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曾祖父さんの書類タンス 〜書斎の中の仲間たち〜

 なんだか古臭いタンスがある。生まれた時からそばにあったので、特に改めて「あ〜だこ〜だ」考えたこともない。実はこのタンス、学者だった曾祖父さんが文例集やらなんやら自分の原稿を入れるために特注したという、少なく見積もっても我が家にやって来てから既に60〜70年は経過しているであろう代物。全く同じものが2台ある。今は曾祖父さんの残した原稿、僕が生まれる以前の関口家の写真、僕の原稿・各種書類等が無造作に収められている。

 お世辞にも「収納量が多い」とは言えないが、なんとなく良い仕事をしてくれている様な気がする。そう、特に根拠はないものの、何故だかそう思わせてくれる一品=逸品である。

 タンスの上も賑やかだ。各種原稿・ファイルの定位置・・・いつも新旧原稿・書類が高く積み上がっている。曾祖父さんが100年前に書いた手書きの原稿、イラスト、数日前にプリントアウトされたばかりの僕の原稿etc. たまに雪崩が起きる。そうした時が片付け時を知らせる “お知らせサイン” だ。

 我が家の古株・・・だって、僕よりも関口家歴が長いのだから。
「この60年、我が家は如何でした?」なんて具合に色々と話を聞いてみたいものだ。

 声は出さないけれども、目が合えば何かを語りかけて来る・・・。
 
 “モノの命”の本質は、解釈されることにあるとみた。

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