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言語のリハビリ 嚥下〜言語

脳幹出血(橋)から何とか生還したが、半身麻痺・当初は四肢麻痺に近かった。
フィジカル面は失われて呼吸がおぼつかない状態になり、気管切開して喉にカニューレと呼ばれるプラ素材のパイプ状の器具を挿入されたわけだが・・・。
ICUに居た当初はこの状態で人工呼吸器をつないで呼吸していた。
フィジカルが失われて自分では呼吸できないからの措置だ。

したがって、暫く(覚醒してどれくらいだったのだろう?)食事は当然流動食でフルーツジュースみたいな感じのパックを鼻から胃へ2,3パック、自転車競技の補給によさそうな感じだ(今だから冗談的に言えるけど)。

リハビリ病院に転院して本格的にリハビリプログラムが組まれて、ここで本格的にST(言語聴覚士)さんが付き、進めていく。

僕の場合は喋れない状態で食べる事ができなかったから、当初は口の動きの練習、舌の動きの練習、嚥下の確認。
舌の筋トレに「ペコパンダ」ってのをした、硬さがいろいろあって軽い奴からしていったけど、舌の疲労度は結構なものだ。

ペコパンダ

ブローイングと呼ばれるペットボトルに水を入れて、ストローで吹いて肺活量を鍛えたりすることをやっていた。
また、ガムをガーゼに包んで飲み込まないようにして嚙む練習なんかもした。

これらを数か月繰り返して、X線を用いて飲んでる時の喉の動きを透視して判定する。
舌の送れる力などを見ているのだろう。

テストは偶々だが自分がX線のエンジニアで知識があったので興味が物凄くあり、まじまじと観察してたのを覚えている。

たぶんミリフォーカスのX線源に7~9インチのイメージインテンシファイア、モニターは17~21インチくらい。
カメラの画角的に1:1位だからおのずとレンズが出てくるだろう。
こんなのはメーカーのカタログ見ればすぐに出てくる。
「なんの因果か・・・」そんなセリフが脳裏をかすめる。
喉の動きを透視撮影、動画で直に目視。

何度もこのテストをしたことか、人体に曝射しながらの検査、先生も鉛エプロンして・・・。
ん~、早くこの検査が要らないようにならないと、先生たちも巻き込んで被曝させてしまってる。
入院してからココまで、全てX線検査、MRIでもいいようなものなんだけど・・・、後々気付くのだけどMRIは超音波・磁気?なのだから脳出血の人などは避けるのかもしれない。
なんか専門用語でこのテストを呼んでたな。
数回これをして、段々と食事の形態が変わっていき、それに伴ってSTさんのリハビリ内容も変わっていった。

飲み込みが少し良くなって口から食事を再開できたが、最初のころはまだ気管切開カニューレが残っていたので話すことはできず、ペースト状のご飯、宇宙食みたい。
言語のリハビリ時間は口の動きの練習に費やされた。

秋にようやくカニューレが外れた。
が、物凄く息がしにくいし、これも練習していく。
たまに呼吸困難になり酸素をもらうが担当医の先生曰くホントは意味がない、プラセボ的なところから呼吸困難は来ている様だと。
そりゃそうだ、今まで喉で息をしていたのを鼻や口で息をしていくのである、身体が喉で息をするのを覚えてしまっている。
この辺もSTの時間で練習した。

喉呼吸?も終わり徐々に声の発生もトレーニングしていく。
最初の一声目が「ガンダム」だったのは今後の笑い話のネタになるだろう。

カニューレが外れてからは発声練習が激しかった、なにしろ4ヶ月位声をだしていないし、自分では頭の中では普通に言葉を組み立てているけど、それを発声していっても舌が麻痺していて上手く発声できない。
これが構音障害。
舌も半分麻痺しているようだ。
どうも横隔膜が筋肉故に動きが悪く息も浅いのが一言一言になって話しにくい様だった。
リハビリの時間で軽くコラムなどで練習、A4にして1ページあるかないか、
それが結構なしんどさ、声も出てないし息も絶え絶え。
心の中では普通に話せているのに。
よくSTの時間では車に関するコラムを呼んでいた。

短文を読むくらいには何とか退院までには習得した。

退院してからも同系列のクリニックに通いトレーニングは続く。

フィジカルはもとより、嚥下の確認・発声練習もリハビリ病院と変わらないプログラムを行っていく、但し回数は入院時みたいに毎日ではないけど。

クリニックでは月一にファイバースコープで喉の動きの確認もした、退院したとはいえ、自宅ではまだ1%のトロミ剤を使っての水分補給だったので、大好きなコーヒー1カップ飲むのも手間がいった。

