モルガン・スタンレーのプロボノプログラムから見た活用のポイント

非営利組織(NPO)を中心としたソーシャルセクター向けに、モルガン・スタンレーが米国で実施しているプログラム「Morgan Stanley Strategy Challenge」があります。これは同社の社員が、プロボノとして10週間にわたってNPO等の活動を支援する仕組みで、10年以上前から続いています。今回そのナレッジとして公開されたプロボノ活用のポイントが興味深かったので、紹介します(※翻訳ではなく、私の解釈が多分にあります)。

1.依頼事項を明確にすること

プロボノに依頼したい仕事やその成果を具体的に示すこと。

仕事を依頼するというのも結構難しいもので、依頼内容が抽象的になりやすいものです。私も昔、仕事を丸投げして、プロボノの方にご苦労をおかけしたことがありました。。
お願いするときは少なくとも、今困っていること何なのか、それが解決された姿をできる限り具体的に伝えましょう。プロボノの方のスキルによっては、その方法も具体的に示す必要もあります。また、その課題の深刻度を伝えられると、モチベーションアップにも繋がります。

2.期限を設定すること
プロボノが関わるプロジェクトや仕事の期限を、最初に合意すること。

終わりが見えない仕事は、好きなことでもしんどくなりますよね。。

3.組織のリソースを割くこと
プロボノに任せっきりにしないこと。プロボノが必要と思える情報にアクセスできるようにしておくこと。

一緒にやっている感をだしましょう。

4.意見を柔軟に受け入れること
プロボノは外部者のため、私たちNPOとしては耳の痛い意見も出るが、それを冷静に受け止めること。

受入側としては「そんなことわかっているけど、できないんだよ!」と思うことがしばしばあります。でも、その感性や視点がプロボノの良いところでもあります。彼らはフラットに考えて、私たち受入側が気が付かなかった方法を見つけます。その新たな芽を潰さないようにしましょう。(感情的になりやすいポイントなので、難しいのですが。。)

5.依頼しすぎないこと
あれもこれもとなんでも依頼しないこと。

プロボノを志願する人は、その組織またはソーシャルに興味を持ち、やる気に満ちているので、つい色々と相談したり、仕事をお願いしてしまいます。でも、彼らには、知っての通り本業とプライベートがあります。負荷をかけすぎると、お互いに不幸になるかもしれないので、気を付けたいですね。

6.金銭的な支援を求めないこと
プロボノ活動中に、寄付の依頼は控えること。

将来的には寄付するかもしれませんが、それを期待することは控えましょう。もし、災害支援など緊急性を要する場合など、寄付をお願いするときは、関係性を踏まえて慎重に依頼しましょう。

7.長期的な関係で考えること
プロボノ活動を通じて、彼らはNPOの活動に強く共感したり、スタッフとの強い関係性が築かれます。この関係性を目指すこと。

プロボノの方も当然に人間ですので、強く共感したり、居心地が良かったりしたら、プロジェクトが終了しても、長く関係を続けたいと思うかもしれません。特に、上記の1-6に気を付ければ、その思いはきっと強まります。そうした思いのある人をぜひ大切にしましょう。よく、理事をお願いするケースが多いです。


私自身は、受入側の立場としてプロボノの方に接したこともありましたが、一方のプロボノとしてNPO支援に関わった経験もあります。
今回まとめたポイントは、受入側ではなく、プロボノをする側から見たときに、応援したいNPOに期待することとして、最初に確認し同意しておくことで、モチベーションの低下や、高い成果を出せる土台になるかもしれません。

参考
https://www.morganstanley.com/articles/nonprofits-pro-bono-advice-strategy-challenge

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