今、アメリカの非営利組織が最優先課題としている「多様性」とは~数字から見えた現実

~ソーシャルセクターの成長が、社会課題の解決を加速させ、より良い社会を築くと信じて執筆~

米国のソーシャルセクターでは、ここ1,2年「多様性(Diversity)」という言葉が頻繁にみられます。それは、下記のような調査結果が相次いで発表されていることを受けてのようです。

非営利組織の人種構成について(※1)
・代表者の87%を白人が占める
・理事の80%を白人が占め、理事全員が白人の組織が27%
・スタッフの82%を白人が占める(米国人口の60%が白人)
・離職者の27%が「多様性と包括性」を理由にあげ、その回答者うち、64%を白人以外が占めた
非営利組織の男女比について(※1)
・代表者の45%が女性(※2)
・スタッフの75%が女性(※2)

↑これら数値は、あくまでも参考程度にお考え下さい(一部ソースに確信が持てず…)。

なお、障がい者やLGBTQ、移民や宗教等に関する数字は見つけられませんでした。

1.無意識のバイアス

上記の数値に至った理由の一つとして、『無意識の偏見/バイアス(unconscious bias)』があると言われています。例えば、年配の方の話が説得力があるように感じる一方で、若者の話は軽く感じてしまう、などです。これは、誰しもが持ってしまうもので、その人が生活のなかで触れてきた文化や教育、家族や友人などのコミュニティからの影響や、様々な経験を通しての成長のなかで自然と形成されるようです。そして、それが無意識にマイナスに働くことで、上記のような数字を生み出してしまっているとのことです。

実際に、米国の非営利専門の調査機関Community Wealth Partnersが、組織の採用・昇進のプロセスにおいて『無意識の偏見/バイアス(unconscious bias)』が影響を与えている、という調査結果を出しています。具体例として、新たなスタッフを採用する際に、既存のスタッフが自らのネットワークに情報を流すことが往々にしてあります。この時に、スタッフが白人であると、そのネットワーク内には白人が多くなり、結果として継続的なサイクルが生まれているとのことです。また、採用時の履歴書では、白人のような名前の人へのインタビューの割合が50%と高くなっているようです(※3)。

2.キーワードは「多様性(Diversity)」「包括性(Inclusion)」「公平性(Equity)」

こうした実態を受けて、米国では「多様性(Diversity)」とともに「包括性(Inclusion)」と「公平性(Equity)」に着目した組織改善を最優先課題として、業界をあげて取り組んでいる様子です。

(1)人種、性別、身体的、性的等のアイデンティティを持つ多種多様な人々が一緒の空間に存在できる「多様性」を持ち、

(2)彼らが所属するコミュニティ内で尊重され認められることで安心感を抱けるような「包括性」を備え、

(3)等しくチャンスがあり、そしてそれはアイデンティティへの配慮が行き届いたチャンスがである「公平性」が浸透した、

そんな組織を目指しているようです。

ちなみに、日本国内ではどうでしょうか。企業での障がい者雇用等に関する統計はあるものの(その結果や対応については、それはそれで思うところもありますが…)、ソーシャルセクターに関する、こうした調査は見当たりませんでした。もし無いようでしたら、いずれ調査をしてみたいですね。

~ソーシャルセクターの成長が、社会課題の解決を加速させ、より良い社会を築くと信じて執筆~


※1 参考情報
『The Importance of Equity, Diversity, and Inclusion in the Nonprofit Sector』
http://www.deettajones.com/equity-diversity-inclusion-nonprofit-sector/

『Champions of Diversity: Why Realistic Inclusion Initiatives are Vital in Nonprofits』
https://topnonprofits.com/champions-diversity-realistic-inclusion-initiatives-vital-nonprofits/

『Is the Nonprofit Sector Doing Enough for Diversity?』
http://www.diversityjournal.com/9897-is-the-nonprofit-sector-doing-enough-for-diversity/

※2 ソースに確証が持てていないです。多くの記事でこのように表記しているのですが、調査元まで辿れていないです…体感値ではもう少し男性が多いような気もしますが…わかりません

※3 参考情報
『The State of Diversity in the Nonprofit Sector』
https://communitywealth.com/the-state-of-diversity-in-the-nonprofit-sector/

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Junya Aizawa

コンサルタント/クライアントはソーシャルを大切にしたい営利・非営利組織/専門は経営戦略及びファンドレイジング戦略の策定とその実行支援など/最近広めたいワードは「カッコいい社会貢献」/長野県好き
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