トロミ剤がなくなるまでにどれだけかかったか、毎月確認はするのだけど先生の顔色は一向に渋い、それだけ変化もないのだろう。
STさんが検査時に立ち会ってくれて見てくれる、そうこうしていると例のコロナ過と言われる世界になり、ファイバースコープでの確認は感染率も高そうなので確認はオミットされた。

誤飲の要因。

油断ならない、水分補給が怖いくらい。

最初はそんな感じだ。
倒れる前なんかはコーヒーなどは普段から物凄く飲んでいたのに。

口に関して言えば退院してからも右半分の感覚がない。
身体は左側で口は右、なんともこの脳幹出血は身体の真ん中で脳神経の伝達をつかさどっているから、どんなふうにでるかわからないな。
今こうやって生きているのも運に近い、ましてやフィジカルを失ってしまったがゆえに、息が続かないからの構音障害もあるし。

思考に関して言えば倒れる前のままだ、思っていることは構音障害のせいで途切れ途切れに発声、でもなんとかコミュニケーションはとれる感じだ。

新型インフルエンザのせいでファイバースコープによる確認がなくなって久しいが、自分の方も徐々にコーヒーなどからトロミ剤が取れていくようになる。
やはりトロミ剤がない方が口当たりが違う。
舌の加減で熱いコーヒーなどは厳禁だが良い傾向だ。

喉を見てもらっている先生からは「温度差をつけるといいかもしれない」と助言を貰っているので、氷を入れて飲んでみる。

まぁまぁかな?、とりあえず様子見な感じだ。
温度差をつけるのが良いようだ。

少し新型インフルエンザが落ち着くとファイバースコープでの確認がされた。
入院していた時と同じようになかなかいい顔をしてもらえない。
結構トレーニングしてるのに・・・。

固形物は問題ないけれど、味噌汁などの具がある水分が要注意だ。

しばらくするとようやくトロミ剤が取れた!。
素晴らしい、もうトロミ剤を溶かす手間は要らない。
でも最初のうちはほんの少しタイミングを外すとむせる(今でもむせる時はあるけど)。

自分でも段々と夕食時に味噌汁とか具のある汁物を取るようには心掛けて行くけどなかなか難しい。
それでも食事がリハビリなのには違いない、特に汁物。
汁物単体ではなく具があるものだ。
あとモノを「吸う」動作も苦手だからパスタとかうどんのようなものもいい。
食事内容でリハビリも進めていく。

構音障害の方はリハビリテーションクリニックでずっとお世話になっている。
フィジカル面は訪問リハビリに移行したが言語のリハビリに関してはクリニックに通えている。
声の大きさ、息の長さ。
トレーニング続けていくけど激変はない、けど地道に進んでいく。
これはフィジカルにも言える。

最初なんか65db位だったのではないだろうか、今はコンスタンスではないが75db位、声を出し始めて3年半。
3年4ヶ月の年月でやっと10dbの向上か・・・。
退院してから3年4ヶ月、この間は自宅では、退院時にもらったA4の課題、色々なコラム、時にはYouTubeで古いアニソン。
それにクリニックでの言語リハビリ。

日常会話は家族などとは普通にこなせているけど、一緒に生活しているから成り立っているはず。
クリニックもそうなんじゃないかな?。

冬の時期にある自転車競技の場に訪れて話をするけど、一応みんなは僕の今の感じを知っているからそれなりの対応になっているけど、知らないとどうなんだろう?。
今はどれくらいの文面が読めるって言っていいんだろ?。

構音障害って字のごとく「言葉、語り、声(音)」を構成するのが難しい、発声する器官がはたらかないからこその障害。
単語単語の繋ぎ、主語述語。
「ロード、ナニソレ、ウマイ?」。
まぁ僕の場合は今はなんとか・・・かな?。

今後としてはもう少し色々と行動していって日常生活を送っていくことになるかな。
少し話すのがスローなれど、一応会話は成り立つはず、歩行中、歩行後の会話は息が上がっていると思うけど。

倒れて3年10ヶ月、退院して3年4ヶ月、4年目くらいで劇的な変化が欲しいけどこればかりはないだろうな。
今のトレーニングは4文節の短文とか、長い時は400字詰めの童話が2ページあるかないかくらいかな。






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