スケッチノートの追い風となる3つのトレンド

前回の記事では、僕がスケッチノートに期待していることについて書きました。今回は、コミュニケーションとテクノロジーの観点から、なぜいまスケッチノートなのか、お話しします。

潮目が変わった2010年

僕がインフォグラフィックに興味を持ち始めたのは、2010年です。その頃、インフォグラフィック共有サービス「Visual.ly」が登場したり、インフォグラフィックを専門とするクリエイティブ・エージェンシーの存在が目立つようになっていました。

Visual.lyはその後、クリエイターとインフォグラフィック制作を依頼したい人を結ぶマッチングサービスに発展し、2016年にコンテンツ・マーケティング支援プラットフォーム「ScribbleLive」によって買収されました。

また、インフォグラフィック専門のクリエイティブ・エージェンシーの中では、「Column Five」がオンライン・インフォグラフィックの活用を牽引しました。

Column Five共同創業メンバー執筆の『ビジュアル・ストーリーテリング インフォグラフィックが切り拓くビジネスコミュニケーションの未来』を読むと、オンライン向けインフォグラフィックの概略がつかめておすすめ📖

2010年は、オンライン・インフォグラフィックが花開いた時期であるだけでなく、ビジュアル・コミュニケーションの進化を語る上で象徴的な年で、InstagramやPinterestの創業年とも重なります。

2010年からの10年弱で、チャットツールやメッセージングアプリの台頭による絵文字やスタンプの普及、動画の普及もあり、ビジュアル・コミュニケーションが文化として浸透しました。

ここからは、ビジュアル・コミュニケーションが広がりをみせる中で、スケッチノートにとって追い風となる、3つのトレンドについて話していきます。

(1)ビジュアルコンテンツの一口化

2018年、Instagramの月間アクティブユーザーが10億人を越えました。

モバイル端末、SNSフィード上での動画視聴も一般的になり、一口サイズで高密度な情報が目に止まりやすくなってきました。

従来のオンライン・インフォグラフィックのレイアウトは、縦に長いものが多く、モバイルの一画面に納めるには、情報をかなり絞り込む必要がありました。実際、一口サイズのインフォグラフィックをつくろうとすると、サイズに収まるものを考えた場合、グラフや地図をベースにした表現に行き着きます。

それが、Instagramの画像や動画などを通じて情報量が多いビジュアルコンテンツと接する機会が増えたことと、モバイル端末の画面解像度も上がったことから、徐々に細かい表現も受け入れられるようになってきました。

それから、SNSで動画を見る体験に慣れたことで、フィードの流れの中で立ち止まって動画を見るのと同じように、気になった画像を拡大してじっくり見る行動も想定できるようになりました。

さらに、授業の黒板や会議のホワイトボードを写真撮影することやスクリーンショットを撮ることも増え、画像化した情報をじっくり見るという行為が日常にも溶け込みました。

こうしたトレンドから、スケッチノートのように情報量の多い手描き画像と時代の流れがマッチしてきたと感じます。

(2)温度を感じる表現へのシフト

情報に溢れ、フェイク情報も目立つようになってくると、どんな人が語っているのか、語り部の存在を意識するようになります。

会ったことのある人や動画や音声メディアで姿や声と接したことのある人は、語り部の雰囲気が想像できて、距離が縮まります。

手描きのスケッチノートもまた、人の存在を感じさせる表現。グラフィックソフトで作り込んでいるわけではないので、スケッチノートの文字や内容は見にくいし、読みづらいです。情報としての価値は、インフォグラフィックや図解など他の表現に劣りますが、感情や温もりをそこから感じることができます。

生活から人の手描き文字を見る機会が減ったことで、希少性も増しているように感じます。

(3)手頃なツールの登場

2015年、AppleはiPad ProとApple Pencilを発表しました。

紙のノートサイズで描ける端末、鉛筆型の入力デバイスの登場で、スケッチノートをデジタルツールで描くのが手軽になりました。

一方、アナログで描いたノートも、スマホカメラの解像度が上がり、撮影からシェアまでの流れがストレスなく行えるようになりました。

SNSに投稿する内容のバリエーションのひとつとしても、スケッチノートは向いています。

3つのトレンド
(1)ビジュアルコンテンツの一口化
(2)温度を感じる表現へのシフト
(3)手軽なツールが登場

次の記事では、3つ目のツールの話の続きで、実際に僕がアナログ/デジタルでどんなツールを使っているのかを紹介します。

次の記事はこちら

前回の記事「スケッチノートに期待する7つのこと」をまだご覧になっていない方は、そちらもあわせてどうぞ。

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櫻田潤/インフォグラフィック・エディター

NewsPicksで働きつつ、個人でも活動中。データや情報を視覚化して、見えにくかった事実やストーリーを見えるようにする人。ビジュアルシンキングラボ主宰。📚著書に『たのしいインフォグラフィック入門』『図で考える。シンプルになる。』 ほか。

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