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SPAC『アンティゴネ』空間デザインノート(12)「ラフスケッチ」

ここが勝負の分かれ目だと思った私は、法王庁の視察で手繰り寄せた秘策を宮城さんにぶつけることにした。

この打ち合わせでは、会場の決定と演目の選定までと考えていたので、空間デザインにまで踏み込むつもりはなかったのだが、鉄は熱いうちに打て、である。

「法王庁で『アンティゴネ』を上演するには大きな障害があります。それはあの巨大な城壁に囲まれた空間です。動きの少ない『アンティゴネ』をあの空間で上演する為には、何らかの形であの空間を支配する必要があります。」

スケッチブックを取り出し、その場でラフなスケッチをする。
いつもなら、周到に模型を作ってプレゼンするのだが仕方がない、こういうのは勢いがものを言う。

「この城壁をスクリーンとして俳優の影を投影して大きな『影絵』で芝居を見せる、というのはどうでしょうか?」

宮城氏「うーん、、、でもそれじゃ、せいぜい10分しか持たないよね。」

・・・・・・・・・・・

予想外の展開。

こうもあっさり却下されるとは。


~つづく~

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