえスタイルはぶれない」
Ace「ヒップホップに魂を売ってないやつがこんなところ立つな。俺ならとっくに売ってやったよ」

後半は両者ともフローが冴え渡るがAceの言葉はわかりやすい分延長では飽きられやすかったか?
延長線はスナフキンの圧勝に。個人的には2本ともAce


第5試合を前に、紹介動画の音が出ないトラブル。ムートンだけなら乗り切ろうとしたがCROWN-Dも音無しだったので仕切り直しに。
その修正の間に漢に話をふるマスター、当然フリースタイル始める漢。
「トラブルだったらラップで回避、帰ったあとは速攻会社で会議しなきゃいけない」
など、完全な即興性で見事なライミングを見せて会場のボルテージが一気に高まる。その勢いで次々と審査員にフリースタイルを降っていくFORK、Erone、そして最後にはZeebraまで!
Zeebra「ギャラがアップするけど大丈夫ですか漢さん?皆に感謝」
この4人の豪華なマイクリレーに会場が一番の盛り上がり。

5,MU-TON vs CROWN-D - DJ KOPERO
MU-TONの人気はやはりトップクラスで声援が桁違い。
初出場CROWN-Dは名古屋のMCとのこと。存じ上げず。
MU「トラブルは現場の名物、フリースタイルは即興芸術、気を取り直してテイクツー、ホームラン宣言ベーブ・ルース」
C「お前がベーブ・ルースなら俺は沢村」
と、この短時間で考えたにしてはやたら完成度の高いライミングでスタート。観客の期待に120%返し!
MU「鎖に繋がれたあいつとの約束」
MU-TONの紹介ビデオは完全にアングルが出来上がっており、
参加が決まっていたが逮捕されて参戦できなかった「紅桜」との絆がストーリーとして出来上がっていた。またKOKの悪い癖だが、当然MU-TONもそれを最大限利用する。
最初のワンバース以外特別上がる事はなかったがプロップス含めて完勝に。
CROWN-Dはインパクトを残せなかった印象。
6,呂布カルマ vs T-TANGG - DJ Panasonic
優勝者枠か?と思いきやAdrenaline優勝枠だった呂布カルマ。メンツがぱっとしなかった今回あっさり2連覇なんじゃないか?という予想もあった。
T-TANGGはバトル常連ながら「若い中では強い」という印象のままだった。今回はENTA DA STAGEを堂々と優勝しての登場。オラオラなだけの印象だったが紹介ビデオが一番ぐっと来た。
呂「勘違いしたガキが来ちゃった」
T「こいつらが何しに来たか教えてやるよ。お前が負けるとこ見に来てんだよ」
呂「一人だけ一般客かと思うようなスキルだな」
T「確かにお前だけプロだよ。バーカ嘘だよ。」(地元の先輩サイプレス上野のサンプリング)

毎バース的確なディスと正論アンサーの呂布カルマ
T-TANGGも持ち味の「わかりやすい」小節の最後に踏む韻の連打を見せる。そのスキルは正直すごいと思っているが、余りに毎回綺麗に踏むのでネタ感が出てしまい、会場も盛り上がりずらい。例えばこれがU20の客ならめちゃ上がったりするのだが、ここはそうも行かなかった。観客が「日本一のMC」にそれは違う、と思っているのか。
呂布への期待を脅かすには至らず。
7,智大 vs HI-KING TAKASE  - CARREC
お互いベテランなので話題と語彙が豊富だが、ちょっと会話がわかりにくくなってしまった。
Takaseの「I Love Hip Hop」と「Hip hop is dead」がかろうじてわかったが後はピンとこず。
会場もちょっとおいていかれていた状態。
フローの安定か、盛り上がりが僅かに多かったか、智大の勝利
Takaseは「ハマらない場合滑ってる感が出てしまう」という勿体ないキャラクターがあるかも。
8,Daniel vs RAWAXXX - peko
人気で言えば、呂布、MU-TONと合わせて頭が飛び抜けているRAWAXXX。今回は「鎖選抜」という謎の理由で登場。前回の選抜は「UMB優勝」と言えなかったMU-TONに使っていたが、今回は正真正銘なんのチャンピオンにもなっていないのに登場。この件は後で。
Danielはプレーオフ3位で登場。全く聞いたことの無いMC。先行でバイブス高く行ったのは良かったが、結果的に「フリースタイル1年」という言葉通りの雰囲気に。なんせ相手が随一のラップスキルを持つので、8小節ずつ交代で聞かされるとその差がちょっときつい。
4ターン目は途中で言葉が出なくなってしまい、応対するRAWAXXXも大変そうだった。

ベスト16のベストバウトはスナフキン vs Aceの2本目。敗退者MVPはHARDYにあげたい。
次回はベスト8以降

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