アニメ ミリオンライブ その感想に類する怪文書

ミリアニの感想を語る前に、僭越ながら昔話をさせて貰いたい。
書いてみたら長くなってしまった上に明るい話でもない。
飛ばしてくれて良い。

私とアイドルマスターの出会いは2011年アニメ「アイドルマスター」からだ。
アイマスについて、当時はニコニコ動画において、おそらくアイマスと全く関係ないであろう数々の動画にも何故か現れる謎の存在と認識しており、特段の興味も持たず、他の数多のアニメと同じくなんとなくながら見する程度だったが、見終わった頃には一気にはまりこんだ。

後の同年11月にシンデレラガールズがリリースされたが、当時の私はソーシャルゲームに偏見を持っており触れることはなかった。
が、更に後の2013年にGREEにてミリオンライブがリリースされる。
765プロの後輩という位置付けで、アニメを製作したA-1Picturesがゲーム内のイラストを手掛けていた。
アイマスと言えばアニメの印象が強かった私には、名作アニメのエンディングの向こう側が見れる気がして、偏見を振り払いリリースから程なくミリオンを始めてみた。

なんか思ってたのより数段クレイジーだった。

何がどうクレイジーか説明するのは面倒なので割愛させて頂く。
調べてみれば山と出てくる。

そんなクレイジーを戸惑いながら楽しんでいたが、リリース当初から、ミリオンライブを取り巻く世界はお世辞にも優しくはなかった。
初期からのアイマスPの方々にとっては突然現れた「後輩」という存在を受け入れられず、シンデレラPの方々の目には765の後輩の座を奪った略奪者として映った。

ただ私もまた一人のオタクである故にミリオンを毛嫌いする感情は理解できた。
実際ミリオンライブの登場によってシンデレラガールズが割りを食った場面は確かにあったのだ。
ミリオンが現れたことでシンデレラが先輩達と共演する場は一気に失われた。
ミリオンが存在しなければ劇場版に出演していたのはシンデレラだっただろう。
もし私がもっと早く偏見を捨てシンデレラのPになっていたら、ミリオンに対して同じような悪感情を抱いていたかもしれない。

10年前より今に至るまで数々の罵倒がミリオンライブに投げつけられた。
「ミリオンは不要」
「ミリオンはシンデレラのパクり、後追い」
中には文字に書くことすら憚られるものさえあった。

しかしそれらの悪罵が、私がミリオンを続ける原動力でもあったと今では思える。
キャストの大半は私よりも年下で、リリース当時は高校生の方もいた。
あくまで推測だが、きっとそんな年若い女性声優の元にもアンチの声は少なからず届いていたのだろうと思う。
あくまで推測だが、そんなアンチの声に耐え忍びながらもマイクに、ステージに立ち向かい、キャラクターに愛情をもってこれまで演じてこられたのだろうと思う。

そしてミリオンライブが運営するスタッフの方々に愛されていることも感じていた。
リアルライブの出来事がゲーム内イラストに流用されることは多く、ジュリア役の愛美さんがライブで使用したギターが描かれたり、北沢志保役の雨宮天さんが「ライアールージュ」を披露されたときの光景が再現されたりした。
ただし後者は当時のミリPのクレームによって「修正」されたが。
とりわけ印象深かったのが田中琴葉役の種田梨沙さんが療養から復帰されたときだ。
既にGREE版ミリオンライブのサービス終了が間近であったにも関わらず、琴葉のボイスが実装された。


そんなスタッフやキャストの方々が愛情を込めて造り上げるミリオンライブにこそ報われて欲しかった。


今となってはアンチの方々のミリオンに対する執拗な罵声が目に入っても「損な生き方してんな」ぐらいにしか感じなくなったが、報われて欲しい願いは今も変わらない。
故に、今回のアニメ化は長年続けてきたミリPほど切望した悲願だった。


では、そろそろミリアニについて語ろう。

↓以下ネタバレ語彙力ミリオンな感想↓




ヤバいぐらいにミリオンライブだった。


いや37人もいたら1人ぐらい解釈違い起こすやん?

なんで無いの?
奇跡じゃない?

異常なまでに各キャラクターの解像度が高く、この子ならこうするだろう、こう言うだろうを実現していた。
その上でストーリーの展開も明るく賑やかなミリオンライブらしさに溢れていて、重い空気になっても不快さを感じないものに仕上がっている。

4話でまつりが桃子を直接フォローしにいくのではなく、踏み出せずにいた琴葉の方をフォローしたシーンでは

ンンッ!まつりそういうとこォッ!

ってなってた。

また様々な場面にこれまでのミリオンライブの歩み、劇マス、ライブやゲーム、コミカライズに至るあらゆる要素が詰め込まれて些細なシーンにさえ胸が踊った。
第二幕の展開だが、劇場ができるのにテントを登場させる手腕には舌を巻いたものだ。
誰がこんなの考えた?
天才か?

待ちに待ったアニメとは言え、内心構えていたのも事実だ。
製作会社は変わったしキャラデザも変わったし見慣れない3Dだし39人だし、これまで期待されていたはずなのに駄作で終わったアニメも数々見てきた。
ぶっちゃけ公開前にキャストの皆さんが再三「泣いた」と繰り返していたのもむしろ不安に感じたぐらいだ。

びっくりした。
マジで泣けた。
「Rat A Tat!!!」は神曲。
3Dも心配要らない。
大体6秒ぐらいで慣れる。
「Rat A Tat!!!」は神曲。

公開前にYouTubeでアップされていた「Rat A Tat!!!」試聴動画に対して、

「全体曲にしては聞き慣れないタイトルでミリオンっぽくないな。所詮アニメか」

とか思ってた。
公開後

「大変申し訳御座いません。紛れもなく、ミリオンの曲に間違いありません」

ミリアニを見た誰もが語る2話オーディションシーンの最上静香役田所あずささんの神演技も勿論だが、春日未来役山崎はるかさん、伊吹翼役Machicoの歌演技も絶妙過ぎる。
Machicoさんは「クラスで一番」程度に調整したという。
二回目に改めて聴いてみると確かにそう感じられる歌声だった。
「Rat A Tat!!!」は神曲。

公開前は先輩達はほんの少しでも出てくれたら良いなぐらいの期待だった。
まだ4話だけだしちらっと顔だけでも見れたらな、ぐらいの。

すごい出るやん。
そりゃミリオンスターズに比べれば少ないとは言っても予想の4倍ぐらい出るやん。
喋るし歌うやん。
1話、幕張ライブのシーン

は?マスピか?

ちょうどイベントやってるからマスピか?

まさかマスピの再来か?

劇マスのマスピを再構築か?

マス……ピ……

マスピではない。
「TOP!!!!!!!!!!!!!」は神曲。

以上。
今回公開されたアニメ「ミリオンライブ」第一幕全4話は、ミリオンライブ歴10年のPである私にとって、混じりけなしの「最高」のアニメだった。

エンディングが終わって劇場内が明るくなった後も、余韻に浸っているのか、感慨に耽っているのか、観客がしばらく立ち上がらずに座っていたのが印象に残っている。
私は年に2~30作程の映画を見に来るが、そんな作品は珍しい。

勿論あくまでまだ4話だ。
以降のストーリーで評価が下がる可能性が否定されたわけではない。
キャラの出番にも差があり、これから出番が増えたときに解釈違いを起こすかもしれない。
しかしこの奇跡的な完成度の第一幕を見れたから、これから凡作程度になり下がってしまったとしてもきっと私は気にしないだろう。

十分だ。

満足した。

あのアニメと世界線は確かに違う。

しかしあのプロデューサーがいて、765のアイドル達がいて、後輩達が仲間に入った。

このアニメは私が、10年前に目を開けて見た夢の続きだ。

あの時ミリオンを始めて良かった。

ずっと続けてきて良かった。

そう感じさせてくれた。

このたった4話、たった二時間足らずで、投げつけられる石に耐え続けた、この長い10年間が報われた気がしたんだ。

この作品は古参のPほど刺さる。
だからミリオンライブを知らない人、あるいは最近始めたばかりの新人Pの人にどれだけ刺さるかは私には分からないが、少なくとも値段分の価値はあると思っている。
もしまだミリアニを見ていなくて、でも少しでも興味をお持ちならば是非鑑賞されることをお勧めする。

特に地方の方々に強くお勧めしよう。
現時点ではミリオンライブ及びシャイニーカラーズの先行上映が決まっているが、これから他作品が同様の試みをする可能性がある。
そうなると地方の客入りが目標を大きく下回れば、以降の作品において地方は切り捨てられると容易に想像できる。

前半ミリオンに向けられた悪声罵倒について長々綴ってしまった。
最近Pになったばかりで楽しいミリオンしか知らない新人の方には、暗い話をして申し訳ない。

ただ他ブランドに対し、またPの方々に対しても敵意があるわけではない。
好きなもの、嫌いなものが違うだけだ。
皆が皆、罵倒を繰り返していたのではないと理解しているし、10年前と比べれば今やかつての苛烈さはほとんどなくなった。
客層も変化しているだろうし、兼業Pも珍しくない。
加えれば、おそらくミリオンのPの中にも他ブランドに対して品性下劣な誹謗中傷をする者がいたのだろうと思う。

理由は何にしても、何かを嫌いになってしまう感情はきっとどうしようもない。
嫌いなものは嫌いで良い。
嫌いなものを「嫌いだ」と叫ぶ場所も人間には必要なんだろう。

だからせめて、アイマスでもそれ以外のコンテンツにおいても、愛をもって作品を造る方々、愛をもってキャラクターを演じる方々に向かって直接石を投げるような行いだけは、それだけはどうかやめて欲しいと切に願っている。


「Rat A Tat!!!」は神曲。


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